39話 点呼確認
急いで追いかける俺と池田。
そこで見たのは、山積みになった鶏の群れ。
それがブスブスを煙を上げて黒焦げになっている姿だった。
「残念だけど間に合わなかったわよ」
声のするほうを見れば、クラスメイトの雨宮 桃香が、とても嬉しそうに笑っていた。
俺はそれを無視して声をかける。
「点呼確認」
そう言うと、山積みになっている黒焦げの鶏が動き出す。
「え……うそ……」
雨宮の奴は凄い驚いているけど、この世界の鶏の羽は抜群の耐火性能を誇るのだ。
なので料理するなら、羽を全部むしってから調理するのが常識である。
俺の前にリーダーの鶏が近づいてくる。
「とりあえず安全なところまで彼女を連れってくれ」
【任された】
器用に返事を書いて見せてくる。
え、いつの間にそんな芸覚えたの?
とか思っている間に鶏たちはシャリエラを連れていなくなる。
「人が平穏に暮らそうとしてるのを壊すとかどうなのよ……」
目の前の魅了の魔女をどうしようかと考える。
「まあ、池田を一回殺せるほどの攻撃力があるのは怖いなー」
「え、違うよ?」
「ん?」
どういうことかと隣の池田に振り返る。
「あたしと戦ったのは彼女じゃないよ? 彼だよ?」
「彼女? 彼?」
えーと、つまり――
「だからあたしの相手は男子生徒だったよ」
まじかー。
別件かぁ。
本人来てたから、てっきり池田の相手は雨宮かと思ってたわ。
「あー……上手くいかない……全然上手くいかないなぁ……」
そうこうしてると雨宮が不満そうな顔をして話し出す。
「ヒロインの私の思い通りにならないなんて、どんなバグだわ」
あ、これ話し合いとか無理なやつだ。
なんとなく話し合いは不可能だと察してしまう。
『マスター、恐らく彼女は混じってます』
混じってる?
何が混じってるの?
『マスターは魔族と人族が戦ったらどちらが勝つと思いますか?』
ははは、そんなの魔族の完全勝利さー。
人間が勝てるなんて不可能だねってくらいは、俺もこの前嫌というほどわかっちゃいましたね。
『つまり、外部からの干渉で今まで最悪の結果にはならずに済んでいました。その外部からの干渉というのが――神が気まぐれで投入していた【天使】たちです』
天使かぁ……あのレベルの魔族とも戦えるとなるとスゲー強いんだね。
『天使でも上位クラスともなればそれだけ強くなりますね』
ふむふむ。
『そして天使の一部は魔族との戦いで傷つき、各地に斃れたとされています』
ほうほう。
『そしてその一体が、この国の王城地下に封印されているという文献がありまして、もしもそれを体内に取り込んでいたとしたら――』
そんな不穏な話を聞かされた直後、目の前の雨宮の背に四枚の白い翼が現れた。




