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知識を活かしたい

寝落ちして遅れました……。


追記。名前のミスがあり訂正してます。

 殿下のところに行くというエーディスさんと別れて厩舎へ向かうことにした。

「誰も仕事させてくれないと思うよ?」と言われたけど、何かしらできることがあるかもしれないし、カシーナさんの練習に付き合うくらいできるだろう。

 のんびりしてればいいのに、とエーディスさんは呆れてたけど……。

 何してたらいいかわからないんだよね……。手が動くならやることいくらでもあるんだけどね。




「おっすツムギ!お前今日くらい休んでればよかったのに」


 今日は朝から来ていたリンガーさんにも開口一番にそう言われてしまった。


「おはよー。怪我したんだって?今日は作業は俺らがやるから」

「そうよ!うっかり傷が開いたらどうするの!」


 ペルーシュさん、カシーナさんにも挨拶そこそこに言われてしまう。

 私は手を見せた。先程よりは若干動くようになっているものの、指が少し曲がるくらいだ。


「エーディスさんにより強制安静中です。動かせないので開きようがないです」

「あら、それなら安心ね。まあ、仕事はやっておくからたまにはスレプニールたちと戯れてたら?」


 お言葉に甘えてふらふら歩きながら馬たちと遊ぶことにした。


「おはようハーク!今日もイケメンだね」


「カムル、眠そうだね?疲れてるの?」


「あいかわらず困り顔してるね、セルランセ」


 声をかけながら厩舎を徘徊する。

 毎日作業している内に馬たちの顔と名前は覚えてしまった。

 それぞれの性格も掴み始めたところだ。


 青毛の牝馬、フリージャがこちらを見てるので、近寄って挨拶する。

 この馬はペルーシュさんの騎乗馬だ。とても人懐こく好奇心のある可愛い子である。

 馬房に入り、首をマッサージしてやる。


「左手だけだと力入らないけどごめんね」



 時間をかけてもみほぐしてやり、お互い満足する。

 フリージャが鼻面で手をくすぐってくるので、遊んでやる。


「あ、フレーメンした。君こうやってやるとよくそれやるよね」


 もう一回同じようにやると、またフレーメン。


「あ、そうだ。ちょっと待ってて!」


 私はあるものを取りに走った。

 そして戻ってくると、仕込みを始めた……。




「よし!上手ー!」


 なんとなくできるようになって褒め称えたところで、ペルーシュさんがやってくる。


「おはようツムギ。手、大丈夫かい?」

「ペルーシュさん!おはようございます。手は大丈夫ですよ!

