展
目が覚めた。
瞬きを繰り返して状況を把握する。
視界には石や土、草花が見えた。
どうやら横たわっているらしい。
それからゆっくりと体を起こすとズキリと背中に痛みが走った。
「っ!」
すると次に肩、首、頭と痛みがまわった。
しばらくして落ち着き改めて辺りを見ると酷い有り様だった。
周りには岩や木、ガラスやレンガまでもが砕けて散乱し、街を見下ろすとそこには色鮮やかなものはひとつとしてない荒れ地となっていた。
それからはっとリームのことを思い出した。
「リーム!!リームどこにいるの!?」
痛む体を立たせて岩や木の下などを捜しまくる。
しかしどこにも見当たらない。
嫌な想像が頭に浮かび、半ばパニックに陥った。
「うそっ、リーム!?ねぇどこ!どこにいるの!!お願い返事してよ!リームッッ!!」
「ファラちゃん?」
突如として背後から聞こえた少女の声に振り向くとそこにはリームがいた。
「リーム!よかった、どこにいたの!?」
「お母さんのところにいってたの、ごめんね、心配させちゃったよね」
「あぁ、よかった……」
「アタシが目を覚ましたらね、ファラちゃんまだ倒れててね、揺すっても起きないからお母さんに知らせに行ってたの」
「そうだったの……」
リームが待っててと言って家の残骸の奥へ消えると、すぐにリームの母を連れて戻ってきた。
その手には傷に効く薬草がたんまりと抱えられている。
「ファラちゃん!大丈夫?驚いたのよ、リームが泣きながら走ってきたもんだから……」
「大丈夫です。すみませんリリーおばさん、心配かけちゃって」
「いいのよいいのよ!無事ならそれで何より!これ、傷があったら張っておきなさい」
リリーおばさんから薬草を一束もらい肩や首に張っていく。
おばさんは他の人に薬草を配りにどこかへ行ってしまった。
リームは自分の傷に薬草を張っていた。
「よかったね、リーム。お母さんも無事で」
「うん!あっ、ファラちゃんのお父さんとお母さんはね、話し合いしてるみたいだよ!」
「そっか、無事なんだね。教えてくれてありがとう、リーム」
私の両親はそこそこ魔力を秘めているらしく、魔術師の生き残りによく頼りにされている。
今回の爆発について大変なことになっているのだろう。
家族が無事なのがわかり気が抜けた。