スレンピック終了
ブクマ、評価ありがとうございます!
すみませんが、仕事で早く帰れないので、しばらく更新は毎日はできなさそうです。
今のところ中盤の終わりくらいでしょうか……サクサク行けるように頑張りますが……。
「それでは~! 我々の健闘を称えて、カンパーイ!」
「準優勝、おめでとー!!!」
グラスを高々と掲げる。
閉会式を終え、祝勝会が開かれ、皆が思い思いに飲み食いをし始めた。
「本当に、おめでとうございます!」
「我が国久しぶりの団体演技表彰台、すごいぞ!」
「ソマ副長も、個人賞おめでとうございます!」
モレルゾチームの面々も参加し、わいわいがやがやと賑やかである。
……ジープスさんは不在だけど。
結局、最終チームが演技を終えた時点で3位だった私たち。
しかし、最後の観客点でわずかに2位に届いたのだ。斬新な振り付けが吉と出たんだろう。
結果が出た瞬間、皆で飛び上がって喜んだ。
でもさすがに、スレンピックのために練習を重ねていると言うチームの演技はすごかった。
あれは、片手間の練習で到達できる演技ではない。ぶっちぎりだった。
来年以降、チーム編成して選手を育てるみたいだから、いつかは手が届くと期待しよう。
……それを見ることは無さそうだけど。
「皆様、どんどん召し上がってくださいね」
「ありがとうございます、フィリーチェ嬢」
私が挨拶すると、フィリーチェ嬢がにこやかに微笑む。
「皆様のお陰で、わたくしたちの婚約も決まりました。本当に感謝しておりますわ」
今日のこのお店はフィリーチェ嬢ご贔屓のお店で、現在貸しきり状態。
お嬢様御用達なのでお洒落なメニューしかないのかと思ったら、普通に肉肉しいガッツリメニューも豊富なのであった。
そして、フィリーチェ嬢も細いのによく食べる。
ペルーシュさんがしまりのない顔でフィリーチェ嬢の食べっぷりを見つめていた。
それに気づいた彼女がペルーシュさんのお皿に大きなステーキを乗せる。
「あなたも食べなさい。地味なんだから食べないと存在が消えてしまいますわよ」
「あはは、分かった分かった」
嬉しそうに肉を頬張るペルーシュさん。
やはり、フィリーチェ嬢はペルーシュさんに対してはなんだか手厳しい。
しかしそれをペルーシュさんは喜んでいるのだから、ふたりはそれで良いのだろう。
「はいはーい、ここでお知らせがあります」
「る、ルシアンさん!」
「ほれ、アラグ」
声を上げたルシアンさんの方を見ると、赤くなったカシーナさんが俯き、水を向けられたアラグさんがあたふたと注目されたことに慌てる。
しかしぐっと唇を噛み締めると、皆を見つめてアラグさんが口を開いた。
「えと、実は俺たち、結婚することになりました!」
と言って、カシーナさんの肩を抱いた。
おお、ついにか!
「おう、おめっとさん!」
「良かったね~!」
みんなの薄い反応に、アラグさんもカシーナさんもきょとんとする。
「あれ?意外とみんな驚かない?」
「いや、皆、バレバレだから。マジで」
クリオロさんが私とエーディスさんの方もついでにチラ見して笑ってくる。
「お前らも結果次第で結婚の許可するって言われてたクチだろ? わっかりやすいんだよなー!」
リンガーさんが豪快に笑い飛ばす。
まあ、確かに挙動不審だったもんね、なんとなく予想はしてたな。
なんにせよ、みんないい結果になって万々歳である。
「で、どこまでいったんだよおまえたち?」
「クリオロさん、酔っぱらい!」
「セクハラですよ!」
私とカシーナさんにけちょんけちょんに言われてクリオロさん、撃沈。
フィリーチェ嬢は優雅にワインを楽しんで完全にスルーした。
男性陣は無視を決め込んだようである。
そんなこんなで、わいわいと楽しい夜は更けていった。
「さて、寝ようか」
「あれ? 酔っぱらいですか?」
寝る支度を済ませ、エーディスさんは私を抱えてベッドに潜り込んできた。
結局1日車椅子だったので、運ばれることに慣れてしまった自分が恐ろしい。
ほろ酔いくらいで足取りもしっかりしてた気がするのだが。私がからかい混じりに言うと、エーディスさんは笑って抱きついてくる。
「一緒に寝ようよ? ダメ?」
「……それ、わかっててやってるとしたら、恐ろしい……」
「ん?」
ディルムお兄さまの言葉を思い出すが、いや、抵抗できませんて。
頬っぺたにキスをしてくるエーディスさん。この体勢でいることがじわじわ恥ずかしくなってきて、ため息をつき背中を向けた。
後ろから腕をまわされる。
首筋に吐息を感じてゾクゾクする。
「腕、重たくないんですか?」
「ん……全然?」
「痺れません?」
「へいき」
「……首くすぐったいです」
「ふふ」
ちゅ、と唇が触れてくる。びくりと肩を震わせてしまい、恥ずかしくて仕方がない。
私の反応を面白がって、首筋にキスの雨を降らせてくる。
「エーディスさん、恥ずかしいしくすぐったいです!」
「じゃあ、こっち向いて?」
しぶしぶゆっくりと向きを変えると、とたんに口づけられた。
もうこうなったら、エーディスさんが満足するまで止まらないかもしれない。
でも、未だに慣れなくて、心臓が爆発寸前なのだ。
「ん……」
唇が離れた瞬間に距離を取ろうともがくと、エーディスさんが不満そうに私を見つめる。
熱を含んだ瞳を見ていられなくて、目をそらした。
「……明日は休み、ですね」
「うん。ゆっくりしようか」
私の唐突な話題提供に、くすりと笑い声が落ちてくる。
それには気づかないふりをして私はぼそぼそと会話を続ける。
そういえば、きちんとお祝い、言ってなかったな。
「……スレンピック、お疲れ様でした。個人賞も、改めておめでとうございます」
「ふふ。ありがとう」
「あ、お祝い、しましょっか。なにか欲しいもの、あります?」
「お祝い?」
エーディスさんが私の頬を撫でながら穏やかな顔で思案する。
「ええ。まあ、大したものはあげられませんけど……」
「うーん……」
そっと、耳元に唇を寄せて、囁かれた。
「……ツムギが、欲しい」
え?
