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16話 食堂にて

「なかなかいけるな」


『そうでしょう、そうでしょう』


 ヘルプちゃんが勧めてくれた食堂は、なかなか美味しかった。

 肉と野菜の炒め物に、コンソメっぽい味付けのスープ。

 あと堅いパンは異世界の定番だな。

 スープにつけて柔らかくして食べる。

 味が良いうえに、なんといってもコスパがいい。

 炒め物が大皿に山盛りで運ばれてきたのには最初びっくりだよ。

 安い理由は魔物の肉使ってたり、野菜は近くの高級レストランで調理後の捨てるだけのくず野菜を格安でもらい受けているそうだ。

 まあ、抵抗はないよ。

 いきなり魔物の頭が出てきたりとかしたら躊躇いそうだけど、見た目普通の料理だしね。


「うまー! うまー!」


 池田はガツガツと食べまくってる。

 胃袋までバケモノか!


『……お客様がきました』


 ヘルプちゃんがまじめな声色で話しかけてくる。

 気づくと目の前に誰かが座っていた。

 ニコニコと胡散臭い笑みをした自称神様がこちらを見ている。


「神様がなんの御用ですか?」


「そんなに緊張しないしない。もっと気楽に『胡散臭い自称神様』って呼んでくれていいんだよ?」


 わーい、普通に心読んできやがったよ。

 処刑コース待ったなし!


「あはは、そんなことしないよー」


 うん、完全に心読んでるな……。


「転移生活を満喫しているようでよかったよ」


「ところで何しに現れたんですか?」


 厄介ごとの予感しかないんだが……。


「そんなに警戒しないしない」


 ジッとこちらを見つめてくる。


「ふむ、なるほどなるほど……これは要観察かな」


 なんか嬉しそうだ。

 それより何か興味を引くことがあったらしい。


「ではこの世界を満喫したまえ」


 自称神様がテーブルを指でトンっと軽く叩く。

 そちらに目を向けて視線を戻すと、すでに自称神様の姿はなくなっていた。

 いったい何しに来たんだか。


『気になさらなくて大丈夫です』


 ヘルプちゃんが笑顔で言ってくれるので、心配しなくてもいいな。

 むしろ何があっても抵抗とか無意味な相手だけに考えるだけ無駄だ。


「腹も膨れたし宿にいくか……ところで、いま蹴りまくって起こそうとしてる隣の居眠りはどうしたらいいんだろうか」


 満腹になり眠ったらしい池田に蹴りを入れているが起きない。


『捨てていきましょう。なーに、死にはしません』


 流石にそれやって恨まれるといやだなぁ。

 そう思いながら池田を背負って宿へと戻ることにした。

 背中に柔らかい膨らみが当たって、凄くけしからんことになってしまう。

 べ、別に嬉しくないんだからね!


『絶対に殺す!』


 後ろを歩くヘルプちゃんが、池田に視線だけで殺せるような殺気を向けていた。

 ごめん、背負ってる俺まで殺気でビクビクしちゃうんでやめてください。

 池田はその中でも爆睡である。

 そもそもヘルプちゃんの存在を感じられないんだから当然と言えば当然か。

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