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4話 待ち伏せ

 俺は今、学生服からこの世界の一般的な衣装へと変更していた。

 シリウスから学生服は珍しい格好なので目立つと言われ、この世界の衣装を何点か譲られたのだ。

 頑丈そうな布地だったか着心地はあまりよくない。

 着替えた学生服はアイテムボックスへと放り込む。

 なんか転移特典とかで、自称神様から全員に異世界もの定番の【アイテムボックスが】が贈られてある。

 沢山ものが収納でき実に便利なので、ありがたく使わせてもらう。

 もらったお金も放り込んであるので、防犯は完璧である。

 あとローブももらってなんかテンションが上がった。

 ローブを堂々と着ていい環境にいるんだなと、謎の感動が俺を満たす。


「あ、いたいた」


 準備も整い、シリウスに外へと案内してもらっていると、待ち伏せしていた少女が俺の前に立ちはだかる。

 少女はクラスメイトの池田いけだ 真理まりだった。


「池田さん何か用なの?」


「実は一緒に冒険しようと思って待ってたんだ」


 なるほど分からん。


「俺のスキルって戦闘に役に立たないものだよ?」


「どんなスキルだって使い方次第よ」


 それは否定はしない。


「いやー、一緒に行っても絶対に足手まといになると思うんだ」


「あら、あたしってそんなに頼りなく見える?」


 むしろ俺がやる気ないから、こっちが足手まといになると言ったつもりだったんだが。


「俺のスキルはヘルプっていってね、基本的な情報を知ることしかできないんだよ」


「素晴らしいスキルね! それがあればこの世界で大活躍ね!」


 遠回しに役立たずをアピールしたのだが、逆に持ち上げられてしまった。


『……チッ、女狐がっ』


 すまんヘルプちゃん。

 俺、難聴系主人公じゃないからしっかりと聞き取っちゃいました。


『違うんです! 今のはちょっとした本音であって、そんなんじゃないんです』


 ふむふむ、思いっきり本音とかいっちゃってますけど、どうなんだろう。

 女狐ねぇ、キツネ耳に尻尾とかあっても可愛いだろうな。


『マスターマスター』


 そんなことを考えてるとヘルプちゃんが呼んでくる。

 振り返るとキツネ耳と尻尾を付けたヘルプちゃんが立っていた。


『ど、どうでしょうか?』


 可愛いよ。

 可愛いけど、いきなりそんな格好になってびっくりだよ。


『姿の変更は自由自在ですので、この程度のオプションは余裕です。衣装だって望みのものに変えれますので、遠慮なく仰ってくださいね』


 ヘルプちゃんは本当に有能である。


「ちょっと、なに遠い目してボーっとしてるのよ」


 現実逃避してると、池田が無理やり現実に引き戻してくる。


「ちなみに池田さんのスキルは?」


「もちろんひみつー」


 秘密主義であった。


「そもそもスキルって切り札だから簡単に教えちゃダメよ」


「知られても全く問題ないのが俺のヘルプなのさ」


 ヘルプのことは教えるが、ヘルプちゃんは秘密だ。


「ふう、どうやらあたしがいないと生きて行けそうにないわね。仕方ないから一緒に行ってあげるわよ」


『いいえ、むしろ邪魔ですから来ないでください。いえ消えろ。むしろ今すぐに抹殺してやる』


 ヘルプちゃんがジェノサイドモードになってるぞ。

 怒らせると怖い。


「イケダ嬢、あなたはこの世界の知識を学んでるはずではなかったのですかな?」


 シリウスの質問に明らかに渋い顔に変わっていく。


「いやいや、学習終了予定が30日後とか、どんだけ勉強させる気なのよ」


「必要な知識ですよ?」


 あー、なんとなく背景が見えてきたぞ。

 あれだな、勉強面倒だからって逃げ出してきたのか。


『マスターわたしも同意します』


 そこに勉強もせずにすぐに外に出るという俺のことを知って同伴する気だったのか。

 普通に考えて無謀だろ。

 俺がただの行き当たりばったりの人間だったら、一緒に共倒れコース間違いなしだ。

 ますます一緒にいくのはヤバそうという認識を俺は強めたのだった。

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