表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/109

騎士と王都へ

「※※?※※」


「う、……」

「※※!※※?」

「わかり、ません……」


 気絶していたのはどれくらいだったろうか?

 気がつくと、メニオルたちが縛り上げられている。


 たすかった?



「※※?」

「言葉、わかりません」


 首を振る私に、困った顔をした騎士は、メニオルを小突いて私を指差し何か聞いている。


「※※…」

「※※、※※※!?」


 騎士たちがざわつき、その中でも立場のありそうな人が1人の騎士を指名する。

 騎士は恐る恐る私に歩み寄り、手をかざす。


「※※~!」


 何か入ってくる感覚か微かにある。すぐにそれは消えた。


「これで、できたと思うんだけど……、君、わかるかい?」

「わかり、ます」


 応えると、私に魔法をかけてくれた騎士が笑顔になる。


「おおー!初めて人に通訳魔法かけた!

 ……、おっと、興奮してごめん、君、大丈夫かい?どこの国の人?」

「異世界から召喚されて来ました」

「ん??異世界から?異世界?」


 私はよろよろと身を起こす。


「私はこの世界の人間ではありません。

 変な魔法使いに召喚され急にこの世界につれてこられました。

 魔法が使えないので役に立たないと言われ、奴隷として売りに出され、

 そこの男に買われました。逃げましたが捕まり、今に至ります」


 騎士たちはポカンとしている。

私は現状を理解して貰おうと言い募った。


「もとの世界は地球という星にあり、日本という島国で暮らしていました。

 私の世界には魔力は存在しません。

 ですが、その代わり便利な道具が発達しています。

 私は学生なので、その道具の仕組みまではわからず、再現はできません。

 私の住む日本以外にもたくさんの国があり」

「あー、わかった!とりあえずちょっと待って!」


 騎士は立場の上の人に相談してくる、と行ってしまった。

 他の騎士たちも、メニオルたちを連行するため行ってしまう。


 とりあえず、助かったらしい。

 おそらく警察に近い立場の人たちなのだろう。

 そう信じたい。

 たまたまなのか、もともと指名手配犯なのか、理由はわからないが捕まえてくれたから、とりあえず、助かったみたいだ……。





「彼、この世界の人じゃないって言ってるんですよ!」

「それの真偽は我々にはわからないだろうな。

 とりあえず判断はお上にやってもらうっきゃない」


「じゃあ、王都ですかね、すぐ転移陣まで向かいましょう!」

「私は先に連絡を入れておこう」


 と、ここまで丸聞こえなのだが、騎士は振り向き、


「君、王都まで行って、どうするか聞いてもらうことになったよ!

 ああ、安心して、例え異世界から来たって証明できなくても、牢屋に入れられたりはしないからさ。

 というわけで、皆より先に向かうよ~」


 と律儀に報告してくれる。

 ついでに、捻挫と傷は手当てしてくれた。

 回復魔法は使わないのか?と聞いたら、

 そう言うのは俺にはできないんだよね、この部隊でできる人はみんな事故の現場で作業してて出払ってる、と言う。

 それでも簡単な引っ掻き傷は治してくれた。

 傷が消えるの、すごい。


 気のいい騎士と、先に町へと向かうことになった。


 乗るのは、ヤギ擬きだ。


 近くでみるとだいぶ大きかった。

 特別製だという2人乗り鞍で、駆けること数時間。

 馬乗りのはずの私。そのケツの筋肉痛が辛くて泣きそうになる頃、町に到着した。

 振動がちょっと違うのさ……。




 その間に、騎士に聞いてこの国のことがいくらかわかった。

 この国は、クアルーズ王国というらしい。

 この世界の西の方に位置する小国だが、魔法に優れそこそこ栄えている方だという。

 騎士は、王国所属の騎士団隊員で、グラネットというそうだ。


 今回、大規模な地滑りがあの近くの集落で発生し、

 それの救助活動を終え、本隊が王都へ戻る間に人身売買の噂を聞き、調査をしていたそうだ。

 そしてなんと、あのあと競売場で大捕物があったらしい。主催者やら客やらがかなりの数、捕まったんだとか。


 それを騎士たちが護送中、私を追跡してたせいでその事を知らないメニオルに追い付き、タレコミもあって乗り込んだらビンゴだったそうだ。


 あのままあそこにいたら普通に助かったのか……。

 と思ったが、まあ、良しとする。



 と話しているうちに、町にあるという転移陣についた。

 この転移陣で、他の転移陣まで一瞬で行けちゃう便利な代物らしい。

 魔力とお金を消費するが、かなりの時間短縮になることは間違いない。




 ん?

 魔力?




「よし、そいじゃあ手続きもすんだから行ってみよ~!」


 と言って、グラネットさんが私をぐいぐい転移陣の上に押しやる。



「グラネットさん、思うんですが」

「何々?君の世界にこんな便利なものはないでしょ?」

「まあそうですね。てか、魔力消費しないと飛べないんですよね?」

「うん、でもそんな、べらぼうに必要じゃないからさ、安心して……あ。」

「私、全くないみたいなんですよね、魔力」


 グラネットさんが1人で消えかける。


 慌てた様子で転移陣から抜け出るグラネットさん。

 途中で出られるんだ……。





「参ったなぁ、さすがに、ここからアンテに乗ってくと結構かかるし」


 頭をかきながらグラネットさんが悩む。

 アンテというのは、ヤギ擬きのことらしい。



「ちょっと待ってて!確認してくるから!」



 次の人待ってるけど、良いのかな?

お国がようやく登場。

グラネット氏はモブキャラですが、暫く出張ります。

通訳魔法は大抵誰でも使えますが、他人に使うことはあまりありません。

この国の騎士様はある程度魔法が扱えるのが前提のエリートです。

警察と似たような権限があり、騎士団は警察の上層部とも言えます。

お国所属と各地域所属の違いがあります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