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爆炎の魔女  作者: ねこまる
伝説の始まり
12/14

第12話

昼休み、ついに恐れていたことが起きた。

シルフィーとミランダとレオナ。三極のトップ3人が鉢合わせしたのだ。

シルフィーにはクロエを中心に複数の取り巻き、ミランダ側にはリアーナを筆頭に数名。

その中には"磁界の魔女"もいる。

後から遅れてきたセシリアは側近も連れずただ一人でその場に立っていた。

まさに三陣営の対峙だった。


リューネと一緒に昼食をとっていたフェリスはパンを食べようとしていた大きな口を開けたまま固まり、

ルナはかじりかけのパンが口からポロリとこぼれた。


「ヨッスー!ミラミラー。セシリアー」


「いいかげんその呼び方はやめろシルフィー」

ミランダが子供を諭すように注意するがシルフィーはどこ吹く風だ。

「えー、なんでー。ミラミラの方が可愛いよ?」


ミランダの表情が少し変わり、教室内の空気が少し冷たくなってくる。


「シルフィーさん。ここは穏便に」

見かねた取り巻きが注意を促すと、「はーい」と素直に返事をするシルフィーだが、彼女は空気を読む気など毛頭ない。


その場の空気に気づいてないのか、わかっていて無視をしているのか

シルフィーはお構いなしに話を切り出す。

「ねえねえりゅーちゃん。朝の件考えてくれたー?」


「いや、だから、行かないっすよ」

リューネはお昼ご飯のおにぎりをモグモグしながら不遜に答える。

「ワタシはテッペンを取りたいんで、あんたの夜会に入っちゃったらとれないじゃないですか」


三極の3人を前に、テッペンを取ると簡単に言い切るリューネ。

教室内の緊張がさらに一段階跳ね上がる。


気づけば、教室内には誰もいなくなっていたが

廊下にはこのめったにない3人の邂逅と転校生のやり取りに興味がある野次馬たちが所狭しと集まっていた。


そんな中、この会談に遊び半分でちゃちゃを入れたいのか、それとも3人が揃っていることを好機と思ってか、

炎や岩の塊、風の刃など複数の魔法が群衆の隙間から、三極の3人に向けて放たれる。


「邪魔」クーデリアの魔法が

「姉さんが話してるだろうが!」シルフィーの取り巻きの魔法が

リーダーたちの邪魔はさせじと、各々魔法で相殺する。


「次、邪魔するようなことをしたら、全員ぶち殺すから」

メガネをかけなおしたリアーナから殺気のこもった威圧感が廊下に向けて放たれ、野次馬たちが一瞬で静まり返った。


その静寂を突いて、レオナが口を開く。

「リューネくんはテッペンを狙ってるんだよね。そしたらうちの夜会においでよ。一緒にテッペンをとろうよ」

まさかの提案にシルフィーとミランダが驚きの表情を見せた

「ボクは美しいものが好きなんだ。君のその誰にも靡かない精神とテッペンを狙う向上心。そして爆炎を名乗ろうとする胆力。……実にボク好みだ」


次にミランダが語り掛ける。

「お前、私の首を狙ってるんだろ。千載一遇のチャンスだぞ。こないのか?」

聞いていた話から、有無を言わさず襲い掛かって来るかと予想していたミランダが少し拍子抜けしたように挑発した。


「ワタシ眠いんです。早く飯食って寝たいんで。その手の話はもう終わりにしませんか」

三極の勧誘をしつこいと一蹴するリューネ。


その時、ミランダの氷の拳が、おにぎりを食べ終わり飲み物で喉を潤そうとしていたリューネに振り下ろされる。


ミランダの攻撃が当たる瞬間、リューネの頬数ミリのところで止まり、リューネの髪が少し揺れる。

「ほぉ……。今のを見極めるか。私が止めると思ったのか?」


「本気の拳じゃないんで。いつかはやりますが、それは今ではないでしょ」


「フッ。そうだな」

パリンッと突き出した拳に纏っていた氷がはじける。


「来たる日にやりあいましょうよ。眠い時は機嫌が悪いんです。そろそろ寝かせてください」

リューネがそう言い終わった瞬間。


「えいっ」


この場の緊張感に似つかわしくない柔らかい声でシルフィーがミランダの手を軽く押した。


ペチッ

寸止めしていた手がリューネの頬に当たる。


「ふ、ふ、ふ」

リューネが不敵に笑う。

「上等だテメェー!今すぐやってやんよー!」

「ちょっと待て、今のは私ではない」

珍しくミランダが少し焦る。


「やーん。こわ〜い。ミラミラ助けてー」

火種のきっかけとなった元凶が無責任に助けを求める。


「おっと。これは」

レオナが身を引いて騒動を回避する。


バンッ!バンッ!

「リューネ今はまずいよ!3人相手はまずいって!」

ルナとフェリスがリューネの腰にしがみついて止める。

――ドォォォォンッ!!

リューネの爆発魔法が教室中を爆破していく。

幸い教室には強者以外はいないので人的被害はでていないが、荒れ狂う様子はまるで癇癪を起こした怪物そのものだった。


「姉さんここは引きましょう」

ハース・フォークのメンバーが。


「ミランダ様。退避したほうがよろしいかと」

アージェントレギオンメンバーが。


「……やれやれ。これは引き時ってやつかな」

レオナが。


焦りと、苦笑いが交じった言葉を最後に各々の陣営が引き上げていく。

廊下にまで飛び火した爆発魔法の影響は、先ほどまでいた野次馬たちを散らしていた。


この事件はのちに「三角おにぎり事件」

と言われ、リューネ伝説を彩る1ページとして語り継がれることになる。

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