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14 ゴブリン? 私の下級兵士ですがそれが何か? (魔王の娘視点)




 西の森に着くと私は、索敵魔法を発動した。


「サーチ」


 森の中にいる魔物たちの位置と動きが手に取るように分かる。


(いた!)


 ゴブリンの群れを見つけた。


 魔力を当てる。


 隷属した。


『我の下にこい』


 念話で呼びつけた。


 すぐに15匹ほどのゴブリンが馳せ参じてきた。


「「「「「魔王様ー!」」」」」


「うむ。仲間はそれだけか」


「この森にいるのは我らだけです」


「少ないな」


「申し訳ございません」


「よし、異空間の扉を開けて少し召喚しよう。お前らの仲間は他にどこにいる」


「大陸のはずれの暗黒の森には多くの仲間がいます」


「よし、暗黒の森とここを扉でつなぐぞ」


「「「「「「はははあっ」」」」」


 魔法陣の中から禍々しい扉が出現し開いた。


「いでよ!」


 扉からゴブリンが続々と出てきた。


「なんだ。これはいったい」


「ひかえよ、魔王様の御前であられるぞ」


 出てきたゴブリンたちは私に気が付くと、平伏した。


「何人おる」


「はい、100人あまりかと」


「よかろう」


 私は異空間の扉をいったん閉じた。


「魔王様直々のお呼び、誠に光栄であります。で、本日はいかなることをしたらよろしいでしょうか。我が主よ。人間の村を強奪して焼き払い、我らの力を見せつけるということでしょうか」


「まあ、そう焦るな。まず整列せよ」


「「「「「ははあああああっ」」」」」


 ゴブリンが整列した。


「よし10人で一列で並べ」


 数えるとちょうど10列だった。


 私はほくそ笑んだ。


「では皆の者に告げる。まず互いに向き合い、2人で一組になれ」


「「「「「「御意」」」」」」


「次に互いに相手の右耳を切り落とせ」


「魔王様?」


「いいから言われたとおりにせよ」


「「「「「はははああっっ」」」」」


 ゴブリン達はナイフや短剣で互いの耳を切り落とした。


「切り落とした耳は集めて、我に献上せよ」


 ゴブリン達が100個の血に塗れた耳を袋に入れて持ってきた。


「よく聞け、我が下僕よ。今のは忠誠の証の儀だ」


 そう言ってゴブリン達を見回した。


「お前らは下等なゴブリンの身でありながら、魔王の特別隊としての栄誉ある地位に選ばれたのだ。今のは、その最終テストだ」


 どよめきが起きる。


「言おう。合格だ。我が言葉に何の疑問もさしはさまずに互いの耳を切り落とした。あっぱれである」


 そして、私はエリアヒールをかけた。


 地面が緑色に輝くと一瞬でゴブリンたちの耳は再生し出血は止まった。


「「「「「「「「ウオオオオオオオオ」」」」」」」」


「貴様らは我の尖兵である。我の槍である」


「ありがたき幸せ」


「魔王様、バンザイ」


「魔王様についてゆきます」


 あたりは興奮したゴブリンの歓声に包まれた。


「何でもお命じ下さい」


「人間どもを殲滅してきます!!!」


 私は、自分の声を増幅させる魔法をかけた。


「黙れ!」


 そのドラゴンの咆哮のような音量にゴブリンたちは腰を抜かし地面に這いつくばった。


「今は、まだその時でない」


 あたりは静まり返った。


「お前らは我の特命隊として、しばらくの間、暗黒の森にひそめ。いいか、人族の村には決して近づいてはならない。戦いの時は我が命じる。よいか!」


「「「「「「「「御意!」」」」」」」


 私は魔法の扉を開けた。


「では戻るがよい」


 ゴブリンたちは整列して、整然と一列になり、魔法の扉から暗黒の森へと転移していった。


 私は最後の一匹を見送ると扉を閉めた。


(やった! これでゴブリンの耳を100個ゲット!)


 それに、15匹いたゴブリンも西の森から大陸の縁端まで飛ばしたから、当分、村人はゴブリンを見かけることもないだろう。


 クエスト成功だ。


 さらにランクアップ!


 私は、るんるん気分でゴブリンの耳を異空間収納にしまった。


(でも、さすがにすぐに戻って討伐証明を出したら不自然ね)


 1時間も経たないのに、歩きで半日はかかる西の森に行き、ゴブリン100匹の討伐だ。


 すこし時間をおいてからにしないと。


 私は、散歩がてらコレド村の方に歩いてゆくことにした。


 しばらく歩くと異変があった。


(何かしら)


 人が争っているような気配だ。


 急いで行ってみると道の向こうから少女が駆けてくる。


 服が破けて半分はだけている。


 後ろからは男たちが追いかけている。


「待てー」


 男たちは3人いた。


 少女が私のもとに来た。


「助けて下さい」


 私の前で力尽きたように倒れた。


 男たちがは、そのまま少女の手を掴むと、何も言わず引きずるように連れてゆこうとした。


「あなたち、何をしているの」


「お前には関係ない」


「その子をどうするの」


「言っておくが、俺達は山賊でも、強姦魔でもない」


「なら何?」


「ジケイダンだ」


「自慰系団ですって?」


「ばか、自警団だ」


「自慰さんたちが何をするつもり」


「バカにしやがって、いいかこいつは魔女だ」


「魔女?」


「ああ魔族だ」


「そうなの?」


 少女は首を振った。


「違うらしいわよ」


「その子の母親が、魔族とまぐわって生まれたのが、そいつだ。半分魔族の血が入っている。だから魔女だ。これから村で火刑にする」


「そうなの……」


 私は、どうしたものかと思案した。





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