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君を想い、君を愛し、君を殺す

作者: 羽田トモ

 僕たち五人が作戦司令部に呼ばれたのは、一週間前の事である。入室すると、限られた者のだけがおり、極秘作戦を言い渡された。内容は、僕らだけで魔王の城へ赴き、魔王を殺すというものだ。現在、連合軍は劣勢に立たされている。理由は明白。魔王軍の数が、連合軍の三倍以上に上るからだ。それほどの戦力差にもかかわらず戦線を維持できているのは、僕らのような超越した力を持った者がいるからだった。だが、このまま消耗戦を行えば敗北は必死。そのため、人類の命運を賭けた勝負に打って出ることになった。


 こうして、僕ら五人は身を隠しながら魔王城へと向かう旅が始まった。物資は乏しく、味方からの援助も支援もない。過酷で困難な旅路。しかし、人類を勝利へ導くため、僕たちは互いに励まし合いながら前へ進み続けた。そして、とうとう魔王城へ急襲可能な距離に辿り着いた。ここからなら魔術で飛んでいける。明日、僕たちは魔王と相対するのだ。


 万全を期すため早めに休息を取る。必ず魔王を殺そうと仲間同士で鼓舞し合っていると、僕一人が君に呼ばれた。三人から茶化されながら、崖の上で待つ君の元へ向かう。その道中、手つかずの大自然に目を奪われた。遠方に聳え立つ山々、丘陵に生えた草花が風になびき、雲の羽衣が空を漂っている。綺麗だと思った。そして、そう思える自分を大切にしたいとも思う。君が「その心を大切にして」と、慈しむように言ったから。次第に空は赤らみ出し、風が冷たくなってゆく。崖の上に辿り着くと、美しい風景を背に立つ君がいた。僕が戦うもう一つの理由。後ろを向いている君に近づく。だが、君はゆっくりと振り返り、僕の目を見て静かに口を開いた「私が魔王なの……」と。


「何を言ってるんだ……?」


 真剣な声で紡がれた言葉。僕は頭を殴られたような衝撃を受けながら、君を見つめる。赤みを帯びた陽光が降り注がれ、輝きながら風にたなびく長い金色の髪。白磁の様に白い肌に刻まれた、歴戦の()の数々。聡明さを宿す瞳とは裏腹に、子どもの様に愛らしい顔付き。目の前にいるのは共に旅を続けた仲間であり、僕が思いを寄せている魔術師ツィチで間違いない。彼女のことは誰よりも知っている。そんな彼女が魔王……あり得ない。僕は首を振りながら、ツィチの言葉を否定する。


「ツィチ。こんな時に、そんな笑えない冗談はよしてくれ……」


 弱弱しい声でそう言うと、ツィチは目が僅かに俯き、下唇を軽く噛みしめた。その仕草を見た瞬間、心臓を鷲掴みにされた感覚が襲う。冷や汗が全身から噴き出し、頭が真っ白になる。その仕草は彼女の癖だった。動悸がし出し、呼吸が荒くなっていく。疑心と拒絶が心の中で渦巻き、体は耐えられずに吐き気を催す。視界も白み出し、そのまま気を失ってしまいそうになるのを膝に手を突いて耐える。だが、心身の乱れは収まらず、その場で嘔吐した。


「レオ……」


 彼女の気遣う声。普段通りの、耳心地の良い彼女の声。だが、彼女は魔王。ならば、今までどんな思いで、どんな気持ちで共に行動していたのか。死線を共に乗り越え、笑い合った数々の思い出は偽りだったのか。ツィチは三人を……僕のことを嘲笑っていたのか。わからない、わからない。感情が雁字搦めになる。唯一分かるのは、感情の端。その端を辿るように、ゆっくりとツィチの顔を覗く。彼女は、真っ直ぐに視線を交わしてきた。その彼女の瞳が物語ってくるのだ。すべてが真実だと。


「嘘だッ!」


 血の気が引き、思わず叫び声を上げてしまう。すると、その声を聞きつけ、待機していた三人が武器を手にして駆けつけた。そして、全員が同時に息を呑む。無理もない。僕は憔悴した顔を浮かべ、ツィチが黙って見つめているのだから。ただ、素早く冷静さを取り戻した聖騎士ノルトが、状況を把握するために口を開いた。


「何があったか教えてくれないか……?」


 大国の王子であるノルト。銀髪の長髪を銀糸で結い、鷹のように鋭い目つきに、まるで彫刻のような顔立ちをしている絶世の美男。そして、その端正な見た目に劣らぬ絶技を修めており、忠義に厚く、品行方正で、騎士として、また、大人として常に余裕な態度で振る舞う騎士の中の騎士。魔王軍に囲まれた時でさえも、「社交界より楽だ」と、涼しい顔で言ってのける人物である。そんなノルトとは思えぬほど、動揺が見て取れた。


