ワシントン・アーヴィングのゴシック世界。「旅人物語」tales of a travellerをめぐる考察研究試論
ワシントン・アーヴィング(Washington Irving, 1783年4月3日 - 1859年11月28日)アメリカの小説家です。
ワシントン・アーヴィング、、といって、、
ああ、あの人、、とすぐ思い浮かべられるのは、相当の文学通?
アメリカ文学でも大学で勉強した人ぐらいでしょうね?
ふつう、
知らないでしょうね。アーヴィングなんて作家は。
確かに今となってはマイナー作家でしょう。
しかしその当時は結構有名で
アメリカ文学の開祖?的存在でしたがね。
多少アメリカ文学をかじった人なら
代表作
「スケッチブック」という短編小説集をご存知でしょう。
岩波文庫に邦訳が有ります。
ここには
「リップヴァンウインクル」とか
「スリーピーホロー」とか
有名なオハナシ(民話?)が収録されてますからね。
メルヘンというか、、ファンタジーですね。
アーヴィングはアメリカ短編小説の開祖?でもあるわけですね。
そういう意味でポオの先生筋?に当たる人です。
さらには
彼のおそらく代表作としては
「アルハンブラ物語」があります。
これも岩波文庫に翻訳があります。
これはですね。
アルハンブラ宮殿にまつわる
伝説、史実、逸話、紀行文、、等を
アーヴィングがまとめあげた随筆兼短編小説集です。
これは今読んでも結構面白いですよ。
で、、
ふつう、
アーヴィングに関しては以上ですべて終わりです。
ですが、、、
ここからが私の言いたいことです。
実は
というかアーヴィングの代表作は
ほかにあるのです。
というか
「スケッチブック」も
「アルハンブラ物語」も
私からしたら、、
どうでもいいものでしかないんですよ。
彼の本当の代表作。
それは
「tales of a traveller」(旅人の物語集)1824年なのです。
これはアーヴィングが、ドイツとパリに住んでいたころに書かれたもので
それらの地で仕入れた情報や聞き書きから着想された
短編小説集である。(一部エッセーもありますが)
したがって内容もパリとかイタリアなどを舞台にした伝奇とか奇譚とかが多い。
当時、英仏で、流行していたホフマンも読んでいたらしい。
大きいくくりでいえば
「ゴシックロマンス」なのである。
というわけで、、私の大好きなジャンルですから
これをアーヴィングの代表作と推薦するのも
お分かりですよね。
さてこの
「旅人の物語集」は4部構成になっています。
以下英字版のウイキペディアからの引用、と、私の翻訳文です。
パートI: 神経質な紳士による奇妙な物語
偉大なる不可思議
ハンティングディナー
私の叔父の冒険
おばさんの冒険
大胆な竜騎兵、、または祖父の冒険
ドイツの学生の冒険 (「ゴットフリードボルフガング」という邦題でこれは私が訳しました。)
謎の絵画の冒険
謎の異邦人の冒険
若いイタリア人の物語
パートII:バックソーンと彼の友人
文学的生活
文学的夕食
奇妙な仲間倶楽部
惨めな悪魔作家
悪評
実用主義哲学者
バックソーンまたは大いなる遺産の若い男性
失望男の墓の影
愚かな従者
放浪する支配人
パートIII: イタリアの盗賊
テラキアの宿
小さな古物商の冒険
遅すぎた旅行者
ポプキンスファミリーの冒険
画家の冒険
盗賊首領の物語
若い盗賊の物語
イギリス人の冒険
パートIV: お金を掘る人
地獄の門
海賊キッド
悪魔とトム·ウォーカー
ウオルフェルトウェバー、または黄金の夢
黒人漁師の冒険
この目次だけ見てもこの本の充実感がお分かりでしょう。
この題名、、タイトルだけでも
うーん、読んでみたい、、というような
読書意欲をそそるものばかりですよね。
でも、、残念ながら、、
これは全巻の日本語訳は、、ありません。
一部の邦訳が大学の英語科の紀要などに訳されている程度ですね。
ところが、、、原文はネット図書館ですべて読めるので
私がその一つ
「ドイツ学生の冒険」を「ゴットフリートボルフガング」という邦題で
訳してみました。
このサイトにありますからお読みください。
ああ誰かほかのも訳してくれませんかね?
私が全部訳すなんて到底無理なんでね。
この「ゴットフリートボルフガング」だけ読んでも、
このゴシック感?
というかすばらしいホラー小説?ですよね。
なんか
のちのエドガーアランポオを彷彿とさせるような、、、。
ああそれにしても誰かこの
「旅人物語」を全部訳してください。
まあ無理か?
じゃしょうがない、
ネットの原文を自分で私が和訳するしかないのでしょうね。
付記
この「旅人物語」は、、、
ホフマンの「夜景作品集」
ハウフの「盗賊の森の一夜」
ホーソンの「トワイストールドテイルズ」
スティーブンソンの「南海千夜一夜」「新アラビア夜話」などと
共通した味わいの枠物語風な奇譚系の最高の一編である短編集ですね。