燃えるステーキ職人、ふじわらしのぶ!時はステーキハウス戦国時代につき!
時はステーキハウス戦国時代。
混沌とした世界に終止符を打つべく時代は一人の男に運命を託した。
男の名はしのぶ!ふじわらしのぶ!ステーキを素敵に焼く事に命をかける男である。
しのぶは今、全世界ステーキ焼き比べデスマッチトーナメントの決勝戦に参加していた!
決勝戦のお題はアスファルト!しのぶは果たしてどこにでも転がっている食材アスファルトで極上のステーキを焼く事が出来るのか!
「出来た。これが私の最高のアスファルトステーキ、国道0号線だ」
男はステーキ皿の上に灰色の物体を乗せた。
じゅわわわっ!
何とおいしそうなステーキだろう。
真夏の高速道路の路面のような匂いがするではないか。
男はニッコリと笑いながらステーキ大王という通り名で知られる陶芸家八木杉篤に自身の最高傑作を勧める。
「これは…ッ‼信じられぬ。幻の国道0号線のアスファルトを使ったステーキを焼いてきたのか‼流石は日本のステーキ界の貴公子牛鍋美肉だわい!」
ジュビィィィィィ…バシュゥゥゥゥム。
ヴゥオォォンッ‼
八木杉はアスファルトの破片を核融合カッターで切断するとビームサーベルで突き刺してから一気に口の中に放り込んだ。
ガリガリガリッ!
香ばしさと石材のような歯ごたえコールタールの匂いで口の中いっぱいになる。
普段は気難しい八木杉だったが好物のステーキを食べている時は喜びに見た笑顔を見せる。
「美味い‼これはもう天下一品のグルメじゃ‼流石は六本木で一番のステーキハウス、大江戸オーバーキルの店主だけはあるぞい」
何度も言っていることだがこの話を書いている男は東京では新宿と上野駅、田町のビジネスホテルに行ったことくらいしかない。
メッセサンオーはまだあるのかどうかさえ知らなかった。
とにかく八木杉は以前から牛鍋美肉というステーキ職人の腕前に惚れこんでいた事は紛れもない事実だった。
次々と名の通った審査員たちは牛鍋の出したステーキを絶賛する。
やれ厳選されたアスファルトがどうの、使用されている香辛料に核廃棄物が使われているだのと宣っている。
しかし、しのぶにとってはそのような美辞麗句は無用の物だった。
ステーキとは本来お高くとまった芸術作品じみた料理ではなく一般大衆の為の料理なのだ。
高級食材で煌びやかにまとめた牛鍋のステーキはステーキであってステーキではない。
大体、溶けたアスファルトが真っ黒であのような黒い食べ物が身体にいいはずがない。
「さあ、私の最高のステーキは見せたぞ。次は君の番だ、ふじわらしのぶ君!」
牛鍋美肉は己の敗北はないものと自信満々に言い放つ。
ふじわらしのぶは一度頷くと、フライパンの蓋を開けてステーキを取り出した。
こんもりとした湯気の中から現れたのはやたらとでかい茶色の塊だった。
審査員たちはふじわらしのぶのステーキを見た途端に騒ぎ始める。
彼らを代表して八木杉がしのぶにステーキの詳しい説明を求める。
「おい!ふじわらしのぶと言ったか、小僧!(※ふじわらしのぶは47歳)何だね、その茶色の物体はウンコ臭くてたまらんぞ!今回はアスファルトを使ったステーキを作るという題目があるというのに、君はやる気というものがあるのかね!」
確かに臭かった。
悪臭といっても過言ではないだろう。
だがふじわらしのぶは悪臭の塊といっても過言ではない物体を単分子カッターで丁寧に切り分けて行く。
いつしか会場の中はもっとウンコ臭くなっていた。
「待ってくれよ、八木杉のおっちゃん。これは確かにアスファルトじゃなくて牧場からもらってきた牛の糞だけど味ならアスファルトにだって負けないさ!論より証拠、一回食べてみてよ!絶対にマズイから!」
しのぶは焼いた牛の糞を爪楊枝で刺して八木杉に渡した。