「…………」


 僕はノルトに何も言葉を返せなかった。だが、ツィチは違った。三人に体を向けると、自分が“魔王”であると抑揚のない声で告げたのだ。その告白を受け、三人の顔から表情が抜け落ちた。三人も察したのだろう。身と心が引き裂かれるような痛い沈黙が、五人の間に流れる。その沈黙を破ったのは、神官ペルスティだった。


「嘘ですよね? ツィチ……」


 彼女の慈悲深さを体現したような深青な色の長髪が揺れ動く。慈愛に満ち、柔和な笑みを浮かべるペル。誰かが傷つくことを嫌い、誰を助けるために奮闘し、散った命の前で誰よりも涙を流してしまう繊細な彼女。そんなペルが、縋る様な顔をしながらツィチに声をかける。


「……ごめん、ペル」


 たった一言。その一言を聞くや否や、ペルは見る見るうちに悲痛な表情へと変わっていった。そして、糸が切れたかのようにその場にへたり込み、声を出さずに涙を流す。


「ならよ、今ここで殺るか……」


 大気を震わす低い声。直後、肌を焼く様な濃い殺気に包まれた。戦斧を構えた戦士オルウィル。短く刈り上げた赤い髪に無精ひげ、巌のような体には無数に刻まれた裂傷が歴戦の雄であることを物語っている。戦と酒と女が好きな豪快な男。そんなオルが、腰を落としながら戦斧を構える。僕は堪らず、二人の間に割って入った。


「オル、待ってくれ!」


 僕はオルの殺気に心を焼かれ、立ち込める焦燥感に身を(いぶ)される。赤々と燃える殺気のせいで上手く息が吸えない。ただ、ツィチは動じることなく遠い目をしながら佇んでいた。その顔が僕をさらに追い詰める。刻一刻とオルの殺気は膨れ上がっていき、いつ張り詰めた(空気)に引火して焼き切れてもおかしくない。


「どけ、レオ。ツィ……ソイツが言ったじゃねか、魔王だってよ。なら、殺るまでだ。そのために、ここまで来たんだろ」


 オルは構えを解かず、殺気を纏いながら僕の後ろにいるツィチの事を睨み付ける。こうなってしまったら、オルは止まらない。粗暴ではあるが、仁義や筋を通すことを重んじる男だ。一度交わした約束を反故にするようなことは絶対にしない。現に、もういつ飛び掛かってもおかしくない雰囲気だった。それを見て、心がざわつく。オルの言っていることは正しい。僕たちは魔王を殺しにここまで来たのだ。その魔王が護衛の一人も携えず、無防備な状態で立ち尽くしている。オルは間違っていない……。


「……気は確かか、レオ」


 そう呟くと、オルがツィチに向けていた視線を僕に向ける。鋭い眼光が僕を射抜く。無理もない。僕は腰に下げていた剣を抜き、切っ先をオルに向けたのだから。無意識に体が動いたのだ。その途中、意識が追い付いた。ただ、僅かな逡巡もせず、自分の意志で剣先を向けた。オルは引かない。が、僕も引く気はない。殺気を放ち、オルと視線を交わす。すると、大地を覆う草が激しく揺れ、土埃が舞い上がる。研磨された鋭い殺気と焦がすような殺気がこの場を満たし、時間の流れを遅くさせた。


「止めるんだ、二人とも」


 厳かで静かな一言が、殺気を霧散させ、時間を正常に流れさせた。オルと同時に目をやると、ノルトが真剣な表情で僕らを真っ直ぐに見つめていた。その目を見て、頭に昇っていた血が急速に下がり、熱を帯びていた身体が冷めていく。ノルトの穏やかで、窘めるような銀色の目。この目が苦手だった。多くを語らず、僕が自発的に誤りや間違いに気付く様に問うてくる目。「君ならできるだろう」と、信頼している目だ。息を吐き、全身に込めていた力を抜く。


「ごめん、オル……」


 僕は頭を下げ、オルもばつが悪そうな顔をさせながら「俺も悪かった……」と、謝罪を呟いた。


「うん。それでだ、ツィチ。本当に君が魔王だと証明できるかい?」


 ノルトが、ツィチに語り掛ける。その声に釣られ、僕は振り返って彼女を見た。彼女と目が合う。真実が知りたい。だけど、知りたくない。二つの思いが心の中でせめぎ合い、体が鉛の様に重くなる。そんな中、直立しているツィチの体が一瞬(かす)かに揺らぐ。直後、彼女の頭にまるで暗雲から降り注ぐ稲妻のような禍々しい二本の黒い角が現れた。魔族の象徴。魔力の塊である角を見れば、その個体《魔族》の強さが把握できる。ツィチの角は、今まで屠ってきた魔族達が道端に転がる小石に思えてしまうほど、途方もない魔力を内包していた。