一瞬、何言ってるかわからなかった。
顔を上げるとじっと私を見ていたエーディスさんと視線が合う。
その言葉の意味を理解して、全身の血が沸騰する。
「!? わわ、わた、私ですか!」
わ、私がほ、欲しいってそそそ、それって……!?
いやいや、そんな、えっと!
い、嫌じゃ、ない、けど……。うわ、私ってば何を考えて!
でも、ひぇー!!
急に、密着していることに意識が向き出す。
背中にまわる腕、ふれあう太股に絡む足……
初めて添い寝した時も緊張でやばかったけど、今は別の意味でヤバイ!
ドッドッドッと、心臓の音がうるさい。
真っ赤になって目を白黒させる私を見て、エーディスさんが撫でていたほっぺたを軽くつまむ。
「あはは、なんちゃって」
冗談とも本気ともつかないような口ぶりで濁すエーディスさん。
ポンポンと頭を撫でられ、にこっと笑いかけられる。
私は目をそらしてぶつぶつ文句を言った。
「し、心臓に悪いジョークは勘弁して下さいよ……」
「ごめんごめん。……大丈夫。婚約もしてないのに手を出したりしないから」
「……この状態、手を出されてると言っても過言ではないような……」
私がじとりと見つめるが、全く堪えた様子もなく、にこにこしながら私をぎゅっと抱き締めてすり寄ってくる。
全くもう……。
「むー。とにかく、お祝い、何がいいです?」
私が改めて尋ねるが、小さく首を振るばかり。
「お祝いなんて要らないよ、こうして側にいてくれるなら、何も」
「それは……私を還してくれるっていうことのお返しですから」
「……えー? 還さないって言ったら側にいてくれないつもりなの?」
「そんなこと、ないに決まってるじゃないですか……」
エーディスさんがまた私の頬を撫でる。
「じゃあ、これからは君からもっとスキンシップして欲しいな」
「ええ? どうすれば……」
「なんかいっつも俺から触ってる気がする。前は、ツムギから触ってくれたこともあったのになぁ」
そんなことありましたっけ?
ていうか、そっちが先にベタベタしてくるからされるがままになってしまうだけで……。
エーディスさんが期待のこもったまなざしで私を見つめている。
く、この展開、覚えがあるな……。
とりあえず腹をくくって、ゆっくりとエーディスさんの身体に手を伸ばす。
身体の下に腕をやると絶対痺れそうなので、片腕はエーディスさんの顔を同じように撫でた。
エーディスさんは目を閉じて微笑み、今回は大人しくしている。
あれ? この前はここでエーディスさんにキスされて終わった気がするけど、今回は私にされるがままでいてくれるらしい。
なんだか楽しくなってきて、背中を撫で回し、顔もこの機会に触りまくる。
ああ、美形……。
滑らかな頬に、今は閉じられているまぶた。整った鼻梁に、色気のある首筋。
そして……形の良い唇にそっと触れる。
柔らかい。唇にそって指を滑らせ、往復したところで、パクリと指先を口に含まれた。
思わず引っ込めようとするが、いつの間にか手首が掴まれている。
エーディスさんが、目を開けてこちらを見ていた。
指先に唇を落とし、ちろり、舌先で舐められる。
うう、なんかおかしな気が沸いてきて、舌先から視線が剥がせない。
「……ばっちいですよ」
それだけ言って、もう一度手を引っ込める。今度はすんなりと離れた。
エーディスさんが、熱を帯びた声で囁いた。
「キス、してよ」
「……」
私はそっと唇を寄せる。
触れた瞬間、エーディスさんの腕が私を掻き抱き、強く押し付けられる。
やはりこうなるー!
と、思いながらももはや拒否をする気など全くなかった。
ひたすら、彼の唇を受け止める。
何度も何度も口づけされて、頭がぽーっとしてくる。
「あ、……!」
唇を舐められて、声を漏らしたところに舌が入り込んで来た。
深く口づけられ、私は欲の向くままそれに応じたのだった。
ベタ甘描写を書くのが楽しくて仕方ありません……。




