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エピローグ

 目を開けると、王宮のあの祭壇のある部屋だった。


 そこにはたくさんの懐かしい顔たちがいた。



「ほんとに帰ってきた!」

「ツムギ! お帰り!」

「エーディス良かったな!」

「髪伸びたな~てかエーディスまた髪切ったのか?」



 笑顔で迎えてくれたのはスレンピックのチームの面々だ。



「良かった、本当に……」

「ツムギさん、お久しぶりですね。お元気そうで何よりです」

「お帰りなさいませ!」



 殿下をはじめとする王宮の面々。

 良かった、ここにも私の居場所がまだあるんだ……。


 ちょっとうるっと来てしまったが、私も笑顔を返す。



「みなさんお久しぶりです! これから宜しくお願いします!」



 わいのわいの言いながら、エーディスさんに運んでもらったお土産を渡していく。

 その足で陛下たちにも挨拶に行き、私のいない間のエーディスさんの廃人っぷりを聞かされ、彼がげんなりして。

 殿下の麗しい奥様を拝見して、二人合わさった眩しさに思わず見とれてしまいつつも、だいぶ夜遅くになってしまったためまた後日パーティーでもしようとなり、解散となった。



「帰ろうか」

「はい」



 手を繋ぎながらゆっくりと歩く。本当に懐かしい。たった半年と少ししか居なかったのに、こんなにこの景色に馴染みを感じている。






 着いた、エーディスさんの家。

 家にはすぐに入らずに、いたずらっぽく笑うエーディスさんに手を引かれ、裏手の馬房を見に行くと……。



「えっ! 子馬!?」

「そう、去年シオンが出産したんだ。この仔が大きくなったら、ふたりで遠乗りに行こう」

「はい! わあ、子どもの頃は角が丸くて短いんですね! 可愛い~!」



 シオンも私のことを覚えてくれてたのだろうか?

 そっと、手を差し出すと匂いをかいで、ぺろりと舐めてくれる。

 子馬は好奇心が旺盛なのか、自分から近寄って鼻を押し付けてくる。撫でまわしたい!


 様子を見ながら撫でくりまわし、世話を済ませて家の中へ。



 家の中はあの時から、何も変わっていない。


 またとっちらかってたりするかな? と思ってたけど、ちゃんと維持してくれていたみたいだ。


 荷物を置くために、私の使っていた部屋に向かう。



「綺麗にしててくれたんですね」


 そう言うと、エーディスさんは肩をすくめた。


「……じつは、君が還ってからずっと王宮の中に住んでたんだ。だから、散らかりようがない」

「え? そうなんですか?」



 エーディスさんが目を伏せ、呟く。



「ここにいると、寂しくて。……君を思い出すから」

「エーディスさん……」



 エーディスさんは、私の手に指を絡めて口付けた。

 じっと見つめられて、頬に血がのぼってくる。



「君を迎えに行くって決めてから、ちゃんと掃除したよ」



 どぎまぎしている私にくすりと笑い、私の部屋のドアを開けてくれる。


 ああ、懐かしい私の部屋だ。

 エーディスさんの言う通り、きっちり掃除もしてくれたのか、清潔に整えられたベッドに、サイドテーブルにも埃ひとつ落ちていなかった。



「変わって、ないですね……」



 私が呟くと、エーディスさんがそっと、私を抱き締め、耳許で囁いた。



「おかえり、ツムギ」

「ただいま……ですね」



 微笑み合い、自然と顔を寄せ唇が重なる。

 向こうではバタバタしてたし実家だったり人目があったりで、あまりベタベタしてなかったな、とふと思った。



「ん……」



 私からも唇を求め、何度もキスを交わした。

 至近距離で見つめ合う。

 エーディスさんの綺麗な緑色の瞳に、今、私だけが映っている……。



「これから、本当に夫婦ですね。……宜しくお願いします」

「うん。……愛してるよ、ツムギ。……来てくれてありがとう」

「なんも役にたてないけど、これからはずっと、側にいさせて下さい」

「君が側に居てくれるだけで俺は幸せだよ」



 その言葉がとにかく嬉しくて、ぎゅっと抱きつくと、更に強く抱き締められ、そのまま、無言で抱き上げられる。



「え、エーディスさん?」

「俺の部屋に行こう、ね?」

「ひゃ、もう……これからずっと、一緒なんですよ?」

「だからこそ、だよ」



 首筋に口付けられ、髪をすかれ、頬を撫でてくれる。

 あまやかに微笑む私の大好きな人。



 そこからの展開はお察しということで……。



 蕩けて惚けた頭の中で、自分の部屋のベッドに寝ることはあんまりないだろうなとぼんやり思った。

 家から離れた寂しさを感じる間もなくエーディスさんに甘くとろかされ、私は眠りに落ちていった。







 ゆるゆる目覚めて感じる。側にある体温がこんなに安心するものだとは……。


 頬を擦り寄せ、幸せを噛み締める。

 エーディスさんがすぐそばで微笑みかけてくれる。


 私はここで、生きていく。


 異世界の、愛する人の側で。




これにて完結とさせていただきます!

同時公開でオマケエピローグを載せております。

長々とお付き合いいただきまして誠にありがとうございました!

拙すぎる物語でしたが、まずは完結まで投稿できたことはありがたいことでございます。


最初構想してた内容と変わった部分も多かったので、風呂敷広げたけど包みきれなかった部分がちらほら……。

そういった冗長な部分とか、整合性に欠けそうな部分はちょこちょこ直していきます。折角なので他のサイトでも公開しようかなと考えてます。

終盤盛り上がりに欠けてたかもですが、こんなに長くなるとは思ってなかったので私のスタミナが保たなかったということで……すみません!

少しでもお楽しみいただけましたら幸いです。

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