「…………」


 皆、口を噤んだ。僅かに残っていた可能性が、煙の如く空に紛れて消えたからだ。目の前にいるのは、死線を共に超えた仲間ではなく、魔王(宿敵)。ただ、誰も動けずにいた。すると、ツィチがそっと目を閉じた。その様子をただ呆然と眺めていると、彼女はゆっくりと目を開き、そして静かに語り出す。


「話ます、全てを……」


 放心状態でも耳を傾けるのは、彼女を殺さずに済むという一縷の望みを捨てきれないでいたからだった。わかっている。だがそれでも……いや、そうしなければ心を保てなかったのだ。耳を澄ますが、風音や鼓動が鬱陶しい。できることなら、それら全てを止めてしまいたい。そんなことを思っていると、ツィチが僕の顔を見て微笑んだ。その微笑みを見て、心が躍る。こんな時でさえも、綺麗だと思ってしまう。


「私は探してたの。魔族の脅威となる存在を。そして、レオを見つけた。レオの力は、魔王軍に甚大な被害を及ぼす。だから、動向を監視するために仲間に加わった……けど、一緒に旅する中で私はレオを愛してしまった……」


 ツィチの告白に、僕はどんな顔をしたのか……。彼女の想い(言葉)を初めて聞いた。互いに気付いていた。ただ、口に出来なかった。カッコつけたかったのかもしれない、関係性が変わることを恐れたのかもしれない。後回しにしてしまった。この戦争を終わらせた後、君に告白しようと。激しい後悔が襲う。何故、一番大事なことを口にしなかったのか。何故、想いを言葉にして伝えなかったのか。言い表せられない感情に苛まれ、心が痙攣を起こす。


「お願いがあるの。私を殺して」


 その瞬間、風が音を鳴らして吹き荒ぶ。冷たい風に当てられ、全身に震えが走る。いや、違う。ツィチの言葉を聞いた心が、拒絶反応を示したのだ。彼女は、真っ直ぐ僕らを見つめている。その顔に怯えや恐怖は微塵も感じられない。既に、己の死を受け入れているようだった。


「私の心臓が止まれば、城に仕掛けた魔術が作動して、城にいる魔王軍は壊滅できる。みんなは、進軍している魔王軍を討伐して。もうこれしか、人類に勝つ手立てはない」


 ツィチがそう言って、言葉を締めくくった。君の顔を見て、遠い日の記憶が蘇る。あれは、最後に立ち寄った街での食事の時だった。僕は名物料理が食べたかった。だけど、君は最近流行っているという料理を食べたいと譲らなかった。結局、その時も僕が折れた。困難な旅路の中のささやかな幸せ。心が温かくなり、思わず小さな笑みを零す。


 オルが再び殺気を放ち出す。彼女を殺すためだ。オルなら、ツィチを苦しませずに一撃で殺せるだろう。だけど、譲らない。彼女の顔が曇る。僕がオルに向かって歩み出したからだ。また、止めに入ると思ったのだろう。でも、違うよ、ツィチ……。


「……僕がやる」


 オルの肩に手を置くと、ツィチの元へ向かう。たった数歩の距離。(人族)(魔族)。胸を高鳴らせながら、想いを伝える言葉を織る。あまりに遠く、あまりに近い距離。僕は、不安そうな顔をしている君の前に立った。その顔は似合わない。君には笑っていて欲しい。だから、君の手を取った。


「ツィチ、僕も君を愛してる。それが君の願いなら、僕がやる。他の誰にもさせない、僕が君を殺すよ」


 微笑みを浮かべながら、もう二度と後悔しないよう想いを言葉にして君に伝える。


「ありがとう、レオ」


 ツィチは一瞬、目を見開いた。ただ、直ぐに微笑みを浮かべて僕の手を握り返してきた。僕はツィチの手を握ったまま、三人に向かって深々と頭を下げた。


「みんな、少しでいいんだ、時間をくれないか?」


 彼女は一瞬戸惑ったが、僕に倣うように頭を下げた。逃避行を企んでいるわけではない。それは、ツィチの覚悟を冒涜することになる。ただ、語り合う時間が欲しかった。仲間同士ではなく、愛を告げ合った男女として。


「…………明日の朝、太陽が完全に昇るまでだ」


 ノルトが彼の王国の紋章である蛇が彫られた銀製の海中時計を取り出し、静かに答えた。太陽が昇ったらではなく、完全に昇るまでなのは彼の計らいなのだろう。頭を上げて、真剣な眼差しの彼と視線を交わす。暫くして、ノルトはその端正な顔を僅かに崩して微笑んだ。


