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限界オタク聖女が敵の拗らせゾンビ男子を溺愛してみたら  作者: フオツグ
限界オタクと妹と。

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限界オタクが聖女の力について詳しく知ってみたら

 ヒナから謝罪があった後、【牡羊座の守護者】ベリエや【双子座の守護者】ジェミニとポルックスからも謝罪された。

 イオリは謝罪を受け入れ、彼らと和解した。

 ベリエには「今後、イオリのために力を尽くす」と約束され、双子には涙ながらに感謝された。


 そして、魔王軍幹部の一角・ネプチューンに破壊された、【墓場の森】と聖ソレイユ王国の境にある壁について。

 今はバリケードを張ってはいるが、そのまま放置していれば、ゾンビがバリケードを突破する可能性がある。

 壁の修復は急務であり、多くの人員が派遣された。

 ゾンビを制止する役としてノヴァもその中に含まれている。

 当然、【墓場の森】のワープドアの設置のために計画されていた遠征は中止になった。


 ノヴァと立場のある【星の守護者】達は慌ただしくしていた。

 しかし、明星寮ではいつも通り、聖女勉強会が行われていた。


「……この度、聖女勉強会の教師を務めることと相成ったシュタインボックじゃ。よろしく頼むぞ、聖女達よ」


 シュタインボックはイオリとヒナに向かって挨拶をした。


「よろしくお願いします、シュタ様!」


 イオリが元気よく頭を下げた。


「お、お願いします……」


 ヒナもゆるゆると頭を下げた。


「でも、どうして急にシュタ様が先生を?」

「遠征が中止になって暇なのじゃ。スコ坊も修復工事に駆り出されてしもうたし」


──また恩赦をちらつかされたのかな……。

 自由に出歩いてるから忘れていたが、【蠍座の守護者】スコルピオンは受刑者の身。

 出るかもわからない恩赦のために、健気なことである。


「今までキャンサーの坊に広く浅く教えるよう言うてきたが、そろそろ深く切り込まねばならぬ。今日の授業では、聖女の力について、詳しく話そう。……が、その前に」


 シュタインボックはヒナに目を向けた。


「ヒナよ」

「な、何……?」


 改まって名前を呼ばれ、ヒナは何を言われるのかと身構える。


「魔王軍の魔の手が眼前に迫っておる。ヒナにも聖女の力を使いこなせるようになって貰わねばならん。覚悟は良いか?」

「勿論よ! ヒナ、このままずっと役立たずなんて嫌だわ!」

「よく言った」


 シュタインボックは満足そうに頷いた。

「でも」とヒナが不安そうな顔をする。


「聖女の力ってどうやったら使えるの? 何度もお姉ちゃんの真似してみたけど、全然使えなかったわ」

「ヒナには重要なものが欠けておるのだろう」

「ヒナの何が欠けてるって言うのよ」

「それは勿論──」


 シュタインボックは指でハートを形作った。


「愛、じゃよ」

「は?」


 ヒナは「何言ってんだ、こいつ」と言いたげな目でシュタインボックを見た。


「絆、とも呼ぶのう。【星の守護者】と絆を結ぶことで、願いを力に変えるのじゃ」

「絆……?」


 ヒナはぽかんと口を開けた。


「絆って何よ」

「お嬢ちゃんにはまだ早かったかのう」


 シュタインボックはくすり、と笑った。

 ヒナはムッとして、腕を組んだ。

 絆を結ぶにはどうしたら良いのか考えているようだ。

 ヒナは不祥事を起こして皆に迷惑をかけた。

 絆なんて結べるのか、とイオリも思った。


「シュタ様、質問良いですか?」


 イオリはすっと手を挙げた。


「なんじゃ? イオリよ」

「魔王軍幹部のウラヌスさんが言ってたんです。私の聖女の力は〝覚醒前〟だって……」


 イオリの聖女の力はウラヌスの歯牙にも掛けない様子だった。

 リブラが石にされるのを黙って見てるしか出来ず、悔しくて、何も出来ない自分が情けなかった。

──もし、私の力を〝覚醒〟させる方法があるのなら……知りたい。


「シュタ様は何か知っていますか?」

「〝覚醒〟か……ふむ」


 シュタインボックは顎に手を当てて思案した。


「確かに、聖女の力は傷を癒やすためだけのものではない。聖女の力は度々、〝覚醒〟することがあった」

「でも、覚醒するのは【星の守護者】なんじゃないですか?」


 イオリはソシャゲ【よぞミル】の覚醒システムについて思い出していた。

【よぞミル】には、ガチャシステムが存在する。

 ガチャから排出されるのは【星の守護者】のカード──特別な絵や、特別な衣装がついてくる。

 手に入れた【星の守護者】のカードはある程度育成すると、〝覚醒〟させることが出来る。

 覚醒すると、【星の守護者】の能力が向上し、覚醒後のイラストを閲覧することが出来る。

 簡単に言えば、グレードアップだ。


「聖女の力が覚醒するなんて一言も……」


 ゲームでは言及されていなかった。


「【星の守護者】の力を覚醒させるのが、聖女の力なのじゃよ」

「え?」

「聖女がおらねば、我々が魔王軍と渡り合うことは出来ぬ。その所以の一つがそれじゃ」

「じゃあ、私は聖女の力を覚醒出来るんですね!? どうやって!?」


 イオリはシュタインボックに詰め寄った。


「それも、絆の強さが重要じゃと言われておる」

「うう……絆……。リブラさんやヴァルゴ姉とは大分仲良くなったと思うんだけどなあ……。覚醒させられなかったってことは、まだ絆が足りないんですね……」


 イオリは落ち込んだ。

 沈んだ空気を払うように、シュタインボックは思い切り手を叩いた。

 イオリとヒナはハッと顔を上げた。


「……という訳で、今日の授業はここまで!」

「え? もう終わりなの?」


 ヒナは授業が終わったことに喜んだ。

 反省したとはいえ、やはり、勉強嫌いは変わらないらしい。


「いいや、ここからが本筋じゃ」


 シュタインボックはテキパキと準備を始めた。

 机に白いテーブルクロスをかけ、その上にティーセットを置く。


「さあ、聖女達よ、席につけ。これから、〝恋バナ〟を始めようではないか!」

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