8
目の前には、麗しの桜庭京がいた。
近くで見たことないなかったが、本当に美しいな、睫毛ながいし、肌もきめ細かい。
近くで見ても美人だ。
けど、なぜまだここに?
「委員長?」
こてんっと、首を傾げる姿はそこらへんの女子よりも可愛く見えてしまう。
the桜庭マジック!!
「あっ、ごめん。ちょっと驚いてた。なんで、まだいるの?」
「忘れ物して」
どうやら、今日委員の子に頼んだ本の紹介の本を忘れたらしい。
彼が選んだ本は、だれもが知る有名な童話を集めた童話集らしい。
なかなかのちょいすだ。
それにしても…………。
「懐かしいなぁ。」
「えっ?」
「その本。昔男の子に読んで聞かせたんだ。」
「男の子に?」
「名前は、わからないんだけど。偶然公園でであって仲良くなったんだけど…いつの間にかその子、公園に来なくなっちