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婚約破棄をしそうでしない殿下と悪役令嬢とその仲間たち

作者: 山田 勝

「アレクサンドラよ!」

「はい、殿下・・・」


 大変だ、皆の前で、お嬢様が婚約者の殿下に呼ばれた。ここは講堂だ。

 そして、殿下の後ろにピンクブロンドの令嬢がいる。プルプル震えているぞ。


 まさか、いや、まさかしなくても殿下の浮気、婚約破棄だ!


 俺は、速やかにお嬢様の後ろにポジションを取った。

 どんな侮辱が飛んで来るか分からない。



「皆の者!聞け!我はアレクサンドラとの婚約をは・・」


 前へ出る。俺はアレクサンドラ様の寄家、騎士科のハルク、学園ではアレクサンドラ様を助けよと命じられている。



「・・・婚約をはっきりする!」

「はい・・・殿下、(ポッ)」


 ズズーと滑って、転んだ。


「まあ、ハルク?どうしたの?」

「お嬢様!急に短距離ダッシュをしたくなりました」

「もお、体力錬成ほどほどにしなさい」

「はい」


「うむ。ハプニングがあったが、新入生が多く入って来たから、ここではっきりする。サリーよ。婚約契約書を読み上げよ・・・おい、どうした?」


 プルプルプル~!


「はあ、はあ、甲は王家ヘンドリックと・・・し・・」


「風邪か?もうよい下がれ!」

「まあ、殿下、私が保健室に連れて行きますわ」

「頼む!」


「大丈夫だからねっ!今日の学食、イチゴが出るのだからねっ!」

「はい、はい、取っておきますわ。ですから安静にして下さいね」



 何だ。あのサリーという女は、派手なピンクのドレス・・・胸元は、空いていないな。書記だと?あんな馬鹿そうな女が?



 怪しいと思ったので調べて見た。何かあるはずだ。殿下の愛妾候補かもしれない。同じ家門の商業科の学生に聞いてみた。


 「え、商業科のサリー様?商業科の筆頭だよ」

 「はああああーーー!何故?」

 「ハルク、それ失礼だよ」



 家門はダン男爵家。ごく普通の男爵家、特に目立った功績もなければ失政もない男爵家・・・王都で慈善活動をしているありふれた家だ。


 サリーの後をつける。お、殿下に駆け足で近寄った。


「キャー!キャー!殿下!イチゴありがとうございました!」

「うむ。我が無理をさせたから見舞いだ」

「では失礼しますからね!」


 簡単に別れた・・・・


 猫に挨拶して、


「ミャー!」(おはよう)

「おはようだからねっ!」


 犬をなでて、家に帰る。


「ワン!ワン!ワン!」(お前誰?お前誰?)

「キャー!可愛いワンちゃん!」



 何だ。ただの派手な女か。

 と安心していたら、とんでもない現場に遭遇した。


 アレキサンドラ様がご学友とお話しながら、回廊を歩いていたら、サリーは

 アレクサンドラ様の前でいきなりダイブをした。

 これはいじめられているアピールか。


 ズズズズーとアレクサンドラ様の前で腹を地面にして横たわる。


「キャー!キャー!」

「キャ、サリー様、どうされたの?」

「「「サリー様!」」」


「アレクサンドラ様が・・・アレクサンドラ様が・・・」


 プルプル震えてやがる。

 俺は突進した。



「アレクサンドラ様が、ペンダント踏んじゃう所だったからねっ!」


 俺はまたも急ブレーキをして転んだ。


 サリーの手にはペンダントがあった。


「まあ、本当だわ。気がつかなかった。どなたか落としたのね」

「緊急だからダイブしたのだからねっ!」


「あらハルク、どうしたの。サリー様と同じような姿勢で転んで・・」

「いえ、何でもありません」



 畜生!あの女、絶対何かあるはずだ!


 だが、特に何もない。何もないのが怪しい。

 放課後もつけるか。


 串焼き屋によって買食い。令嬢にあるまじき行為だ。


「おっちゃん。いつものだからねっ!」

「はいよー!大串野菜付!」

「これ、これだからねっ!」


 何だ。野菜付を食べて偉いじゃないか。


 タウンハウスに帰り。


 また、外出する。メイドと一緒か・・・

 下町に行くと、いかにもそれっぽいチンピラたちがよってきた。


 まあ、助けてやるか・・・



「ヒヒヒヒヒヒヒ」

「グヘへヘへへへ」

「ギシシシシシシ」


 と下品に笑いながら、二人を取り囲み・・


「「「サリー様お疲れ様です!」」」

「ごきげんようだからねっ!」



 はっ、何?挨拶されているの?


 もしかして、サリーは裏組織と関係あるのか?


 やっぱり何かあるのか・・・

 話を聞きたいが、今はサリーだ。


 裏組織との関係は情報ギルドに依頼しよう。


 サリーは


 建物に入った。これは・・・


「良い子孤児院・・・」


 何故、あの女が・・・・


 すぐに出てきて、荷物を持っている。

 シスターと子供達が手を振ってお見送りをしている・・


「サリー様、いつもありがとうございます」

「「「サリーお姉ちゃんありがとう!」」」


「いいんだからねっ!お義父様のおかげだからねっ!」


 メイドとサリーで荷物を持っている。



 もう、何だか分からなくなった。もしかして、良い奴なのか?



