-nocturn in shade-
ハジマリ
ハジマリはとても
セツナイよ
オワリを持って
あるいてくるから
コトバはとても
たりないよ
ココロのかたちは
手折れないから
まだ冬が
まぶた閉じない
寒い日々
ナガい夜は 明けないまま……
雲が月を
サらった今夜は
きっと今の
ボクに似ている――
サヨナラはいつも
サビシいよ
『当タリ前』を
奪ってゆくから
アリガトはとても
ツカエるよ
思い出がのどを
しめ付けるから……
まだ雨が
まどろむことのない
寒い日々
ツメタい布は やぶれないまま……
雨が空気に
かすむ今夜は
きっといまの
ボクに似ている――
脳 内 観 覧 車
プラトン先生が
言うように
アンドロギュノスに
近付きたくて
貴方に憧憬の念を抱き
貴方と一つになりたいの
けれど変だな
何故だろう?
時々貴方ヲ壊シタイ――
愛しいくらい憎らしく
憎らしいくらい愛おしい
好キデ嫌イデ
嫌イデ好キデ
脳内は本日も観覧車……
イドの領域より
はい上がる
重たく黒い欲望は
まるでホラー映画の
ワンシーン
思考ノ糸ノ届カヌ場所ニ
粘リ着イテ
剥ガレナイ――
狂オシイホド愛シテテ
愛シタイホド狂オシイ
甘美で 血生臭くて
血生臭クテ甘美
脳内は本日も観覧車……
まわる
――好き嫌い
廻ル キライスキ。
マワる 血生臭イ
マワル 甘美。
チナマグサイ?
カンビ?
脳内は本日も……
ぐるぐ
る
る ぐる ぐ
ぐ ぐる ぐ る
る る ぐ る ぐ
ぐ ぐ ぐ る る ぐ る
る る る ぐ る ぐ
ぐ ぐ ぐ る
る るぐる ぐ
ぐ ぐる
るぐる
――酔ヒまシた;
人形
雨の鳴る日も
かみなり さけぶ夜も
ずっとまもっていこうときめた……
またたきする間も
ひとつ、
いのちがなみうつ間も
そんな
ひとひらの時間も
は な れ ず に
拙く幼き手の平は
その腕を強く握りしめ
強すぎるあまり
腕を千切った
重厚たる想いは
小さなその身に
堪え難き傷を
負わせたのだ……
せめて、これ以上
こわさないように
ずっと見つめていようときめた……
こごえそうな
寒さにさらさないように
ずっとあたためていこうときめた……
愚かな幼き手の平は
力の限り抱き抱え
押さえ付け 終に、
頭をもいだ
無垢な煌めきは
か弱きその身に
報い難き咎を
刻みつけて……
手 ヲ 振 る コ と
拒 ン だ 末 路
愛 し キ そ の 身 ノ
残 虐 ナ 最 期
――だから
ご め ん ね と
うるんだひとみで
手放した
――幼く小さな手の平から
ご め ん ね と
うるんだひとみで
手放した
そっと……