「オル……」


 ノルトからの許しを得た後、今度は腕を組んで難しい顔をしているオルに声をかけた。だが、彼は口をきつく結んだまま何も答えず、それどころか、そっぽを向いてしまった。三人の間に、沈黙が流れる。


「勝手にしろ」


 顔を背けながら、オルがたった一言呟いた。その一言を口にするのに、オルの中でどれ程の葛藤があったのか僕には計り知れない。僕達は姿勢を正し、もう一度、オルに深々と頭を下げた。


「待ってッ」


 ペルの声が崖に木霊する。視線を向ければ、ペルが俯きながら立っていた。ツィチの顔を見ると、彼女は頷いた。ペルの思いに応えるのはツィチ一人、一人で受け止めなければならない。僕が手を離すと、ツィチはゆっくりと歩き、ペルの前に立つ。


「私たちを騙してたの?」


 重く、絞り出したようなペルの声が崖の上から落ちる。まるで、彼女の心を現しているようだった。当然だ。神官であるペルにとって、魔族は仇なす存在。触れるどころか、言葉を交わすことすら禁忌なのだ。ただ、ペルはツィチと言葉を交わす。それはきっと、神に仕える者としてではなく、親友としての問いかけなのだろう。


「ごめんなさい」


 ツィチは謝罪を口にする。しかし、ペルが求めていた答えではなかった。頭を激しく左右に振って、ペルが欲している答えを問い質す。


「謝罪の言葉が聞きたいんじゃない。私たちを騙して、陥れようとしていたの? 答えて?」


 ペルの心の底から絞り出した言葉。ペルの言葉を聞いて、僕の心も痛む。ペルの言う通りでだからだ。僕は赦した。赦したが、それでも黙っていた事実が無くなった訳ではないのだ。情けないが、頭の片隅に裏切られたという思いが今も胎動していた。


「魔王の私が……今まで隠してた私が今更言っても信用できないと思うけど、違う。みんなのことを、私は大切に……今も……思って……」


 ツィチの言葉が、次第に途切れ途切れになっていく。さらに、彼女の手が小刻みに震え出す。一瞬、ツィチの元へ駆け出そうと思ったが、拳を握り締めて堪える。


「私は魔族が赦せない」


 ペルの言葉を聞き、ツィチの体が大きく震えた。ただそれでも、彼女はペルから視線を外さない。


「魔族のせいで多くの悲劇が生まれた……」


 この旅路の中で救えなかった命、流した涙は数えきれない。優先されるのは、魔王の討伐。見捨てなければならない時もあった。その際は必ず、ペルは涙を流しながら天に祈りを捧げていた。


「……けれど、あなたの行いで救われた命を知っている、あなたの笑顔で救われた心を知っている、あなたが、あなたの知らないところで人々の生きる糧になっていることを私は知っている。私は、そんなツィチのことを今でも大切に思っている。かけがえのない友人を想うこの気持ちは、神に対する裏切りなのでしょうか……?」


 ペルの目から涙が零れる。ツィチのことを真っ直ぐに見つめながら、声を出さず、涙を拭う事もせず、ただただ涙を流すペル。


「ごめん、ごめんね、ペル……」


 これまで涙を流していなかったツィチの顔に、一筋の涙が伝う。それが呼び水になり、堰を切ったように涙が溢れる。二人は歩み寄らず、その場で涙を流し続けた。


「私にも、少し時間をいただけませんか?」


 空色が、橙、青、青紫の美しいグラデーションを生み出し始めた頃、泣き止んだペルが僕とツィチに懇願してきた。ペルにとっては、これが最後の願いになる。僕たちは悩むこともなく、その願いを聞き入れた。


「時間は取らせません」


 そう言って、僕たち二人を離れた場所へ移動させ、呼びに来るまで待つようにと言われた。そして三十分後、ペルが僕らを呼びに来た。何も聞かず、尋ねずに彼女の後ろについて行く。そして、崖に辿り着くと、僕は思わず目を見開いて言葉を失った。


 地面に突き刺した枝に掛けられた教会の紋章の旗、テーブルを改造した祭壇、切り倒された丸太をそのまま並べた椅子、色とりどりの花と淡く光る魔石で作られたウエディング・アイル。きっと第三者が見たら、粗末な出来だと言うだろう。だが、僕の心は暖かな感情で満たされていた。ツィチもそうだ。彼女の体温が上がっているのが手から伝わってくる。紋章の旗と祭壇にはノルトの拘りが、丸太の椅子にはオルの大雑把さが、ウエディング・アイルにはペルの細やかさが表れている。目の前の何物にも代え難い空間に見入っていると、ペルが申し訳なさを滲ませた笑みを浮かべながら声をかけてきた。


