第三章 総合病院の地下2階
第 三 章
冥衣花は部室を後にした
なぜか彼女たちはお土産として、黒わらび餅(千紀円)と、お清めと書かれた
塩が入っている小袋を手渡してくれた
その日のうちに部活を決めることをあきらめ、学校の玄関で黒いローファーを履き
駅に向かって歩いた
めいかの乗った電車は、自宅の方向ではなく父の勤務する総合病院の方向だった
その日、めいかの両親は結婚記念日で、母親は永久に不在のため代理でめいかが出席し
父と二人でお食事をすることになっていた
最寄駅で降り歩いていると12階まである建物の病院が見えてきた
めいかは病院の自動ドアを通り総合受付を無視し横切り
職員用入り口の扉の前に立った
救急車がこちらにやってくる音が聞こえる
通学かばんからサマンサタバサのお財布を出し、カードキーを取り出して
扉の横の機械にそれを近づけた
扉が開きめいかは中に入った
職員用エレベーターに入っためいかは、小さな鍵を取り出して閉じるボタンの下に
ある鍵穴にそれをさし回した。するとそれまで暗かった地下2階のボタンが光った
めいかはボタンを押し目的の階につくとそのまま廊下を進んだ
廊下ですれ違う人はおらず、制服姿の女子高校生がそこを歩いていても問題にならない
廊下の突き当たりに厳重にロックがかかった自動扉があった
カードキーをかざし、モニターに向かって自らの網膜を写した
二重の自動扉が順に開き、壁一面が引き出しで無数に囲まれた部屋が開いた
ステンレスでできた引き出しは、ちょうど人が入れるくらいの大きさ
扉の上に、第二遺体安置室とあった