プロローグ
今日は王立学園の入学式。
期待と、少しの不安を胸に、私は学園に向かう馬車に座っていた。
…んなわけあるかい!
期待?少しの不安?馬鹿か!不安しかないわ!とにかく私ことシルヴィ・ランドールは、これからの学園生活を思って深い深いため息をついた。
「はああああああ、憂鬱…」
「大丈夫?シルヴィ」
「アイリス…ありがとう、でもあんまり大丈夫ではないわね」
馬車の中、私の右斜め前に座っている黒髪にアクアブルーの瞳の美人さんはアイリス・ドルイット。私の幼なじみ双子の妹の方。まったく、惚れ惚れするほど美人だし、心配してくれるのまじ優しい、好き。
「俺もいるし、アイリスもいるんだから心配するな」
「アーサー…そうね、ありがとう」
そして私の左斜め前に座っている黒髪にダークブルーの瞳のイケメンはアーサー・ドルイット。私の幼なじみ双子の兄の方。こっちはこっちでクラクラするほどのイケメン、同じく心配してくれて優しい、好き。
私たちは、仲良し幼なじみ三人。しかも同じ屋敷で暮らす、家族も同然。この二人がいるなら、人見知りらしいシルヴィもまだ安心していただろう。
ただ、私が心配しているのはそこではない。
私が心配しているのは、これから『ゲームが始まってしまう』から。まあ、おそらく、なのだが。そして、『あちらの私が受験の学年になってしまったから』である。これは確定、受験燃えろ。
嫌だ嫌だと駄々をこねる私の心を無視して、無情にも馬車は学園についてしまった。
馬鹿でかいお城のような校舎を見上げ、ようやく覚悟を決めた私は決意した。
絶対に絶対に絶対に!平々凡々に学園生活を送りつつ、推しを見守ってやるんだからな!