不眠
昨日もそうだった
おとといも、その前も
多分
明日も明後日も
夜は長い
私はどうやら
思っていたより
馬鹿だ
静か過ぎて
耳鳴りがやまない
大好きなシーツの肌触りも
心地好い布団の柔らかさも
不快だ
眠らなくても
死にやしないと
なだめて目を閉じる
深い底なしの夜
虫が眠れと歌い
バイクが眠らぬ勝利を唸る
眠っても
眠らなくても
世界は変わらない
見たい夢は
黒いスクリーンに
消えていく
呼吸をしているのに
息苦しい
底に沈んでいるのに
水面はどこだろう
宇宙の果てで
ぽかりと浮いた身体
丸めて
息を吐く
元いた場所に戻りたい
耳鳴りがやまない
あなたの声が聞きたかった
星は泣きながら
身をすり潰して
月明かりを
瞼の裏に映して
同じほどに
願いを
吹きこんでほしかった
お休みなさい
朝になるまで
無になりたいだけ
寝返るたびに
枕は枷のよう
明日
眠いのは私だけ
閉じても開いても
瞼は何も変えられない
思わず
あなたの名前を呼びました
刹那だけ
耳鳴りがやんで
また虫は鳴いて
泣いて
朝はまだ遠い