 数日後、アレクサンドラ様から呼ばれた。

 テラスだ。



「・・・ねえ。ハルク、貴方、何か言うこと無くて」

「え、何でしょうか?」

「例えばよ。その・・・好きな人とかいらっしゃらないの?」


 俺は・・・アレクサンドラ様を守ることが今は背いっぱいだ。


「おりません。今は、学園内でアレクサンドラ様を守ることしか考えていません」

「そう・・あら、もうこんな時間だわ。生徒会室にいかなければ、申訳ないけど、また、今度、お話しましょう」

「はい、もちろんです。生徒会室までお送りします」


 俺はアレクサンドラ様の後ろを歩く。


 初めて会ったのはいつだったか。

 綺麗な黒髪に神秘的なアイスブルーの目、やや釣り目がまた良い。意思の強さを感じる。

 絶対に守ろうと決めたのだっけ。


「では、ハルク、またね」

「はい」


 アレクサンドラ様が生徒会室に入ったら、即、悲鳴が聞こえた。


「キャア、殿下、サリー様、お止め下さい!」


 ドア越しで分かる。


 パコパコパコ・・・・と何か音がぶつかる音がする。


「キャー!楽しいのだからねっ!」

「うむ。アレクサンドラも混ざろう」

「嫌ですわ!やめて下さいませ!」


 これは、修羅場か。


「失礼!」


 俺はドアを開けた。


「アレクサンドラ様、私の背に隠れて下さい。汚らわしい現場・・を見ては・・」


「キャア、音が響きますわ!」


アレクサンドラ様は耳を両手で塞いでいる。



 パコ!パコ!パコ!パコ!

 パコ!パコ!パコ!パコ!



 はっ?殿下とサリーは、缶を逆さまにして足で踏んでいる。缶にはヒモが通っている。それを両手で持って、バランスをとって音を出して遊んでいるのか?


 


「ぽっくりというオモチャだからね。孤児院の子が試作品をつくってくれたのだからねっ」

「そうだ。これを慈善バザーで売ろうと思って試しているのだ」


「でも、殿下、音が大きいですわ。屋内で遊ぶ子もおりましょう」

「さすが、アレクサンドラ、少し改良が必要か?」


「おお、騎士科のハルクだったな。君はどう思う?」


「いや、音自体が全然ダメです」


 あれは、父上と母上の寝室から聞こえてくる音だなんて言えない・・・


「まあ、どうして?」

 アレクサンドラ様が純粋な目で聞いてくる。


 言えない。


「何故だ?」

「何でだからねっ!」


 殿下は分かるが、サリーは分からないのか?


「とにかく、絶対に親から苦情が来ますって!」


 ということで、殿下が王宮で陛下と王妃殿下の前で披露したそうだ。

 速攻で音がダメだしをされた。


 もう、嫌だ。


「ハルク、何故だが分からないがこの音はダメらしい。お礼をしたい。君のために集会を開いた来てくれ」



「は?何故ですか?」


「君の気持は男として分かるが、ため込むのは良くない」



 講堂につれて行かれた。


 俺はアレクサンドラ様の後ろ。


 殿下の後ろにサリーがいる。

 何だ。サリーは殿下の後ろに隠れて、頭だけだしている。プルプル震えて、右拳を口元にあてている。

 腹立つな。


「諸君!まず。断罪だ!アレクサンドラ」


 来たか。婚約破棄か?


「はい、私は家門の長として謝罪しますわ」


 な、何だと。


「私は、自分の家門の者を掌握をしっかり出来ませんでしたわ。サリー様、申訳ございません」


 アレクサンドラ様がサリーに謝罪をした。許せん!


「・・・いいのだからねっ!」


「よし、これで断罪は終わった。次にハルク!」


 え、婚約破棄じゃないのかよ。何故?俺が?



「サリーに思いをぶちまけるが良い!」


 え、何を?


 すると、サリーがプルプル震えながら殿下の後ろから顔を出して。


「ごめんなさいだからねっ、今、誰かとお付き合いをすることは考えていないのだからねっ!」



 殿下がサラサラと解説を始めやがった。


「男子たる者、女子を好きになることは当然だ。そういった場合は、きちんと手順をふむことだ。

 今回のハルクは、少々気持が暴走をして後をつけてしまった。当人同士で解決したのだ。それは皆、忘れてあげて欲しい」


 ハアアアア—-

 もしかして、俺はサリーを好きなことになっていたのか?


「ハルク、これで気持がすっきりしたわね。さあ、今から前を向くのよ。お父様に言って、婚約者を探してもらうわ」


 俺は膝を崩して何も言えなかった。


 殿下がやってきて、肩に手を置く。


「ハルクよ。我もアレクサンドラを一日中見ていたい。気持はわかるぞ」


 その後に、サリーがやってきて、プルプル震えながら。


「気持はうれしいのだからねっ」


 と言いやがる。


 もう、力が抜けて、ガクンと前に倒れた。


「「ハルク」」

「サリーをここまで好きになってくれるなんて、でも、ごめんなさいだからねっ!」


サリーの声が腹が立ちすぎて、もう、起き上がる気持も起きなかった。



 後日、情報ギルドから調査結果報告が来たが・・・



「ハルク様、サリーという女はとんでもない女です。孤児院出身、極悪不良で、外道ピンクと呼ばれていて、裏組織と抗争を繰り広げていました。

 目から光線を出せます。喰らった相手は、しばらく動けなくなるそうです。得意技は地獄突き。しかし、慈善家のダン男爵に諭されて改心して養子になりました!

 裏組織とは、喧嘩をしたらマブダチ心理が働いていると思われます」



「あ、そう」


 もうどうでも良いわ。と放置する俺。

 あの三人絶対ワザとだろう!と思うしかなかった。



最後までお読み頂き有難うございました。

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― 新着の感想 ―
殿下は面白がってる気がします。ハルク、哀れ…… 行動がバレてる。 しかし目から光線!! サリーもすごいけと、サリーを受け入れてくれたダン男爵の慈愛がすごいですね(^-^)
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