八木杉は鼻をつまみながら恐る恐る牛の糞を口の中に入れる。
次の瞬間、八木杉は全身が緑色になって苦しみ始めた。
「こ、これは!マズイ!不味いぞ!しかも毒が入っている!遅効性の神経毒と…ガハァッ!モルボルグレートから抽出した猛毒か⁉ぐおおおッ‼」
八木杉はそこら中を横転しながら痙攣している。
口から吐いた虹色のゲロは会場の床をドロドロに溶かしていった。
そして十分と経たないうちに八木杉はスライム人間のような姿の怪物になっていた。
「ぐああああ…。流石だ、天才ステーキ料理人ふじわらしのぶよ。まさかこんな形で死を迎えることになるとは…。みなさんもどうですか?」
八木杉はプルプル震えながら猛毒の塊を他の審査員たちに勧める。
「じゃあ一口だけ…。ぐおおおおッ‼げはあッ‼これはたまらん、もう生きているというだけで苦痛を感じてしまう‼残念ながら牛鍋君のステーキではこうはいくまい‼」
会場に集まった審査員たちは次々と虹色のゲロをまき散らし、すっ転んだ後に溶けて消滅した。
彼らの遺体があった場所には金色のコインが落ちていてオパオパがそれらを走って回収している。
「糞ッ‼牛の糞だけに本当に糞だな、ふじわらしのぶ君。せっかく私が審査員に賄賂を渡して優勝してやろうと思っていたのに、これでは何の意味ないではないか‼」
牛鍋は自分の作ったアスファルトステーキを皿ごと地面に叩きつける。
ガシャン!バキン!ドカーンッ!
ステーキとソースが化学反応を起こして大爆発した。
何と牛鍋の作ったステーキには身体によくない材料、化学調味料が山ほど使われていたのだ。
「牛鍋よ、そこまで言うならまず俺の牛糞を食ってみろ。お前の名字には牛という漢字が入っているから、案外体にいいかもしれないぞ?」
しのぶはそれっぽいガスマスクと防護服に着ている状態で牛鍋に八木杉の遺体をトングで掴んで渡した。
165センチくらいあった八木杉だったが今はケンタのフライドチキン中サイズ1ピースくらいの大きさになっている。
「私とてステーキ職人の端くれ!このステーキを食べて評価してやるぞ!うおおおおーーーッ‼」
牛鍋は泣き叫びながら八木杉の遺体の一部を駆けこんだ。
しのぶは「そろそろ頃合いだな…」と呟いた後に牛鍋を残して会場ら逃走する。
会場のガスボンベに仕掛けた中性子爆弾レベルの破壊力を誇るネズミ花火が時限式発火装置によって点火されるタイミングだったのだ。
牛鍋は口の中に入った八木杉に体内から浸食され、牛鍋もまた八木杉の肉体を支配せんと必死に抵抗した。
しのぶは警備員たちをマシンガンで射殺しながら証拠隠滅を図る。
頑張れ、しのぶ。
残り時間は十分くらいだ!
「わ、私の名前は…八木杉…、いや牛鍋。どっちなんだ…!おお、ふじわらしのぶよ!教えてくれ、私は一体…!」
五分後、全身ドロドロの緑色モンスターと化した生物は会場を取り込んで巨大化していた。
こうなってはステーキ大会も糞もない。牛の糞だけに。
ふじわらしのぶは武装ヘリコプター”ブルーサンダーバード”に乗って上空から審査員たちと八木杉と牛鍋の融合体となった巨大な怪物を見る。
そして後部座席に積んであったロケット砲を眼下に広がる巨大な怪物に向けた。
「はんッ!地獄で会おうぜ、ベイビー!」
ふじわらしのぶは核ミサイル一兆億発分に匹敵するロケットランチャーを放つ。
ドゴーン!ズガーン!
オレンジ色の爆炎に包まれる名も無き怪物を見ながらふじわらしのぶは不敵に笑った。
「ミッションコンプリート!これより基地に帰還する!」
やったね!ふじわらしのぶだけが正しかった!
黒いコンニャクに格子状の切り込みを入れて焼いた後に焼肉のたれをかけると低カロリーのコンニャクステーキが出来るよ!
おいしい上にリーズナブル!みんなも試してみてね!




