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第1話:伝説の始まりは、お尻のかゆみから

Chapter Soundtrack:

Redman - "Let's Get Dirty (I Can't Get in Da Club)"

(BGM: ぬかるみとイラクサまみれの中で聴くのがおすすめ)

ソウルで、一人の男が死んだ。

悲しみでも病でもない。彼を殺したのは、己の欲望だ。

K-POPグループ『K7』のメンバーとして初のゴールドディスクを獲得した夜、コカインの過剰摂取——オーバードーズ。


世界が明滅する。

宇宙が息を吐くように、街の明かりが一瞬だけ消え去った。

胸に鋭い痛みが走る。まるで心臓を強引に引き抜かれ、別の何かに置き換えられたかのような感覚。

そして、意識が浮上すると同時に彼が感じたのは——


「くそっ……ケツが痒い」


キム・ミンジュンが目を開けると、そこは荒れ果てた草原だった。しかも、彼が倒れていたのはよりによってイラクサの群生地の真っ只中。

身にまとっているのはボロきれと泥汚れ。隣には、錆びた弦のついた調律の狂ったリュートが転がっている。


「マジかよ、どんなバッドトリップだ? ディーラーの野郎、毒でも混ぜやがったな……」


目の前にいた雄牛が首を持ち上げ、蔑むような鼻息を吐きながらゆっくりと近づいてきた。

友好的な雰囲気は微塵もない。悪意と鋭い角を備えた、巨大な肉の塊だ。


冷たい風が草原を吹き抜け、背の高いイラクサを揺らす。ミンジュンは刺激臭のある葉の上に座り込んだまま、皮膚を刺すような激痛に悶絶していた。


「なぁ……お前、本物か?」


ミンジュンは何事もなかったかのように雄牛に話しかけた。


「本物っぽいな……」


雄牛は低く重いモーという鳴き声で答えた。地響きが伝わってくる。

目には光がなく、まるで次の獲物を見定めているかのようだ。


「よし分かった、韓国語は通じないな」


ミンジュンは悲鳴を上げながら跳ね起き、必死でケツを叩いてイラクサの毒針を払った。


「なあ相棒、俺はミュージシャンだ。闘牛士じゃない。一分くれれば、最高にノれるサビを作ってやるから!」


雄牛はサビの提案に全く興味を示さなかった。頭を下げ、前脚で湿った土を蹴り上げると、口から大量の鼻水と噛み砕いた草をミンジュンの顔面に撒き散らした。


「うぇっ! 成功したアーティストに対するリスペクトがゼロかよ!」


角の動きを警戒しながら、お尻をかこうと後ろ手に手を伸ばす。

次の瞬間、巨体が加速した。冗談抜きで二トンの肉と悪意が突進してくる。


歌詞を忘れた歌手のような絶望感の中、ミンジュンはあたりを見回した。手元にあるのはイラクサと腐りかけのリュートだけ。

歯を食いしばり、リュートの首を野球バットのように構えてタイミングを計る。


「おい雄牛、突っ込んでくるな!

俺のケツはもう限界だ!

金もないし痒いし、

お前の息はクソ臭い!」


雄牛が鼻先一メートルのところで急ブレーキをかけた。泥が跳ね上がる。

ボロい木に衝撃が走る……ことはなかった。代わりに、視界を覆い尽くすような眩しい蛍光ブルーのウィンドウが空中に展開され、ピコピコと甲高い8ビット音が響き渡る。


【スキル獲得:ダサい歌(Lv1)】

【効果:あまりの歌詞の酷さに敵を混乱させる】

【コスト:MP 10 / 尊厳 -10】


雄牛はパチパチと瞬きをし、耳障りな音に頭を振った。その角の上には、小さなハテナマークの吹き出しアイコンが漂っている。


「ほら見ろ! パンチラインが効いたらしくないか?」


ミンジュンがボロきれを整えていると、頭上に緑色のバーが出現した。【HP: 12/12】という悲惨な数値と、赤く点滅するステータスが表示される。【状態異常:重度のイラクサ刺傷(-1 HP/分)】。


【レベルアップ!】

【現在のレベル:2】

【割り当てられたクラス:バード】

【注目ステータス】

・筋力:3(楽器を持ち上げるには十分、剣を振るにはゴミ)

・敏捷:5(怒ったファンから逃げるのに便利)

・カリスマ:-15(パッシブ効果:二日酔いの臭いと胡散臭さ)

・イラクサ耐性:+1%


音響兵器のような歌声と青い光の演出に辟易した雄牛は、盛大な溜息をつくと、失意のうちに背を向けて去っていった。落ちぶれたK-POPアイドルを見るような目だった。


ミンジュンは空中を漂う青い画面を凝視し、必死に指で「システム設定」のログアウトボタンを探した。


「うそだろ……死んだだけじゃなくて、アーリーアクセスのクソゲーRPGに転生させられたのか……? しかもUIに煽られてるし!」

第1話をお読みいただきありがとうございます!

ゴールドディスク獲得の夜にオーバードーズで死亡し、異世界のイラクサ群生地で目を覚ました元K-POPアイドルのキム・ミンジュン。彼の過酷(?)な異世界サバイバルがここから始まります。

今回のチャプターBGMは Redman の "Let's Get Dirty" です。ぬかるみの中で最悪のスタートを切る男のテンションと共にお楽しみください。

面白いと思っていただけたら、ぜひブックマーク登録と評価(★★★★★)をお願いします!


Thank you for reading Chapter 1!

Meet Kim Min-jun, a former K-Pop idol who OD'd on his biggest night of success, only to wake up face-down in a field of stinging nettles in a trash-tier RPG world.

Today's soundtrack features "Let's Get Dirty" by Redman—the perfect chaotic anthem for restarting life at Level 2 with itchy cheeks.

If you’re enjoying Min-jun's misadventures, please Bookmark the story and leave a 5-Star Rating (★★★★★)!

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