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-midnight moon-
月光
暗い霄の水面
優艶に揺れる
月光の波紋
その優美なる軌跡は
人々の愁憂を
白い手で抱く――
ああ、貴なる
その煌めきさえ
陽光に照らされて
いるように……
いまを瞬く
胎動の白波は
かつて絶えた息吹の記憶に
照らされていること
人々が
ゆめゆめ忘れぬよう
月は今宵も
謳を託す――
理により訳された
焜耀に注ぐ
陽光の熄滅
その凛冽たる定めは
輪舞する命脈を
やがては無に還す――
ああ、清澄なる
月の旋律さえ
陽光の意思により
潰えるように……
いまに揺蕩う
鼓動の和音も
響きの潤いを
他者に飲み込まれている現実
人々が
拒絶し忘れぬように
月は今宵も
謳を託す――
流光の波間
見える夜霧を
人々が自ら纏わぬよう
苦悶に叫び
沈淪した魂への
鎮魂歌を
月は今宵も
託すのだ――