「ごめんなさい、これしか準備できなくて……。ただ、せっかく二人が愛を告げ合ったのですから、祝福させてください」


 こうして、僕らの挙式が行われることになった。


「レオ、これを」


 ツィチがテントの中で着替えている中、ノルトが僕に綺麗に畳まれた純白の布を差し出して来る。一目見て、それが何なのか分かった。かつて、“私の戦う理由”だとノルトが口にした物。彼が聖騎士としてではなく、王族として振る舞う際に羽織る国の紋章が刻まれたマントだった。


「……ありがとう」


 風になびく筈のマントが、重い。このマントはノルトの誇りそのものだ。その重みに恥じぬように心を引き締め、純白のマントを羽織る。


 準備が出来たのか、ペルが駆け足で戻ってきた。そして息を整え、神聖な空気を纏った彼女が祭壇の前に立つ。厳かな静寂に包まれる中、ツィチが姿を見せる。


 彼女の姿に見惚れてしまう。袖が切り落とされた、ペルの清白の祭服を着たツィチ。頭にはペルが摘んで作った花冠を被り、手にも色鮮やかな野花のブーケを握りしめている。祝福のファンファーレはない。ただ、木々の揺らぎ、鳥のさえずり、崖下から聞こえる水音が自然の調べを奏でていた。君は、一歩一歩踏み締めるようにウエディング・アイルを歩く。ベールボーイをノルトが、父親役をオルが担う。優雅な笑みを浮かべるノルトとは対照的に、異常なほど緊張した面持ちのオル。その様子を察しているのか、ツィチは愛おしそうに、そして幸せそうな顔をしている。そんな君と目が合う。


「ツィチ、綺麗だ……本当に綺麗だよ」


 嘘偽りのない言葉を贈る。君に愛を告げた後なのに、僕はまた君に恋に落ちたようだった。体が熱く、全身が脈打つ。死を間際に生を実感したことは何度となくあった。しかし、生を謳歌して生を実感するのは初めてだった。君がいるからだ。五感を研ぎ澄ましているのに、一つ一つがふやけたような心地良い感覚に包まれる。


「ありがとう、レオも素敵」


 頬を赤らめ、潤んだ瞳を揺らしながら微笑む。陽だまりのような暖かい笑顔。挫けそうになった時、君はいつも優しく微笑みかけてくれた。だから、僕はここまで来れたんだ。


「新郎レオ。あなたはここにいるツィチを妻として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「誓います」

「新婦ツィチ。あなたはここにいるレオを夫として愛し、敬い、慈しむ事を誓いますか?」

「誓います」


 口を閉ざしたままゆっくりと頷いたペルが、言葉を紡ぐ。


「指輪の交換を」


 ペルが差し出してきた指輪。この指輪は、旅路へ赴く前に王都の露店でツィチからねだられて僕が購入した指輪だった。高価な物ではない。昔、僕は見栄を張りたくて「もっと高いのでいいよ」と言ったことがある。しかし、君は毎回「これがいいの」と言って、あまり高価な物はねだらなかった。ただ、そのどれもを宝物のように大事にしてくれて、贈った僕の方が嬉しくなっていた。

 指輪を取り、ツィチの薬指にゆっくりとはめた。彼女は、はめられた指輪を愛おしそうに見つめる。君も僕の薬指に指輪をはめた。


「誓いのキスを」


 僕は君を見る。君は僕を見る。空は暮れ、太陽と夜が一時だけ交わることを赦される夢の刻(トワイライト)。僕はそっと唇を重ねた。ペル、ノルト、オルから祝福の拍手が贈られる。


 ――僕らは夫婦になった。



◇◇◇◇◇



 僕とツィチが、三人と向かい合う。お別れだ。ツィチはまず、ノルトの前に立つ。彼女と向き合うノルトは、いつものように優雅な笑みを浮かべながら口を開く。


「ツィチ。君と共に戦えたこと、そして、友に成れたことを私は誇りに思う。この大戦を終えて祖国に帰還したならば、君を英雄として未来永劫語り継ぐことを私の名に……いや、私の魂において誓おう」

「ありがとう、ノルト」


 握手を交わしたツィチは、次にオルの前に立つ。だが、オルはそっぽを向いて彼女の事を見ようとしない。そんな彼に、ツィチは何も言わずに抱き着いた。


「抱き着いてねぇで、とっとと行け……」

「うん」

「……早く行けよ」

「うん」

「お前は魔族だ……」

「うん」

「……だけどよ、お前はいい女だ」

「うれしい、オルの御墨付きだね」


 ツィチの言葉を聞いて、オルは空を見上げて鼻を鳴らす。ツィチは、本当に嬉しそうに笑う。そして、静かにオルから離れると、最後にペルの前に立った。


「ツィチ!」


 ただ、ツィチが口を開くよりも前に、ペルが彼女に抱き着いた。その行動に、ツィチは驚いた表情をさせながらもしっかりとペルの事を受け止めた。ただ、躊躇いがあるのか、抱きしめることが出来きずに手が途中で止まってしまう。


