ゴメン、どっちかなんて選べないよ
「ねぇリリィ」
「なんですか、メグル」
同じマンションの同じフロアに住んでいるメグルとリリィ。毎晩のようにどちらかの部屋に集まり食事をしたり晩酌をしたり衣装を作ったりカップリングについて喧々諤々したりと、365日とまではいかないがしょっちゅう行動を共にしていることの多い二人。今晩も今晩とてメグルの部屋で衣装作りをしている。彼女らにして見ればこれは本職の傍らの副業。自分たちの衣装のほかにもネットで受注しオーダーメイドで作成している。佑奈と真白の衣装は大体がこの二人の作品。出会った当初こそ既製品を買っていたが、それ以降はすべてこの二人に任せっきり。
「ゆきちのバストサイズっていくつだっけ?」
「えっと、覚えてマセン。ごめんなさい」
「いや、スリーサイズ忘れちゃってさ。これだと生地切れないなって。仕方がない、聞くか」
「まだ起きてまスカ?」
「大丈夫、あの子夜更かしだから起きてるって」
おもむろにスマホを手に取りゆきち(真白)に電話を掛けるメグル。数回のコール音の後つながる、すると。
「も、もしもし」
「なぜ君が出るのかな、町村君」
「ごめんなさい」謝ってばっかりだなこの東大生。先ほど布団に来襲した真白が枕元にスマホだけ忘れて戻っていってしまった。そのため勲の頭上でブルったので、仕方がなく取った、という経緯らしい。
「ユウナだけじゃ飽き足らず、とうとうゆきちにまで手を出したということか。君、われわれのサークルのツートップを両方娶ろうとはいい度胸してるじゃないか」メグルの声に凄みがある。まぁ本気で言ってるわけではなさそうだが。
「違います、成り行きです…。むしろ寝取られかけました」
「ん、なんだって?」
「いえ、何でもありません」危うくバレるところだった。
「まぁいいや。別にやましいことしてるわけじゃないんでしょう?」
「やましくはないです!!」つい声に力が入る。
「怪しい」
「今佑奈さんの家で三人なんです」逸らす。
「ほう、そりゃまたなぜ?」
「実はかくかくしかじかで、うんたらかんたらで、ちょめちょめで…」山城新伍がいるぞ。取り敢えず事の経緯を説明する。メグル・リリィ組も真白に起きていたことは知らされていなかったらしい。
「なんとまぁ、そんなことがゆきちに起こっていたとは。気づけなかった私たちも私たちか。ごめんよ町村君、彼女たちのためにありがとう」
「いえ、別にどうってことは無いです。普通の生活に戻ってほしいですから」
「何と言うか、ユウナだけのはずだったのに。これも何かの縁、乗り掛かった舟だ、最後までよろしくね。お姉さんたちも協力するからさ」
「乗り掛かったというか、既に出港して日本の領海出てますけどね。次に寄港するのはもう解決したときでしょう」
「上手い」
「褒められても…」
「あ、そうそう本題。ゆきち起きてる? 用事があるのは君じゃないよ」本来の目的を忘れかけていたメグル。勲に真白の現状を訪ねる。
「えっと、多分寝ちゃってると思います」
「なんだ、珍しいな」
「色々ありましたので。安心したのか落ち着いたのかわかりませんけれど」
「そっか、それじゃあ仕方がない。明日にするよ」潔く引き下がるメグル。
「わかりました、伝えておきます」
「つかぬことを聞くけど」終わるつもりが勲に質問が飛ぶ。
「はい?」
「ゆきちのバストサイズわからない? わかるわけないよねー、ゴメンゴメン」冗談のつもりで聞いたメグル。それで会話を終えようとしたところ…。
「えっと…」真剣に考え始める勲。
「え?」
「89cmだと思います」合っているんだなこれが。
「なんでわかるの? やっぱなんかあったでしょう」
