Page.1『君の周りの秘密集』
秘密って知るべきもの?知らぬべきもの?
この物語はフィクションです。
作中の人物、思想、事象は現実に存在する
人物、思想、事象とは一切関係ありません。
これはある高校生たちの奮闘を描いた物語である。
彼の名前は「日野将吾」。部活には入っておらず、バイトもしていない高校二年生。一応成績は割と優秀な方で、今ちょうどテスト勉強に追われているところだ。
ある日、彼は勉強で使えそうな資料を探すために校内の図書室に訪れていた。
「最近の英語ムズいんだよなぁ……。ん? 『君の周りの秘密集』。なんだこれ」
将吾は見知らぬ本を手に取ると、不可思議なことに気がついた。その本には著者も出版社も記載されていなかった。だいたいの本には表紙や裏に著者、出版社などが記載されているはずである。少し気になった将吾は本を開いてみた。そしてその内容を見ると目を疑った。
『日野将吾の周りの秘密』
そこには、将吾の名前が記されていた。その下にはいくつか文が続いていた。
「汝通いし校の付近の森の中、隠されし秘密眠る。これを知り得し汝、秘密を知るべき逸材。今こそ隠されし秘密を解き放て」
その文の右側には小さい地図のようなものが載っていた。
「どうゆうこと……?」
さらに不思議なことに、他にもいくらかページはあるのに他のページは全て白紙だった。
将吾はよくわからなかったが、この不思議な本に興味を惹かれていたため、試しに借りてみることにした。その時また新たな不思議に気づく。
「あれ、この本バーコードついてない。借りられないのか?」
図書室に置いてある本の裏には、借りた時にデータとして記録しておくためのバーコードが一冊一冊に貼り付けられているものである。しかしこの本にはそのバーコードがない。
司書の野口先生に聞いてみたが、なぜ貼られていないのかわからないらしい。とりあえず返すときに声を掛けてと言われ、その本を借りて教室に戻った。
その後自分の席に座って考えていると、将吾の周りに二人の生徒が近寄ってきた。
「どうした? 将吾」
「なんか怖い顔してるけど」
二人は将吾といつも仲良くしているクラスメイトの「三山渉」と「津賀楓」だ。将吾は図書室で見つけた不思議な本について二人に話すことにした。
「あぁいや、コレ見てよ」
「なになに。『日野将吾・三山渉・津賀楓の周りの秘密集』だって」
「え、俺たちの名前じゃん」
先程見た時とは変わっており、二人の名前も一緒に本に記されている。
「なにこれ」
楓が聞いてきたため、将吾は自分の名前が書かれた本が図書室に置かれていたことを二人に話した。
「……え、怖」
「ちょっとしたホラーじゃん」
話しを聞いて理解した二人の顔は少し曇る。すると、渉が本を指して内容に触れる。
「なんなんだ? この『隠されし秘密』って」
「わかんない。でもとにかく──」
ピーンポーンパーンポーン
学校のチャイムと同時に男の先生の声が教室中に響き渡った。
「はぁーいおまえら席に着けー。5時間目始めるぞー」
「もう授業かぁ」
「しかも最悪、数学じゃん。俺確実に寝るわぁ……」
「私も〜」
「はい、えぇ教科書の88ページを開いてぇ──」
二人は苦手な科目について軽く話しをすると、各々の席に帰っていった。その日は一旦本のことは忘れ、何事もなく授業を終えて帰宅した。
まさかこの本によってあんなことになるなんて思ってなかった。
小さいオリジナル作品制作チーム「Twitligher」です。
拙いですが、是非ご覧下さい。