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21 勇者が私を暗殺しようとしているのね! (魔王の娘視点)


  私が攻撃魔法を発動しようとしたその時に、影が横切り、アース・ドラゴンが片足を折るようにしてかがんだように見た。


(何?)


 次の瞬間、アース・ドラゴンの頭が吹き飛んだ。


(どういうこと)


 何が起きたのか理解不可能だった。


(こんなこと起きるなんて、まさか……)


 アース・ドラゴンの頭が一瞬で吹っ飛ぶことなど普通はない。


 そんな一撃を目にも止まらない速さで繰り出せる者などいない。


 一人を除いては。


 その一人とは仮面の勇者だ。


 アイツが魔王軍の四天王相手にそんな戦いをしているのを魔法の鏡で観たことがある。


 それを見て父も和平の道を選んだのだ。


(仮面の勇者なの?)


 アース・ドラゴンが地響きを立てて崩れ落ちた。


 だがもし仮面の勇者の仕業だとしても、なぜここにいるのだ。


 仮面の勇者は追放されそうになり、自ら姿をくらましているはずだ。


 その仮面の勇者がどうして……。


(まさか私を狙っているの?)


 そう考えると腑に落ちた。


 もし、仮面の勇者が魔王との和平協定に納得しておらず、魔族を無力化して、制圧することを望んでいるとしたら?


 一番の邪魔者は私だ。


 魔族において現魔王を超える力を有するのは私しかいない。


 しかも、次期魔王だ。


 今の段階で私を暗殺しておけば、魔族を滅ぼすのに好都合だ。もしこのまま放置しておけば、私は現時点で父を超える魔力を持ち、まだ若いから、更に成長して強くなり、やがては史上最強の魔王になるだろう。


 そうなる前に潰しておくというのが仮面の勇者の考えではないだろうか。


(だとしたら、仮面の勇者の追放劇と逃走劇は、私を油断させ、仮面の勇者が自由に動ける状態を作り、私を暗殺するために仕組まれたものだったということ?)


 恐ろしい企みだ。まんまと敵の策に私は落ちていたのだ。


 さっきアース・ドラゴンを倒す仮面の勇者の姿を私は視認できなかった。


 神速の動きだった。


 ただ、漏れ出る魔力と気配が、私に仮面の勇者の仕業であると警告してくれる。


 抑えていた魔力を解放した。


(サーチー)


 魔力を薄く伸ばし四方に展開した。


 仮面の勇者を索敵した。


(あのアース・ドラゴンは通常の数倍の戦闘能力を有し、この私でも手こずるような相手だった。仮面の勇者は私の居場所を何らかの方法で突き止めて、私を暗殺しに来て、まず邪魔になるアース・ドラゴンを始末したのね)


 次は自分の番だ。


 どこから攻撃が来るか分からない。


(私を倒せるのは仮面の勇者だけ。だから単独で暗殺を仕掛けてくるのは理にかなっている)


 人族の雑魚の騎士や兵士を何人送って来たところで、私には無意味だ。どうせ、私と仮面の勇者との一騎打ちになる。だから、こうして私が冒険者を装い、人間の側の国にいる間に一人で私を狩りに来るのは戦略的には正しい。


 だが、私はこんな事態になるとは想定していなった。


(でも、勇者とはいずれは決着をつける運命にあったのよ。早いか遅いかの違いだわ。覚悟はしていたけど、それが今日だとは思っていなかった)


 魔力を展開しても、仮面の勇者の居場所は判明しない。


(さすがね。私の索敵魔法にもひっかららないとは……)


 魔王城に攻め込んできた時よりも、さらにレベルアップしたのかもしれない。


(仮面の勇者。本当に底が知れない)


「お姉ちゃん、どうしてそんなに怖い顔をしているの。もう魔物たちは襲ってこないよ。森の奥に帰っていっているから」


 助けた村の少年が私を見上げて言った。


 狂乱状態のアース・ドラゴンが倒された時点で、私は魔物たちに元いた場所に帰るように命じた。


 これから仮面の勇者と一騎打ちをするのに雑魚の魔物がいても邪魔なだけだし、万一、私が倒されて死んだ後、統制のとれなくなった魔物たちが、村の子供たちや、ローザを襲っていけないからだ。


「まだ、敵が残っているかもしれないの。魔物はもう大丈夫だから、あなたはお母さんのところに戻りなさい」


「魔物以外にどんな敵がいるの?」


 勇者に憧れている少年に、敵は勇者だなんて言えるわけない。


「いいから早く」


 ローザに目配せした。


「ゆきましょう」


 ローザが少年の手をとった。


 私は少年とローザの後ろ姿を見送ると呼吸を整えた。


(命を賭けた戦いが始まるのね)


 両手で円を描き魔法陣を描き出す。


 魔王の血族のみが使える最上級のシールド魔法だ。


「さあ、来なさい」


 私は姿を見せない勇者に向けて声をかけた。





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