電話を終え衣装作りに戻るメグル。わだかわまりは残らないが遺恨を残しそうな深夜の通話。「今度会ったらギッタギタのメッタメタにしてやろう」と、こちらも心に誓うのであった。
「あたしですらまだ抱いてないのに…」
「何言ってるデス、メグル?」
「いや、こっちのこと。リリィ、残念だけど今度のイベントは別の血の雨が降るかもしれない」
「Bloodshed?」
「うん」
「物騒デスネー。クワバラクワバラ」と、慣れたあしらい方をしてミシンの針を進めるリリィ。今までもイベントで変な迫り方をしてくる男性レイヤーやカメコをことごとくなぎ倒してきた武勇伝がメグルに存在していることを知っているリリィ。頭脳派でもあるが武闘派でもある、リリィは隣でニコニコそれを眺めているだけの名参謀。頭より先に手が出る感じのヤン・ウェンリーの隣にいるユリアン・ミンツのようなもの。
「でもびっくりだったな、ゆきちってか真白までストーカーの被害に遭ってたなんて。しかも警察が相手にしてくれないと来たらそりゃ色々臆病にもなるか。可哀想に」
「タイヘンそうですね、ユウナもゆきちも」
「んー? そう考えると今ゆきちと町村君が一緒にいるのも頷けるか。ゆきちの方からちょっかい出したのかな、もしかして。あの子ならやりかねん」当たりです。
「若いっていいなー。あたしももうちょっと自分からぐいぐいいっとくべきだったかなー、あーもう!」と叫びながらミシンを走らせていたため、縫わなくていい袖口まで縫い付けてしまった。
「メグル、やり直しデース」
「はー、疲れた。ぼちぼち終わろうか? もう1時になっちゃうし」無駄話の後はただひたすら衣装を作り続けていた二人。そろそろお開きにしようとメグルが口を久しぶりに開く。
「そうですネ、終わりましょうカ」リリィも同意する。
「ふー、さてちょっとだけ睡眠導入剤をっと」そう言って冷蔵庫に向かい、ビールを取り出すメグル。二本の缶ビールを持って戻ってくる。一本はリリィに渡す。
「ねぇ、リリィ」
「なんですか?」
「ここのところイベントでさ、見なくなったカメラマンいるよね?」先ほど勲から聞いた話でどうも引っかかるところがあったらしく、自分なりに考えた結果、一つ思いい当たることがあったらしいメグル。
「私はメグルほど手出しませんから、よくは覚えていないですヨ」
「それもそうか…」グビとビールを流し込む。
「でもね、多分これ確かなことなんだ。まだユウナたちと出会う前のことなんだけど。1年以上前かな、よく撮りに来てるカメラマンがいたんだわ。でもユウナたちが加入してちょっとの間はまだ普通にいて。でもいつからかプッツリ見なくなってさ。はっきり顔は覚えていないんだけど、多分間違いない」
「よく覚えてますネ」
「うん。必ずと言ってもいいほどイベントにはいたからね。それがいなくなるとさすがに気付くよ。直接話したことは無いんだけどね、特にポーズ取ってくれーとかも言われなかったし。よく考えると珍しいな…」
大体のカメラマンはコスプレイヤーとお近付きになろうとして話しかけてきたり名刺を渡してきたりと、割と自己主張が激しい。今の草食男子も見習えと言いたい。
「まぁいいや、別のレイヤー見つけてそっち追っかけてるんだろうな。それはそれで悔しい、け、ど…」言葉が止まるメグル。
「ん、どうしましたカ?」
「あ、あいつだ」
「??」
「この前、町村君に頼まれて内見に行ったマンションで、最後エントランスですれ違ったの、アイツだ!!」
ちょっと時間遡って沖波邸の電話を終えた町村君。
「あ、黒雪さんからも電話あったんだ…。寝よ」真白のスマホの画面をそっ閉じして今度は一人布団に潜り込む。