 それより見てください!芸を仕込みました!ほら、フリージャ、い〜」


 手で鼻先に合図を出すと、よし!フレーメンしたぞ。


「おお!フレーメンした!え。すごい」

「えへへ、つい暇で。教えやすそうだったので」


 もう一回やると、い〜。ちゃんとやってくれる。

 かしこいね!えらいえらい。


「すごいなあ。なんか他にできたりするの?」

「うーん、芸ってわけではないですけど足上げとか、後退とか。

 私は見たことあるだけなんですけど座らせたり寝かせたりできる人もいますよ」


 ペルーシュさんは感心したように息を吐いた。


「フリージャ、空いてるときに何かしら教えてあげてよ。なんか面白いし、できたらみんなに見せてあげようよ」

「いいんですか?じゃ、何か乗らないでも教えられることは教えてみますね!」

「うん。その代わり、俺にもやり方教えて」

「もちろんですよ!」



 とりあえず練習のため馬装しにいくというので見送る。

 というか、作業もうほとんど終わってるんだけど……。

 魔法だとやっぱり速いな……。

 ほんとに、私、普段役に立ってるのかな。




 暫く馬と戯れてから練習を見に行く。

 課題曲の入っているいわゆるCDとかレコード的な大きめの魔法具があり、それが今かけられていて曲を流しながらリンガーさんたちが動きを説明している。


 とりあえず、前回の課題曲の動きを全員で確認して、アレンジするポイントの意見を出し合おうということで昨日は収まったらしい。

 曲はクラシック風で、少し物悲しい雰囲気の曲だ。

 とおもったが、最後の方は重厚かつ壮大になり、盛り上がりそうだ。


 外部組のリンガーさん、ルシアンさん、クリオロさんが演技を見せてくれる。

 お〜。なるほど。こういう感じなんだ。

 なんというか、男子の新体操っぽい。

 みんなが揃って同じ動きをしつつ、たまにアクロバティックな個人技を順序よく入れつつ、みたいな。

 馬の動きも揃っていて、さすがは経験者である。


「3人だとこんな感じだな。どうだ?」

「すごいです!最後の大技、あれ全員でやったらすごそう!」


 私の称賛にドヤ顔をする3人。


「はは!全員揃ったら結構迫力出るぞ!」

「完璧なら余裕で決勝にいける位の点が取れるはずだぜ」

「後はやってみて、だな。どうだツムギ、少しはイメージ湧いただろう?」


「そうですね!……例えば、常にキチンと騎乗してないといけないとか規定はあるんですか?」

「落馬は減点だな」

「座りを変えるのは有り?」

「座りを変える?」

「カシーナさん、ちょっとやってみて貰っていいですか?」


 私は、ウェルジュに跨っているカシーナさんに指示を出して、軽乗の動きをやってみてもらう。

 私がやれればいいのだが、手が動かないので乗れないのだ。

 説明は難しいが、馬が動いてないから簡単だ。鞍に持つところがないからちょっとやりづらそうだけど。


「こ、こうかしら?」

「そうです!それで後ろ向いたり、横向いたり。脚はピンと伸ばしたほうが見た目カッコイイです」


 みんなが驚いて顔を見合わせている。


「なんだそれ。初めて見たぞ」

「軽乗って言うんです。ホントは、円運動してるところに飛び乗ったり降りたり、こんな感じで馬が動いている中でポーズを取ったりするんですよ。

 こういう動きを入れてみたら面白いかなぁと」

「飛び乗りならやったことあるぜ!面白そうだな!」


 クリオロさんが同じように動きを真似してくれる。

 私はかじったことがあるくらいであまりできるわけではないが、思いつくポーズを取ってもらってみると、流石に身体能力が高いのか私が言ってない動きとかをやりだす。

 鞍馬競技の選手みたいでカッコいい!

 逆立ちしたり、アクロバティックな動きが得意らしい。

 クリオロさんが楽しそうにやっていると、ルシアンさんがニヤッとしてクリオロさんの乗っている馬を動かし始めた。


「うわっとと!」


 バランスを崩すが、流石に脚からきれいに着地する。


「何するんすか!」

「本来、動いているときにやるもんなんだろ?」

「よーし!ルシアンさん動かしとけよー!」


 やる気になったクリオロさんが、速歩してる馬を掴んで飛び乗った!


「イエーイ!これくらいやったことあるぜぃ」


 そしてさっきの動きを真似してみせる。初めてとは思えない。すごーい!

 思わず拍手を送ってしまう。


 また飛び降りると、慣れない動きにゼイゼイ言いながらもニカっと笑う。


「これ面白いな。どっかに入れようぜ!決勝のアレにも!」

「確かに良いな。どこかしらで組み込むか」



 軽乗の動きが取り入れられる事になった。

 あんまり役に立ててないから、向こうの知識くらい活かさないとね。

最近、寝ても寝ても疲れが取れません……。

どう森やってる場合じゃない笑


馬に今日も可愛いね!と話しかけるのはあるあるだと思うんですけど如何でしょう。

ちなみに仕込みは合図を出して、できたら人参とかのご褒美をあげました。


馬用語

青毛=馬の毛色の1つ。青毛は全身黒い。体色に茶色が交じると黒鹿毛とか青鹿毛と呼ばれるが、青毛は真っ黒

フレーメン=匂いを嗅いで、上唇を引き上げる様子。馬が笑っていると言われるが、笑っている訳ではない。主に異性の匂いを助鼻器(じょびき)で確認するために行う行為だが、嗅ぎ慣れない匂いを嗅いだとき等にもよくやる。本文に出てるように鼻先を触るとやる馬もいるが、理由は筆者にはわからない。単に上唇を持ち上げてるだけだったりして……

軽乗(けいじょう)=馬上での体操運動。あん馬競技の元となったと言われる。軽乗鞍という特殊な鞍で行う。日本ではあまり知られていないが、海外ではそこそこメジャーらしい


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