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演目の物語

昨日は更新できずすみません。

書き溜めできてないので、明日以降も遅れる可能性があります。

色々とアイデアを出し合い、大まかな作戦を決める。

今までは、淡々と要素をこなし、とにかく全員が揃った演技をすることが多く、最後の山場に全員で大技を見せるというパターンが多かったということで、今回はストーリー仕立ての演出を提案してみた。


「ふむ……。一種のショー的な演技をするってことか」

「でも、大丈夫かしら?揃った演技が一つの評価点にもなっていたし……」

「そうだよな。それに、喋ったり説明を誰かがするわけでもないのに、物語が理解できるのか?」

「予測できるわかりやすいストーリーにして、だいたいの流れがわかればいいんですよ。揃った演技ができるポイントを要所要所で入れていければどうですか?」

「予想できる話って、どんな感じだ?イメージはあるのか?」

「うーん、皆さんに通用するかは文化が違うのでわからないですけど、例えば、勇者が囚われのお姫様を助けるとか。

……あ、みなさんが子どもの頃聞いてたおとぎ話みたいな誰もが知ってる話があれば、それをもとにするのはどうでしょう?」

「なるほどな。それならわかりやすいし、良いかもしれないな!」

「何か有名なお話ありますか?」

「それなら、やっぱり女神アトラの物語じゃないか?」

「そうだな!この国だけじゃなくてほとんどの参加国で馴染みがある話だぜ」

「どんな話なんですか?」


「女神アトラは、豊穣を司り、この世界の魔法の基盤を作った神なんだ。

この話は、魔女と呼ばれたアトラが女神となるまでの話だよ」



魔女アトラは、世界で初めて魔法を使ったと言われる女性である。創造神に生み出されたとも、異界から喚び出されたとも言われ、その異質さは計り知れないものだった。

彼女は魔女と呼ばれ、迫害を受けたが、その慈愛の心をもって多くの人々を助け、大地を豊かにした。やがて敬慕の対象となり、この世界にさらに発展をもたらした。

しかし、時代の覇者、古代帝国の王に嫁ぐことを拒否し、逆らったため、彼女は処刑されることになる。

彼女は処刑台に立ちながらも、すべての人々、そして生き物の幸せを願い、その慈しみの心が魔法となり世界へ降り注いだ。

彼女はその後神となり、天に召された。

そして、彼女の最期の魔法が、この世界に魔力をもたらし、より一層世界は豊かになった。



「で、それから豊穣の女神としてアトラは世界中で信仰の対象になっている。この国もそうだよ。君も見たことあるだろう?女神アトラ像」

「あの女神像の元のお話があったんですね……」


個人的には、異界から喚ばれたらしい下りも気になるところだが、そこかしこで見られるレリーフや女神像の話が聞けて単純に興味深い。


「ドラマティックな流れもありますし、それで行きましょう!女神アトラはカシーナさんで決まりですね」

「ええっ!?あたし!?」

「よし。決まりだな」


狼狽するカシーナさんをよそに、詳細を詰めていく。とにかく今やらなければいけないのは、曲の発注だ。

このスレンピックの舞台でお披露目されることは栄誉あることなので、頼めば二つ返事でやってくれるだろうということだが、今回は物語に沿った曲調で新しく曲を書き下ろしてもらうため、早めに頼まねばならない。

もちろん他のチームの依頼もあるので、こうなると少し遅いくらいかもしれない、とペルーシュさんが少々心配していたが、リンガーさんが毎年出ている有名な楽団に頼めるということで、説明ともどもお願いすることにした。


「善は急げ。明日には話しつけてきてやるよ!」

「曲ができるまでの納期を伺ってもらえますか?ざっとしたメロディーラインでもいいので」


それをもとに、きちんと要素を組み込んだ振りつけや演出も考えないといけない。

衣装とかは?

それから課題曲も、全チームが全く同じことをするのか、それとも曲は同じで内容はそれぞれのチームの解釈で違うのか……。

聞いてみると、


「衣装?この隊服じゃだめなのか?」

「え?モレルゾチームとかぶっちゃいません?」

「まあそうだけど」

「規定はあるんですか?」

「いや、なかったはずだ。どこの国の選手かわかるような服を着ることが多かったと思う。俺らは隊服しか着たことはないな」

「おんなじ国の人はおんなじ服装って感じですか」

「まあそうだね。人によってはわかりやすく装飾品つけてたりもするけど」

「演技のイメージによって服装が変わることはないと?」

「……ない」

「それ、規定違反にならないか調べて、衣装も考えましょう。少なくとも決勝は」

「わかった」


そして、課題曲については、曲ややらないといけない要素は同じだが、流れはそれぞれのチームによって変わるとのこと。


「ということは、課題曲も動きを考えないといけないんですね……」


大丈夫か?時間。


「まあ、課題曲は数年で同じのが回ってくるから、それと同じようにやる組が多いよな」


えっなにそれ。良いのか?


「課題曲の発表は来週だから、それまでに基本的な要素のステップをマスターできるように頑張りましょう」

「ええ、そうよね……」


スレンピック、結構ハードスケジュールなのね……これを毎年……?

4年に1回くらいにしない?

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