一つの真実に行きついたメグルは、その日のうちに方々に連絡を取る。仲の良いレイヤー、知り合いのカメラマン、ただ名刺渡されただけで親しくもないカメラマン。若干可哀想なメンバーもいるが使えるものは使う。「こんな人物に思い当たる節は無いか」と、要約すればこの内容でメールやらメッセージを送信する。寝ようと思い立ってから1時間以上、既に深夜の2時を回っている。リリィは部屋に戻り既に就寝しているだろうが、メグルは今やらねばと睡眠時間を削って連絡している。という訳だ。
「はぁ、とりあえずわかるところには送ったか。この根回しが少しは役に立てばいいんだけど」
考えうる関係先はほぼ当たった。初めて連絡を取るところもあったがそんなのお構いなし。もしかしたらこの中に犯人がいるかもしれない、そんなことも考えつつこれが一つの抑止力になればと言う気持ちも少なからず彼女の中にはあったようだ。
「見つけたら死んでも許さない。あたしの可愛い妹分たちを酷い目に合わせやがって…。捕まえたら警察つきだす前にあたしがギッタギタにしてやる」物騒な発言がどうも多い、酒のせいか。
コスプレ歴は佑奈や真白と比較して圧倒的に長いメグル。かくいうメグル自身も盗撮だのローアングルからの撮影には過去ほとほと手を焼いたことがあった。性格上泣き寝入りするようなことは無く、イベントで捕まえては晒し者にして痛い目を見せていたようではある。その辛さや気持ちは痛いほど理解している。この世界に佑奈を誘った以上放っておくことは絶対にできない、と言う気持ちがある。
「ま、とりあえずこんな夜中じゃ返事もないよね。早いし寝るか、ふぁ…」あくびをしつつ寝床に向かうメグル。
ベッドにもぐりこみ電気を消す。枕元にはスマホがある。
「ふぅ………」すぐにでも眠りにつきそうなメグル。しかしその眠りを妨げる音が鳴り響く。
「なんだい、こんな時間に」ぶつくさ言いながらもスマホを手に取る。
「あ」それは先ほど連絡をした中の一人だった。急いで電話を取る。
「もしもし」
「もしもし、メグルさんですか。こんな時間にすいません。さっきのメール見たんですけど、私記憶があります」知り合いのコスプレイヤーから早速情報が入る。
「ホントに!?」
翌朝。慣れてきた勲はあの後グッスリ朝まで目覚めること無く夢の世界の住人と戯れていた。寝るのが遅くなったこともあってか、珍しく8時を回ってから目を覚ます。
「いない、よね?」右に左に顔を向け真白がいないか確認する。どうやらいないようだ。
「ふう、さすがに二度は来ないか」真白がいないことを悟り上体を起こす。
「いるんだな、これが」犬が顎乗せをするかの如く、なまこのように平べったくなり布団の下半分に乗っかっている真白がいた。
「おう!!!」何となく足元が重いのはこいつのせいか。
「何やってんですか、朝っぱらから。それこそ佑奈さんに見つかったらどうなるか」
「大丈夫、もう起きてるよー。町村君が最後やねん。朝ごはん出来るから起こしてきてって言われたから、ほら、もう着替えてるやん」なぜ関西弁。
「あ、ホントだ…」夜這いならぬ朝這いと言う言葉を作ってしまいそうになったが、取り敢えずそうではなかったらしい。
「ほれ、さっさと起きて着替えて。朝ごはん覚めちゃうよ」真白も起き上がり勲に布団越しではあるが馬乗りの状態になっている。なんと幸せな構図か、朝っぱらから気が昂る青年。
「ところで町村君」
「はい?」
「それ、収めてからリビングおいでよ」布団越しにある一点を指を刺す真白。
「それって…、!!!!!!!!!!!!!!!!」生理現象ばっかりはどうにもこうにも。
10分後、リビングへ顔を出す勲。
「おはようございます」すでに二人は食事が終わりかけている。勲の分の冷めたトーストと黄身の固まった目玉焼きがテーブルにある。
