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限界オタク聖女が敵の拗らせゾンビ男子を溺愛してみたら  作者: フオツグ
限界オタクと推しと聖女降臨祭。
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戦う【星の守護者】達

 イオリとヴァルゴが城へ避難している一方で、リブラ、ベリエ、ヒナの三人は魔物に囲まれていた。


「ベリエ殿下、ヒナ様を連れて、城へ避難して下さい」

「し、しかし、魔物が……」


 ベリエは迫り来る魔物の群れに、ヒナを抱き寄せた。


「私が魔物共を殲滅し、道を開きます」


 リブラは手を前に出す。


「《正義の秤(ユースティティア)》」


 リブラが召喚した剣は、鳥の魔物達を次々と貫いていく。

 そして、城への道が開けた。


「ベリエ様、今のうちに」


 リブラが避難するように促す。


「あ、ああ。恩に着る」


 ベリエはヒナを連れて、城の中へと避難する。

 魔物達は二人の後ろを追いかける。

 しかし、リブラの召喚した剣によって阻まれ、二人にたどり着くことはなかった。


 □


「行くよ、ポルックス!」

「ええ、ジェミニ!」


【双子座の守護者】ジェミニとポルックスは手を握り、大きく息を吸った。


「── 《双子座流星群》!」


 空から星が降り注ぎ、鳥の魔物にぶつかる。

 鳥の魔物は地上へと落ち、【星の欠片】となった。


「調子いいね〜、双子ちゃん」


【射手座の守護者】サジタリウスは弓を弾き、鳥の魔物に矢を当てながら言った。


「一気に何匹も攻撃出来るスキル、俺っちも使えたら楽なのにな〜」

「危ないな。ボクにも当たりそうなんだが」


【水瓶座の守護者】アクアーリオは唇を尖らせながら言った。


「博士、そこは気合いで避けないとさ〜」

「ボクは戦闘員じゃない。何度言ったらわかるんだ」


 アクアーリオは鞄を開き、中から矢を取り出した。


「サジタリウス、キミの弓術師としての腕を見込んで、これを渡そう」

「博士、これは何?」

「《爆弾矢》だ。魔物に当てると、その場で爆発する。周囲の鳥達も巻き込むことだろう」

「へ〜、楽しそうだね。流石、博士」

「当然だ。ボクが錬金したのだからね」

「じゃあ、ドカンと一発、打ち上げさせて貰おうかな〜」


 サジタリウスは爆弾矢を弦の上に乗せ、空に向かって矢を打った。

 鳥の魔物に矢が刺さると、ドカン、と大きく爆発し、周囲にいた鳥の魔物を巻き込んだ。

 鳥の魔物は空中で【星の欠片】となり、太陽の光を浴びてキラキラと輝いた。

 それはまるで、花火のようだった。


「た〜まや〜!」


 サジタリウスは空に向かって叫んだ。


「……何だい? その変な叫び声は」


 アクアーリオは眉を顰める。


「……あれ、何だったかな。なんか、花火を見たら、急にこう叫びたくなったんだよね〜。変なの」

「ハァン? キミは一体、何を言ってるんだね。……ああ、そうだ。キミは記憶喪失者だったね。花火を見たら変な叫び声を上げるという、奇妙な条件反射がキミの体に刻まれているのだろう」

「なるほど。博士は賢いな〜」


 サジタリウスは微笑む。


「ねえ、博士。もっと矢あるかい?」

「あるよ。好きなだけあげるから、ボクの代わりに魔物を一掃してくれたまえ」

「任された!」


 サジタリウスは笑顔で頷いた。


「……さて。これで【星の守護者】の役目は果たせただろう。ボクはボクのやりたいようにさせて貰おう」


 アクアーリオは壊れたライアーと倒れているノヴァに目を向けた。


「そのためには……フム。台車が必要だな」


 □


「《星を繋ぐ糸コンステーレイションライン》!」


【蠍座の守護者】スコルピオンの手から出た白い糸が、空中の鳥の魔物に向かっていく。

 鳥の魔物は翼を使い、スコルピオンの糸を避ける。


「くそっ! 空からちくちく攻撃しやがって! 狡ぃぞ奴ら!」


 スコルピオンを空にいる魔物に向かって文句を言う。


「確かに、戦いにくいな」


【獅子座の守護者】レオは笑う。

 レオの固有スキルは《獅子奮迅》──追撃をするスキルだ。

 攻撃が当たらなければ発動しない。

 レオの主な武器は大剣のため、空へは攻撃が全く届かない。


「くそー! ジジイもさっさと逃げやがって!」

「ははは。シュタインボック様の固有スキルは戦闘向きではありませんからな」


【蟹座の守護者】キャンサーは笑った。


「かくいう小生とポワソンもですが」

「非戦闘員が【星の守護者】なのあり得ねえだろうが!」

「いやはや、耳が痛いですな。まあ、役立たずなりに、頑張りましょう。……えー、こほん」


 キャンサーは息を大きく吸った。


「──『鳥の魔物よ、地に平伏せ』」


 鳥の魔物は勢いよく地面に落ちた。

 キャンサーの固有スキル《願い(ごと)》。

 発した言葉の通りになる、非常に強力なスキルだ。

「ひゅう」とスコルピオンは口笛を吹いた。


「相変わらず、とんでもねえスキルだなあ」

「ははは……はあ」


 キャンサーはその場に膝をつく。


「体が重い……。やはり、このスキルを使うと、体に影響があるな……」

「キャンサー坊ちゃん……」


 ポワソンが心配そうにキャンサーの顔を覗き見る。


「坊ちゃん方、あとは俺達に任せとけ!」


 スコルピオンは指でスキルの糸を弄びながら言った。


「あんたのおかげで戦いやすくなった! キャンサー坊ちゃんとポワソンは城に避難しててくれ!」


 レオは大剣を構えた。


「申し訳ない……。お言葉に甘えますな」

「失礼しますぅ……!」


 ポワソンはキャンサーに肩を貸し、城へと避難した。

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