14話目
随分、遅くなってしまいました!
ごめんなさい…。
もっと更新できるように頑張ります!!
「おはようございます」
優しい声がして起きた。あれ、なんだか違和感。
「ん…、おはようございます。」
目を開けて、起き上がると私は驚いた。
なんとそこにいたのはあのおばあさんだったのだ。
違和感がするな、と思ったらララじゃなくておばあさんが起こしにきたからだったからね。
ちなみに今日はララもリディアにも休暇を与えている。
それにしても早いわね。
早朝に来て、と言ったけれど誰も起こしに来てとは言っていないわ。…、それだけおばあさんは私を町に連れていって絵について学ばせたいのだろう。今日を楽しみにしていたってことね。
私もきちんと生きていたら孫のためにこのぐらい行動を起こしていそうだもの。少し、考えさせられるわ。
「さぁ、お嬢様。朝食をおすませください。すぐに出掛けますので」
「えぇ、分かりました」
ふぁーあ。さぁ、起きましょうか。
窓を見ると、ちょうど明け方のようでまだ空はほんのり暗かった。
こんなに早い朝は久しぶりだ。
梓が高校生になってから私は弁当を作らなくなったため、もしかしたら15年ぶりぐらいかもしれない。
私は起きて、おばあさんにワンピースを着せてもらう。
着替えを手伝ってもらうのにもだいぶ慣れたな、と感じた。最初は少し抵抗があったんだけどね…。さすがに記憶が戻ってもうすぐ半年、諦めがついてしまった。
時がたつのは、長いようで短いものだなぁ。
▪▪▪▪▪▪▪
朝食を終えて、部屋に戻ると布団には中世ヨーロッパの町娘がいかにも着ている感じのワンピースがあった。
普段着ているドレスやワンピースがあまりにも綺麗だから久しぶりの庶民感になんだか嬉しくなる。
少し落ち着かなかったのよね…。
ちょっと前まではどこにでもいる普通の主婦でもうすぐ孫ができるところだったんだもの。
いきなり美少女になって、それがお金持ちで、生活だって自分でやらないで使用人にお願いしていることばかり。
なんだかむずむずしていたのだ。
怠惰を極めている気がして…。
「お嬢様、すみません。お忍びですから私の姪のお古の服を用意させていただきました。多少汚れていますが我慢してくださいませ…。」
私が黙って立っていたので気分を害したと思ったのかおばあさんが申し訳なさそうに言ってくる。
あぁ、ごめんなさい。別に嫌だというわけでは無いの。
「大丈夫よ、ただどうやって着るのかしら?と思って。」
それっぽい言い訳をしてみる。
「左様でございますか、ではお手を」
そう言われて私は手をあげる。
すると、上からがポッとワンピースを被せられた。
「むぐっ、」
ワンピースの裾を引っ張られて、着ることができた。
おばあさんは手早く私の髪を整え始める。
これから茶色い髪のウィッグをする。さすがにブロンドだと目立つからね。
「ねぇ、護衛は大丈夫なの…?町に出るのでしょう?」
そこで、私は気になっていたことを尋ねた。
カリアは伯爵令嬢。しかも歴史あるエルデウォーゼ家の一人娘だ。
なにか大事があってはいけない。
まだユキとの婚約が決まっていないので今のところエルデウォーゼ家は婿にきた男性に継いでもらう予定だ。
もちろん、王子やユキとの婚約が決まったらお父様は養子を取ると思う。
けれど、お父様は私にできれば家に残って欲しいのだろう。なにせ自分の奥さんの忘れ形見なのだから。
今回お父様には黙って町に、出るつもりだ。
どうするのだろう…?
すると、おばあさんはいい笑顔で答えた。
「大丈夫ですよ、お嬢様。私これでも体術ではそこらの若者には負けないのですよ!」
「へ、へぇ…。」
えぇー!!心配だ。ものすごく!ものすごく!!!!
このおばあさん護衛は連れていかないそうだわ。自分一人で守るって。
不安なんですけどっ?!
おばあさんは私の頭をぽんぽんっと二回ほど触ると、「では、行きましょう」と笑いかけた。