「おはようございます。真白に起こされてから随分経ってますけど、何かあったんですか?」こちらはまだ温かいコーンスープの器を差し出す佑奈に問われる。
「経ってるね、いや立ってたか…」
「はい?」
「なんでもない、なんでもない」空中に漢字が浮かんでいたらセクハラですよ。自分で自分の口を塞ごうとトーストに噛り付く。
「そう言えば、真白さん。昨日の夜メグルさんから電話がありましたよ」そのことを伝えた途端「しまった!」と気付く勲。
「おや、なんだろう。何の用事かな、後出かけてみるよ」
「メグルさんからですか? 何で町村さんが真白の電話にかかってきたの知ってるんですか?」ホラ気付かれた。さてどう取り繕うか見物である。
「廊下に置きっぱなしで、多分トイレ行くときとかじゃないかな。ブルブル震えてたから気になって拾ったら…、って感じ」
「なるほど」あっさり納得してくれた佑奈。隣では目を細めて勲をニヤニヤしながら見ている真白がいる。お前のせいだろうと言いたいが言えない。
「さて、今日の予定だけど。あたしんち行くんでしょ?」
「ふぁい、そのつもりです。だいじょうふでふか?」口にものが入った状態で答える勲。本日の本題はそこにある。佑奈のにならず真白も救うことになったので、手掛かり探しに真白邸に向かうのは昨晩決めた通り。
「うん、行くのはもちろんいいけど。どうやっていこうかね」
「ですよねぇ。男の人と歩いてると怪しまれちゃいますし」
「わかるよねぇ」
「わかりますよねぇ」既に口裏を合わせたかのような二人の会話。
「な、なに?」
「もー、わからないかなぁ。ユウナちゃんになってもらうってことだよ」
「ってことです」
「…、あぁそういうことね」コーンスープをかき回すスプーンがガタガタ震え、中身がテーブルに飛び散っている、のに気づいていない。お披露目第二弾、ラウンド2が開幕することになる。
「というわけで、今日はこれを着てもらいまーす」どこから取り出したのか、佑奈が両手に女物の服を抱えて勲に見せつける。前回よりちょっとどころかかなり短くなったスカートと胸が強調される感じの上着。
「大丈夫ですよ。今日はストッキング履いてもらいますから」新たな領域に突入するらしい。聞こえているのかいないのか、白目を剥いている勲が機械的にトーストを飲み込んでいた。
本日佑奈はお留守番。ユウナになった勲と真白で真白邸まで行くことになった。真白と二人沖波邸を後にし駅へと向かう。まだ二回目のはずだが既に慣れたもの、歩く姿もその形も非常に様になっている勲。親しい知り合いでもなければ佑奈ではないと見抜くことは困難であろう。
「町村君のままだったら、腕でも組んであげるんだけどね」隣の真白がからかいながらじゃれついてくる。
「やめてください、誤解されちゃいます」
「誰によ?」
「佑奈さん、とか…」
「いないからいいじゃーん」と、組まないと言っておきながら勲の腕に抱き着いてくる真白。
「やめてくださいって、もう」その大きな胸が腕に当たり照れる必要のない、と言うか照れてはいけない格好をしているのに照れてしまう勲。
「ダメだよ、そんなじゃ男ってばれちゃうかもしれないじゃん」
「あぁ、それもそうか。ってきっかけ作ったの誰ですか」落ち着いて腕を振りほどいてツッコミ返す。これが男女なら確実に周りにご迷惑をおかけするやり取りをしながら駅まで向かう二人。色んな意味でユウナになっていることが勲の身を守ってくれている。
電車を乗り継ぎ目的地まで。途中秋葉原で下車しかけた真白を制して目的地まで一直線。駅から歩いて10分弱、女性はあまり駅から遠くに部屋は借りないらしく佑奈と同じくらいの時間。佑奈のマンションほど豪華ではないが築年数もまだ浅そうな綺麗なアパート。
「ここですか」
「うん、3階だよ」