「あなたは私の大切な友人です。これまでも、これから先もずっと」

「ペル、私……ごめんな――」

「もう、いいんです。それより、寂しいです」


 ペルが小さく頭を振って、穏やかな笑みを浮かべる。その顔を見たツィチは一瞬泣きそうな顔になるが、目と口をぎゅっと閉じた。そして満面の笑みを浮かべると、ペルのことを強く抱きしめた。


「ありがとう、ペル。大好き」

「私もです」


 暫くの間抱きしめ合ったツィチは、ゆっくりとペルから離れ、僕の横に並び立つ。彼女の顔は、どこか清々しさが感じられたい。そっと君の手を握ると、三人と向かい合う。「ツィチ」の名前を呟く。すると、僕らの体が光り出す。転移魔術の発動兆候だ。三人は、じっと僕らの事を見つめている。僕らも見つめ返す。やがて、体の重さが無くなったと思った瞬間、完全に光りに覆われ、三人の姿が見えなくなった。



◇◇◇◇◇



 湖のほとりを一人で歩く。夜風が気持ちいい。この地域は、日が暮れても温暖な気候のため過ごし易かった。月明かりに照らされた夜道の先には、暖色の光を灯す湖畔に建つ一軒の小屋。僕は小屋に辿り着くと、帰宅を告げるように扉を叩く。すると、直ぐに中から足音が聞こえ、ゆっくりと扉が開いた。


「おかえりなさい、レオ」


 笑顔で迎えてくれる君。僕も笑顔を浮かべながら「ただいま」と言葉を返す。君は口を閉ざしたまま、目だけで問うてくる。それに気付いた僕は誇らしげ、釣果を掲げる。一匹の大型魚。食用に適しており、王都でも人気のある魚である。君は手で口を覆いながら驚く。ただ直ぐに満面の笑みを浮かべて「すごい」と感心し、僕を褒めつつ、小屋の中へ招き入れてくれた。僕は幸せで満たされた小屋の中へ入る。


 転移魔術で飛んだ先は、旅路の途中に一晩だけ過ごした小屋だった。山頂付近の開けた場所に建っている小屋は、かつて、木こり小屋として使われていた。ただ、それも昔の話。魔王軍との大戦が勃発した際に放棄されたのだ。皮肉なことに、そのおかげでここには手つかずの自然が残っている。水と空気が綺麗でなければ咲かない青花(ディープ・ブルー)白花(エンジェルティア)が咲き乱れ、目が覚めるような爽やかな香りと濃厚な甘い花の香りに誘われて、朧気に光る数十頭の幻霊蝶が優雅に舞っている。水底まで見通せる小さな湖には、星屑魚の群れが暗い水中に幾重もの流星を描いていた。ここは、君が気に入った場所だった。


「待っててね、直ぐにご飯にするから」


 彼女が小さな調理台で手際よく遅い夕飯の支度を始めた。そんな君の後ろ姿を椅子に座って眺める。穏やかで、緩やかに流れる時間。静かに目を閉じる。まな板の小気味の良い音、沸騰する鍋、徐々に香ってくる食欲をそそる匂い。体で感じる幸せ。僕が魚を釣っている間、小屋の掃除をしてくれていた彼女の仕事ぶりは完璧だった。磨かれたテーブルと椅子、埃や蜘蛛の巣が叩き落とされた壁、綺麗に掃かれた床と、着いた時の汚さが嘘のように小屋の中が隅々まで綺麗になっている。


「お待たせ、出来たよ」


 テーブルに二人分の食器を並べ終え、今か今かと待ち侘びていると、大型のスキレットを手に持った君が振り返りながら声を上げる。出来上がった料理を見た瞬間、僕のお腹が鳴った。日持ちの良いドライトマトや小屋の近くで摘んだばかりの香草が乗ったアクアパッツァ。ツィチの得意料理であり、僕の好物。各々の取り皿に料理を分け、二人で手を合わす。


「いただきます」


 息を吹きかけて熱を冷まし、一気に頬張る。すると、爽やかな香草の香りが鼻から抜け、直ぐに脂の乗った魚の旨味が口いっぱいに広がった。しっとり柔らかい白身、歯ごたえがあって味が濃いドライトマト、食材のエキスが溶け出したスープ、刻まれた香味野菜の余韻が口の中で混然一体となり、自然と頬が緩む。


