2話 ヘルプちゃん
『マスターおはようございます』
目が覚めるとベッドの横に、見たこともないほどの可愛いメイドさんが立っていた。
正直に言おう。
俺の好みど真ん中過ぎである。
流石異世界、この出会いに感謝だ。
そしてメイドさん、大好きです結婚してください。
『そんな……いきなりそんなこと言われても困ります』
おお、恥じらう姿も可愛い……て、あれ?
俺一言も喋ってないですよね?
なんで会話が成立してるんですか?
エスパーさんですか?
『いいえ、わたしはマスターの【スキル】の【ヘルプ】でございます』
え、スキルのヘルプですか?
えーと……普通の人のようにしか見えないんですが……。
困惑してる俺に向かって無造作にヘルプが手を近づけてくる。
『このように実体はありません』
その手は胸の中へと抵抗もなく入ってしまう。
『実体はありません。この姿はマスターにしか見えないというか、マスターの視覚情報に介入して追加映像として映している状態です。音声も同じ要領だと思ってください』
へー、凄いなー。
驚いていると、ヘルプは突然深々とキレイなお辞儀してくる。
『昨夜は睡眠中に無断でマスターの体を使用してしまいました。申し訳ありません。もしも気に入らなければ、どのような処分も受け入れます』
そうなんだ。
まあ、特に問題ないけど何してたの?
『はい。ヘルプとしての仕事を全うするため、この世界の情報を収集しておりました。この建物の書物が大量い保管してある場所を見つけ、そこで一通りこの世界の情報をマスターの体を使って集めさせていただきました』
なら問題ないな。
だからそんなに申し訳なさそうにしなくていいよ。
『その優しさに、ヘルプはマスターのスキルであったことを誇りに思います』
嬉しそうに両手を胸の前において頬を染めないで、超ドキドキするから。
『ふふふ、マスターをドキドキさせてしまいました』
しかし偶然にもこんな子がパートナーになってくれて嬉しいな。
『いいえ、偶然ではありませんよ。わたしは情報ゼロの状態からスタートでしたので、本当に申し訳ないとは思いつつも、マスターの記憶データから情報を共有させていただいて今のわたしの人格が形成されました』
やばい。
これ、完全の俺の好みを反映させた状態ってことかよ。
恥ずかしさが青天井なんですけど。
『ご安心ください。わたしはマスターの忠実なスキルです。決して裏切りません! それに……いつか体を手に入れたら、今はできないご奉仕とかもしてみせます! というか、身体の当ては昨夜のうちに見つけましたので、いずれ実現して見せます!』
そ、そうなんだ……。
嬉しいけど、あんまり無理しないでね。
『はい、全然余裕ですよ。それにこの世界の基本的な情報は十分に収集できたと判断しましたので、これからマスターのお役に立って見せます』
そう言って気合を入れる姿も可愛い。
むしろどんな仕草も可愛すぎ……。
ヘルプ……いや、もうヘルプちゃんと呼ぼう。
可愛いヘルプちゃん大好きです。
あとこれからよろしくお願いします。
『ヘルプちゃんだなんて……嬉しいです。大好きです。いっそのこと、この世界を二人の楽園にするために世界征服とかしちゃいましょうか』
両頬を手で覆いながら嬉し恥ずかしの感じを出しながら体をクネクネしてる。
喜んでるけど、後半は妄想になってるぞ。
世界征服ってどんだけよ。
『いえ、妄想とか非現実なことは言って――』
ドアのノックの音で会話が途切れる。
扉に目を向けると、昨日の貴族っぽい人が入ってきた。