「玄関、オートロックはあるんですね。部屋の前までは来れないですね」辺りをきょろきょろ見回して、状況整理をする勲。
「うん。例の手紙も1階のポストに入ってたんだけどね」
「ふむ…。部屋行きましょうか」一通り目を通して真白に誘導をお願いする。
「ほいほい、こっちね」階段をヒョイヒョイ上がり部屋に向かう。短いスカートからチラチラ下着が見えそうになり、下から付いていく勲がまた顔を赤くしている。
3階に到着し部屋の前に案内される。『305』号室、ちょうど中央くらいに位置する部屋。廊下側には特に目隠しなどは無く、同じ高さかそれ以上の場所からであれば丸見えの状態である。
「ちょっと待ってね」真白が鍵をカバンから取り出し扉を開ける。
「どうぞー」扉が開き先に部屋に通される勲。後ろから入ってくる真白が電気を付け部屋の中があらわになる。
「佑奈の家みたいに大きくないからね。自分でバイトして出しているところもあるから」
「そうなんですか? それもそうか、埼玉からだったら通えますよね」
「うん、バイトして自分で少し出すならって約束で一人暮らししてる。バイトもしたかったしちょうどいいよ」
「その結果、ですか。大変ですね」自分からは言えないであろうことを敢えてこちらから切り出す勲。これも優しさか。
「さ、入ろう。撮られちゃった部屋はあっち」玄関で立ち止まったままだったので部屋の中へ進むよう促される。
キッチンを通り抜け部屋に入り電気を付ける。いたって普通の部屋。カーテンは閉め切られ外を望むことは出来ない。
「綺麗な部屋ですね」部屋を見まわす勲。
「この前掃除したからね、もっと汚かったよ。あ…」何かに気付き勲の隣を離れる真白。
「ん、どうしました?」向かった方へ目をやる勲。その先にはベッド。そしてその上には…、女性ものの下着。
「あ…」気づいたらしく目を逸らす。
「ごめんよごめんよ。見られちまったようで」急ぎ下着を拾い上げ後ろ手に隠す真白。柄にもなく?照れている。
「いえ、見てませんから、見てません。ピンクってこと以外は…」
「見てんじゃん」頬を膨らまし上目で勲を睨む。
「色だけです! 柄や形までは」説得力が無い。
「まぁいいよ。減るもんじゃないし。取り敢えず座りねぇ、うわっ!」叫び声とともに後ろに倒れていく真白。足元には先ほどベッドの上にあった下着のセットと思われる上の方があり、それを踏んずけてしまったらしく足を滑らせる。
「危ない!」腰に手を添えて倒れていく真白を支える勲。
「むぎゅう!」(真白の唸り声です)
「おふぅ!」
しかし既にもうベッドに倒れこむ寸前まで角度がいっており、結果勲も真白に抱き着くかのように二人で倒れ込む。
「ご、ごめんなさい」
「いや、こっちこそ。あ」
「ん? げ」気付くと真白のスカートは全力でめくり上がりストッキング越しの下着が丸見えになっている。
「ごめんなさい!!!!」言い訳無用。焦りに焦った勲は自分のスカートでもないのに真白のスカートの裾を持ち捲れを直す。しかしさすがにそれを制する真白。
「そ、それはそれで恥ずかしいな…」
「ご、ごめんなさい…」
「ねぇ」
「はい?」
「昨日の晩の続き、する?」ここでその提案ですか。見るもの見て二人っきりの状況。断る理由がどこにあるあ!!
「な、なに言ってるんですか!? そう言うことしに来たわけじゃないでしょうに」何とか冷静を保とうとする勲、体を起こし真白から離れようとする。が腕を引っ張られ今度は真白の胸に顔を押し付けられる状態になる。
「むぎゅう!」(これは勲です)
「割と冗談じゃないんだけどな…」腕で抱きかかえられ身動きが出来ない勲。「百合だぜ百合、ヒャッホー!」と周りが見れば思うだろうが。残念、片方は男の娘です。さてこの状況どう打開しますか…。




