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凍えた大地と温もりの在りか

詩 陽の光の下で

作者: 透坂雨音

 ミュージカルをイメージして書きました。



 世界と共に歩むことを私は望みます


 私は今この瞬間 世界を祝福します


 陽の光 体に浴びて


 この胸に満ち溢れる想い 何と名前を付けよう


 歌え歌え そして語りつくそう 心ふるわせるその物語を





 ――――その世界には雨が降らなかった。人々は、ただ陽の光を遮るだけの、その厚い雲の向こうを知らずに生きていた。


 ――――乾いた大地、緑の生えない土地。人々の心の泉は枯れ生てて。


 ――――人は何かに期待する事をやめてしまった。そうして長い時が経つ。


 ――――やがて人々の中に、太陽を知るものはいなくなった。





 運命というものがあるのなら 私たちはあえてそれに逆らってみせよう


 陽の光の代わりに 枯れ果てた草花には水を 凍えるあなたには手を繋いで温もりを分け与えよう


 大きなことはできなくても 繋がり確かめて 

 小さな 想いを 紡いでいく





 ――――知らぬことであれども。想像の世界には確かに存在していた。


 ――――書物の中の存在。神話の出来事。人々は忘れる事がなかった。


 ――――この世界を照らす太陽を。





 私たちは歩きます この陽の光を知らぬこの世界を

 私たちは歩みます この陽の光のない世界を


 「始めは一人で歩いていたけれど

 ほんの少しだけ この世界を照らす明かりが存在したの

 それは そっと心によりそって 温もりを分け与えてくれる

 ほんの少しの光が教えてくれた

 私たちは……、決して一人じゃないと」


 私たちは歩みます この陽の光のない世界を

 心の中 想いの灯火 かすかな光を頼りに


 「ねぇ皆 まずはこの世界を愛するところから始めてみよう?

 楽しいことばかりじゃないけれど 悲しいこともありふれているけれど

 今いる私たちを創り出してくれた世界だから

 まずはこの世界を 祝福しよう?」


 私たちは歩きます

 共に 共に この陽の光のない世界を





 ――――やがてその世界に温かい雨が降り注いだ。どこか遠くの空に浮かんでいた雲は、よりかかるように重たくその身を寄せて。


 ――――人々はその雨を受け入れ、感謝の言葉を表した。雨しみこむ大地、潤いに満ちる空気、種は芽吹き、緑は萌ゆる。


 ――――やがて人々の心には期待が芽生えた。他者への思いが、湧き満ちて育まれた。育つ樹木は、今は近くに存在する厚い雲を優しく抱きしめる。


 ――――孤独を癒された雲は天空への扉を開き、祝福がもたらされた。


 ――――なつかしき陽の光。魂が待ち望んだこの時。生ある命はみな、祝福に喜んだ。





 世界と共に歩むことを私は望みます


 私は今この瞬間も 世界を祝福します


 陽の光 体に浴びて


 この胸に満ち溢れる想い 何と名前を付けよう


 歌え歌え そして語りつくそう 心ふるわせるその物語を




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