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20話

「仕上がりをチェックしよう」


オスカーとの写真はとても蠱惑的で引き込まれるよう。


「いいね、この3つが特にいい」


リカルドが選んだ写真は、オスカーと私が鏡越しに背中を合わせ、私が膝を抱えて気だるげな視線をカメラに向けている写真で、まるで妖婦のようでびっくりする。


「これが私?」


「やっぱりエマは色んな雰囲気が出るね」とリカルドが満足そうに頷く。


もう一枚は鏡越しに手を合わせてうっとりしているかのよう。


「私、こんな顔しましたっけ?」


「美味しい食べ物のことでも考えろって言ったときだな」


「・・・台無しですね」


「食べ物のことでこの表情できるなんてすごいって全力で褒め称えてるよ」


もう一枚は私が正面を向いて得意気に笑っていて、オスカーが少し項垂れている。


「これは・・とても良いです」


「気に入った?」


「オスカーがしょぼんとしているのがすごく」


「リカルドが落ち込ませるようなことを言うから・・」


「ああ!お兄様のベッドでおねしょした話のときですね」


「大泣きしてたからなコイツ」


「まさかおねしょの話で落ち込んでいる写真だとはわかりませんね」


「わかってたまるか」


□  □


「これがセオドアとの写真」


バラバラと広げられた写真から光が溢れるような明るさで、オスカーとの写真との違いを感じる。


「どれも捨てがたい」


そういいながらリカルドがまた3枚選ぶ。


草原に寝転び、目を瞑っているリカルドを嬉しそうに覗き込もうとする私。


「セオドア相手だとここまで柔らかくなるんだな」


確かに写真の私はふっと肩の力が抜けたような優しい顔をしていた。


次の写真は、二人でおでこ同士をくっつけて少し俯いているのに、楽しそうにしている雰囲気が出ている。


何を言われたわけでもなく、二人でおでこをつけあっている状況がただ楽しかったと思い出す。


「ここまでエマを柔らかくさせるのはセオドア・・・か」


オスカーがブツブツと何か呟いた。


リカルドが写真を2枚掴む



「これとこれで迷うな」


私がセオドアの頬にキスをしている写真と、セオドアが私の頬にキスをしている写真だ。


「エマが恥ずかしそうにしているのもいいし、セオドアから喜びが溢れ出ているのもいい」


「こちらをおすすめします」


私がキスをしている写真をおすすめする。


にやりとリカルドが笑った



「じゃあこっちだな」


そう言って選んだ写真はオススメした通りの写真で、目論見が外れる。


「くっ」


「エマの悪巧みなんてお見通しだよ」


「鬼」


できるだけ私の顔の分量が少ない写真にしてほしかったのに。


そういえば・・さっきからずっと黙り込んでいる

「セオドア?」


「こんなにも差が出るのかと思って・・・」


「差?」


「エマの表情」


「化粧のせいもあるかと」


「エマは楽しかった?」


「・・・オスカーとは光と影を、セオドアとは光合成を楽しんでいた気がします」


「・・・」


「セオドアとは何もかも溶け合うような・・」


「僕もそう感じていた」


「セオドアは・・」


「ん?」


「オスカーと並んだときのこの写真の私と、セオドアと並んでいるこの写真の私、どちらが良いですか?」


「どちらも魅力的だけど、僕のそばでこんなふうに柔らかく笑っていて欲しい」


そう言って指差す写真の中には私と同じように柔らかく笑うセオドアもいた。


□  □


どんな商品に使うのか教えてもらえないまま撮影を終えて帰路につく。


今日撮影した写真でボツになったものを何枚かもらって帰ったので、家族に見せる。


「エマ素敵!」

「綺麗になったな」

「僕これが好き!」


アベルが選んだのはセオドアと私が二人並んだ後ろ姿で、なぜかとても仲が良さそうに見える写真。


「今回は顔すら褒めてもらえない・・」


弟の基準がよくわからないけれど、私も好きな写真だった。


「エマはどちらの隣に並んでも似合うのね」


「え?」


「これだけ対比がはっきりしているのに、どちらの男性も素敵だし、2人の隣にいるどちらのエマも素敵だわ」


「・・・」


なんだか心の奥にキラッと光る答えがあった気がしたけれど、掴みそこねてしまった。


□  □


「やっとわかった」


「何が?」


いつものように5人でランチしていると、オスカーが言い出した。


「エマが好きだ」


「あら。ありがとう」


「誰にも渡したくない」


「まあ・・・物ではありませんしね。限界があるわ」


「今、私は告白をしたのだが?」


「きちんと返事をいたしましたけど?」


「いったいどこに返事があった?」


「『ありがとう』と」


「それではエマが私を好きなのかわからないではないか」


「普通に好きです」


「では交際をしてほしい」


「お断りします」


にっこり愛想笑いをしたのに、オスカーがピシリと固まった。




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