世界で一番のあなたへ
ああ、神様は私に数々の試練を与えるの
だってそうじゃなければありえないもの。私のことが大好きで大好きで仕方ない彼が私ではない誰かと歩いているなんて
いつも彼はそう、でも彼は悪くないの。だって、彼の顔しか興味のない人が迫って来るのだもの。優しい彼は断るに断れないのよね。うんうん、やっぱり私が彼を一番理解しているわね
さて、彼のために私も人肌脱ぎましょう。彼が困ってるなら私が助けてあげないと。私と彼は運命の糸で結ばれているのだし
うんうん、きっと彼も「ありがとう」って言ってくれること間違い無しだよ
・・・だから、今日も家に帰るのは遅いかな
調べによると、あの女は彼と同じ学校で同じクラスらしい。ついでに部活も同じで帰り道も途中まで同じ。最近では半ば強引に彼に家まで遅らせているらしい。
なんて強引な女なんだろ。彼が困ってるのも露知らずにね。だから、私が直接でお話してみることにしました
「あのー、柊美希さんですかぁ」
「ええ、そうですけど。あなたは?
「私はぁ、こういう者ですぅ」
そういって私はバッグに入ってあった包丁で彼女の腹を刺しました。グサッて。グサッて刺したんだよ?
なんか女は苦しんでる。あー痛いのか。でも、私の心の方が痛んでるの。だって、私の大好きな彼を弄んでいるんだもの
「あ、あなた、何なのよ。」
女は精一杯の虚勢を張る。痛いのを我慢してますよって顔をしながら・・・少し笑えるんですけどププ
おっと、ここで笑ったら面目が立たないや
「私は彼の運命の相手ですぅ」
「彼?運命の人、何を言ってるのよあなた」
あれえ?この女、しらばっくれる気なのかなあ。
「彼は彼だよ、伊藤雄介くん。知らないはずないよね?」
「な、なに言ってるのよ、彼は私の彼氏よ」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は?」
なにこの女、頭の中宇宙なの、彼は私の運命の人よ?バカなの?カスなの?アホなの?なんなのよ。意味分からない、私を差し置いて彼の恋人名乗るなんてこの女。イラつくんだけど
「ねえねえ、柊さん、冗談とか言ったらダメだよ?この状況で痛み分からなくなってるみたいだけど、もうそれ以上意味のわからないこと話したら刺しちゃうよ?今度はめった刺しだよ?」
私は再びバッグから包丁を取り出す。これで両手に包丁。花じゃないのは残念だけど、私は女の子趣味じゃないし、彼さえいればいいし・・・話が脱線してしまったみたいね。この女がわけの分からないこと言ったせいですこーしだけよく気が動転しちゃったみたいね。反省
「彼が言ってたのって貴方なのね」
「え、なんていってた?やっぱり大好き?それともカワイイ?もしかして結婚したいとか?」
いやん、彼も隅に置けないなあ。私に隠れて私の自慢なんてしちゃって。恥ずかしがりやなんだからあ。でもでも面と向かって言われたら恥ずかしくて
「最近、周りの女の人が殺されてるって。それも包丁で何十箇所も刺されて、首が胴体から切り離されてるっていう話聞いてたけど、もしかして」
「・・・ああ、彼を誘惑するあの女共のこと」
「やっぱりあなただったのね」
「当然でしょ。私は彼を守る義務があるの。だから殺した。なにか問題でもあるの」
やっぱり、この女はイライラする。勘に触る。私が悪者みたいな扱いをしてくるし、女狐のくせに、女狐のくせに、女狐のくせに。やっぱり彼を守らなきゃ。私はすぐさま包丁を彼女に向けた
「なにやってるんだ!」
「え」
この声、もしかして、私の心臓は急に心拍数を上げた。ドクンドクンドクン。早いよぉ。でも何で来たの?もしかして私が心配で!?どうしよう顔赤くなってないかな
「美希、なんでお前怪我して」
カレハナゼカオンナノホウヘトカケヨッタ
why?why?why?why?why?why?
why?why?why?why?why?why?why?why?why?why?why?why?
ワタシハヨクワカラナクナッタ
「な、よ、わ「お前が美希をやったのか。何者だよお前」
「え、雄介この人知ってるんじゃないの」
「見たことねえよこんな奴。それより早く病院に」
「ねえ、雄介くん」
「誰だか知らねえけど、美希にこ、ん、な」
「いや、お前は雄介くんじゃない」
私の目の前に頭が転がる。血が噴水のように噴いている。
滑稽だ。私の好きな彼を真似た罰だ。私のことを雄介くんが知らないわけがない。私ではなくこんな女の心配をするはずがない。私に怒ったりなんてしない
「あ、あ、あ、雄介、ゆうすけええええええ」
女が叫んでいる。ああ馬鹿だなあ。こんなにうるさいと人が来ちゃうじゃない。仕方ない。殺そう
今日は最後に良いものが見れました。血でも虹がかかるようです。もしかしたら雄介くんに会う前兆かも
「明日も一日、がんばろおー」