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「えっ?ちょっと待って?倒れた!?それ聞いてないよ!!」
「うん。2回ね。」
「ちょっと、由梨。そんななんでもないようにサラッと言わないでよ!そうだったの??」
親友の思わぬカミングアウトに香織は驚愕していた。
「うん。その時に軽い脳梗塞も併発しちゃったみたいでね。1回目意識なくなった時は多分この時だろうなって言うのは覚えてるんだけど、2回目はいつそうなったのか全く覚えてなくて。看護師さんたちに聞いても誰も教えてくれないんだよねぇ。なんでなんだろう?頑なに看護師さんたち口噤むから、聞くの諦めちゃったから、未だにどういう状態だったのか知らないんだよね。」
「そうなんだ…。」
「その話を聞く直前に、スマホに溜まった画像整理しててさ。たまたま家族が映った画像フォルダ開いてて、看護師さんに話を聞いた後、その画像が目に入ってさ。まったく覚えてなかったから、本当に怖くなっちゃって、そこで意識を取り戻さなかったらって一瞬考えちゃって…。そこで病気になってから初めて泣いたんだよね。それまでは、考えないようにずっとお医者さんの前とかで笑ってて、最終的にはお医者さんに大丈夫?って心配されたよ。」
「心配させないようにずっと我慢してたんだね…。」
「うん。けど、それから、ずっと一人になると泣いてた。」
「そうなんだ…。」
「うん。それで、人工透析のための手術する予定だったんだけどしなくていい数値まで回復して、移植もしなくてよくなったんだよね。」
「そうなんだ…。」
「だからなのかね?ある時ふと思っちゃったんだよ…。私は結婚とかしちゃいけないって。今は食事制限とか薬とか合ってるみたいだから、数値が安定してるんだけど、いつかまた数値が悪くなるかもしれないでしょ?そうなったらね。パートナーを作ったら、相手に負担掛けちゃうでしょ?意外と医療費お金掛かるんだよ。薬代、検査代・手術代・入院費…。馬鹿にならないんだよ。今は自分が働いて全部自分で負担してるから誰にも迷惑はかけてない。けど、これがパートナーになる人に負担が掛かるとしたら?自分の好きになった人にそれ頼むの?好きな人に一生迷惑かけるの?好きだからこそそれはしたくないの。それに誰だってリスクあるよりない人の方がいいでしょ?だから、私は誰かを好きになるとか結婚とかそういうの全部もういいかなって。人間の気持ちだからどうなるかわからない。だから、100歩譲って人は好きになることはあるかも知れないけど、結婚はしないと思う。」
「・・・・・。」
「これがそう思うようになった経緯全部かな。」
「そっか…。」
苦々しく小さく笑い分厚い氷の扉を固く閉ざしてしまった由梨に香織はかける言葉が見つからなかった。
それと同時にいつか由梨の心の雪解けが始まりその固く閉ざした扉が開くことを心から祈った。
物凄い長くなってしまいました(笑)
ちょっとここの話は重すぎたかな…。
ここはちょっと書いていて辛かったな。
明日アップ出来るかな…?
ストックなくなっちゃったんだよな…。
頑張ろう。明日もアップ出来たら、いつものように18時に更新します!頑張ります!