春よ来い
それは現実だったのか?
それとも夢の中の出来事だったのか?
余りにも幼い頃の話で……
記憶がハッキリとはしない。
とにかく私は
近所の春兄と一緒に
原っぱに居た。
原っぱには大っきな太鼓が二つと小っちゃな太鼓が三つ。
あと、ジャ~ン! と鳴るシンバルが置かれていた。
私達はそれらにネコの様にじゃれ付いて
ドン! バン! ドンドコ! ジャ~ン!なんてやってみた。
まあ、きっと
実際はさほど音はしなかったのだろう。
と、太鼓の一つが倒れてゴロゴロゴロと転がって……
草むらの中で
その白いお腹を見せた。
すると春兄は
思いっ切りッ助走を付けて
その上に飛び降りた。
ズボンッ!! って感じの音だったのか?……
バキンッ! って木が割れる音だったのか?
それともその両方だったのか?
それもよくは覚えてないのだけど
春兄と私は
穴の開いた太鼓に片足ずつ突っ込んで
おしくらまんじゅうをした。
冬の風がとても冷たかったから……
でも、おしくらまんじゅうでは私はとても春兄には勝てず
太鼓の輪から押し出されて
逃げ出した。
そうして私は
幼子の調子っ外れた声で
童謡の『春よ来い』を叫び
二人だけの鬼ごっこが始まった。
おしまい
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