「おいしいよ、ツィチ」


 僕は光悦とした表情をさせながら、味の感想を伝える。じっと僕の顔を見つめていた君はそれを聞いて嬉しそうに笑うと、料理を食べ始めた。それからは、昔話に花を咲かせながら食事を楽しんだ。食事中ということもあり、話題は主に料理について。旅を始めた頃、料理の担当はペル一人だった。だがある日、君が突然ペルから料理を習い始めた。悪戦苦闘しながら出来上がった記念すべき最初の料理は、表面が炭化した生焼けの肉塊。それを一口食べた僕が腹痛に見舞われたことを笑いながら語ると、君は頬を膨らませて拗ねてしまう。平謝りするが、君はなかなか機嫌を直してくれない。そしておもむろに、口を大きく開けてねだってくる。僕の分の料理を食べさせてあげると、君は満足そうな顔をする。


「ツィチはゆっくりして」


 食事を終えると、汚れがこびり付く前に食器を洗う。片付けは僕の担当だ。ただ、君は「手伝う」と言ってくれ、二人並んで食器を洗う。君が手伝ってくれたおかげで、圧倒言う間に片付けは終わり、二人で食後の運動がてら夜の散歩に出かけた。


「綺麗……」


 君が空を見上げて感嘆の声を零す。その声に、僕も同じように空を見上げる。雲一つない夜空には、七色に輝く大きさも明度も違う星々が空を埋め尽くしていた。王都の夜景も人々の営みが灯っていて美しい景観だが、ここは付近一帯に人も魔物も居ないため心地良い静謐せいひつに包まれていて、まるで生命一つ一つを尊重しているような絶景が広がっている。


「う~ん……、あッ!」


 花畑をじっと見つめていた君は突然、花を避けながら駆け出す。君が走り抜けた跡には、軌跡の様に花びらが舞い上がる。そして、一際青みが深い青花ディープ・ブルーの前でしゃがみ込むと、花を傷付けないように優しく茎の部分から摘み取った。花の香りを嗅ぎ、笑みを浮かべる君。その様子を穏やかな気持ちで眺めていると、君はゆっくりと僕に近づき、その花を胸元に飾り付けた。


「ふふ、良く似合ってる」


 その後、湖のほとりに二人並んで座る。君は僕の体に寄りかかり、肩の上に頭を乗せた。君の体温を感じる。それが心地よく、安心できた。君はこの穏やかな時間に浸るように、そっと目を閉じる。そんな君を横目に、僕は湖をぼんやりと眺める。


 星屑魚スパークルズフィッシュ。見た目が美しい魚だが、“死の象徴”としての側面を持つ。この魚は繁殖期にのみ、雄の個体が体を発光させる。その光で以って雌に求愛行動を取り、子孫を残すのだ。だが、子孫を残し終えると、体の発光は急速に弱まっていく。そして光が完全に消えると共に、衰弱死して暗い水底に沈む。


 白花エンジェルティアと幻霊蝶もそうだ。白花に希少価値はない。ただ、唯一無二の特徴を持っている。それが、花弁はもちろんのこと、茎も葉も根も全てが白いということだ。この見た目から、死者の日の献花として用いられる。死者の日とは、天界へ昇った清浄な死者の魂達を祭る日のことで、その白花の蜜を好むのが幻霊蝶なのだ。夜な夜な花の香りに誘われて、祭壇に数十頭の幻霊蝶が姿を現す。名の由来も、祭壇に群がる幻霊蝶を見て、死者の魂が黄泉帰ったと誤解したところから名付けられている。


 ――死。


 胸の奥底に閉じ込めていた思いが揺さぶられ、這い上がってくる。この小屋に着いた際に、君と約束したこと。特別なことをするのではなく、普通の男女の、等身大の幸せ(日常)を過ごす。だが、無理だった。心が叫ぶのだ。幸せを感じているからこそ、この先もこうして君と過ごしたい、と。体が小刻みに震れ出し、それに気付いた君が心配そうに声をかけてくる。


「レオ……?」


 僕の事を気遣うような優しい声音。君の声が聞ける。それがどんなに幸福なことなのか。だが、その声もあと数時間で聞けなくなってしまう。頭の中で君との思い出が、まるで走馬灯のように巡る。辛いこともあったはずなのに、君が僕の隣にいてくれたことで全ての思い出が色鮮やかに輝いている。そんな君がいなくなってしまう。僕は喪失感と底の見えない恐怖に身を強張らせる。そして何より、己の無力さが憎い。僕にもっと力があれば、君の命を引き換えにせずとも人類を救えた。あるいは僕が力を持たぬ弱者なら、もし君が魔族でなければ……。感情の奔流に飲まれ、思考が定まらない。気が付くと、無意識に源泉の分からぬ涙を流していた。何故、泣いているのかが分からず、ただ流れ続ける涙に頬を濡らす。


