修理
…家に帰ったものの、どうしよう、この子…。
<…ッ…。>
さっきからピクピクしてるけど、もしかしてこれってヤバい状態?
「…どうすりゃいいんだよ…。」
俺は雨で濡れた身体をタオルでガシガシ拭きながら眉間にシワを寄せていた。何か方法があるはずだって…。
「…あ。そうだ…!!」
俺は慌てて携帯を取り出した。そして通話ボタンをタップする。
「…あ!もしもし、じいちゃん?」
電話したのは俺のじいちゃん。じいちゃんの声はいつもみたいにはハキハキしていなかった。きっと疲れているんだろう。
「どうした?こんな時間にワシに電話するなんて…。」
「あ、あのね?じいちゃんに頼みたいことがあってさ…。今からいってもいい?」
「…お前さんがそんなことを言うほどじゃ、何か事情があるんじゃろ。いいぞ、待っておる。」
じいちゃんからの了承を得て、俺は携帯を閉じた。
そうと決まれば早く行かないと!
俺はロボットを抱き抱えて傘を広げて外へ飛び出した。
─…それから30分くらい経ったとき。
「じいちゃん!!」
俺はじいちゃんのいる場所へ着いた。
「おう、待っておったぞ。…なんじゃ、それは…。」
じいちゃんは不思議そうな目でロボットを指差した。
「あぁ。これをじいちゃんに直してほしくてさ。」
俺はゆっくりとロボットを床へおろした。じいちゃんは駆け寄り、ジーッとロボットを見ていた。そんな真剣な表情のじいちゃんを見るだけで、俺は固唾を飲んだ。
「…人間か?」
「いや…ロボットだと思う。喋り方からして人間じゃない。」
「ほう。喋るのか。」
「うん。」
それを知って、じいちゃんは更に興味津々になってロボットを見ていた。
「…こりゃ、ショートしてる部分が多いのぉ。随分傷がいっておる。」
「…直せる?」
俺が不安そうに尋ねてみるとじいちゃんは立ち上がって俺を見つめた。
「このワシに直せない機械なんて存在しないぞ!何ていったって、ワシはプロじゃからの!」
じいちゃんは自信ありげに親指を立てながらそう言った。
「は、はぁ。」
俺はあまりのじいちゃんの行動に呆れる他なかった。
「…じゃが、やはり不安はある。もし直っても元の姿に戻るかわからん。ワシもお前さんも、元の姿を知らんからのぉ。じゃから、もし直っても何の知識もない、いわゆる赤ん坊みたいになるかもしれん。そうしたら、お前さんがこのロボットを育てるという形になるが、構わんか?」
俺が…育てる…?そんなこと俺に出来るのかな…。
いや、でもこの子を放っておくわけにはいかない…!
゛マ、マダ…イッキ…タイ…"
この子…そんなこと…言ってたな…。
俺はぎゅっと手に力をいれじいちゃんにこう言った。
「俺…頑張るよ!!だからお願い!」
俺がそう言うとじいちゃんはにっこりと頬笑み、「任せとけ!」と言った。