「大丈夫だよ」


 涙を流す僕の事を君は優しく抱きしめた。体が密着したことで、君の鼓動が伝わってくる。君の命の音。こんなにも力強いのに、こんなにも美しいのに――何故、この音色を止めなければならないのか……。体から力が抜けていく中、君はずっと優しく撫で続けてくれる。そっと君の顔を覗く。君と目が合うと、僕に優しい顔で微笑んでくれた。離れたくないと思ってしまう。だから――、


「ツィチを……ツィチを殺して、僕も……」


 頭では分かっている。それ以外に人類を救う手立てがないのだ。最善の選択。理想を追い求めて救える命はない。理想を否定したいんじゃない。理想がなければ、人の心は簡単に死んでしまう。だからこそ、理想を語り、理想を思い描かせることで、人の心を救うのだ。その上で、最善を尽くす。頭では分かっているのだ――だから、人類を救うために君を殺し、その後に僕も死のうと考えた。


「ありがと、本当にうれしい。けど……、ダメだよ、レオ……」


 一瞬、君は本当に嬉しそうに笑った。だが、直ぐに頭を小さく横に振る。胸を締め付けられるような痛みが走った。


「私が死んだら、残った魔族同士が新しい魔王を決め出す。その方法は、誰が一番人間を殺せるか。レオにはね、それを阻止して欲しいの……それにね、我儘わがままだけど、私はレオには生きてて欲しいんだ」


 君はそう言うと、笑った。本当に我儘で、ズルいと思った。君にそんなことを言われてしまったら、僕が死ねないことを分かって言っている。“共に死ぬことを望む君ではないのだ”。本当にズルい。だけど、そんな君が心の底から愛おしく、好きだった。


「小屋に戻ろ」


 君は立ち上がると、僕に手を差し出した。月明かりに照らされた君。その心、その姿――全てが綺麗だと思えた。僕は君の手を握ると、静かに立ち上がる。そして、込み上がってくる感情に抗えず、君を抱きしめてキスをした。柔らかな感触と甘い吐息に、鼓動が高鳴る。時間が止まったような感覚に溺れ、二人だけの世界で互いが互いを求め合う。


「帰ろう、ツィチ」


 手を絡め、ゆっくりと歩き出す。僕は弱い。だけど、君がいる。僕は君を忘れない。君も僕を忘れない。この僅かな時間の中で、僕らは一生の愛を語る。僕が君の心に剣を突き刺すのならば、僕の心には君という存在を刻み込む。



 ◇◇◇◇◇



 山を覆う朝霧が晴れてきた。霧の隙間から射し込む朝日、日を浴びて淡く光る霧、遠くで聞こえる鳥のさえずり、朝の匂いと湿った土の香りが香り、幻想的な朝を作り出している。僕らは小屋の中から、静かにその景色を眺めていた。ただ、それももう終わり。僕らは歩み出した。


「レオ、これを」


 君が様々な魔道具を渡して来た。これらは昨日の説明を受けた物で、三人の元へ帰れる道具やそれ以外にも魔王軍の残党を討伐するために役立つ魔道具である。


「ありがとう、ツィチ」


 二人で小屋の外に出た。山頂付近ということもあり、太陽がよく見えた。あと少し。地平線に僅かに掛かる太陽を、君の手を握りながら眺める。僕も君も清々しい顔をしていた。そして太陽が完全に昇ると、ゆっくりと君と向き合う。


「大丈夫?」


 君は最後まで僕の事を気遣う。


「うん」


 僕は笑ってみせた。


「…………」


 君は優しく微笑む。


「…………」


 僕は真っ直ぐ君を見つめる。


「ツィチ、愛してる」


 僕の最後の言葉。


「私も愛してる、レオ」


 君の最後の言葉。




 僕は君の心臓に剣を突き刺した。


 根元まで剣を突き刺し、一気に引き抜く。その瞬間、君の胸から鮮血が噴出す。そして、そのまま崩れ落ちそうになる君を、僕は剣を投げ捨てて優しく受け止める。


 溢れ出る()


 徐々に君がこの世から消えていく。僕は君だけを見つめる。君という存在が旅立とうとしているのだ。最後の瞬間まで見届ける。やがて、体温が消えた。あれだけ暖かかった君の体温が……。次に、鼓動が消えた。あれだけ力強かった君の鼓動が……。


 ――君は僕の腕の中で、静かに息を引き取った。


「…………」


 僕は大丈夫だよ、ツィチ。君にカッコ悪い姿は見せられない。それに、君の心は消えずに僕の心の中に残ったよ。ちゃんと刻み込んだ。……だけど、だけどさ、ツィチ、今だけはいいかな……?


「―――――うわぁあああああああああああああああッ!!!」


 安らかな表情を浮かべる君を抱き、太陽に向かって慟哭した。


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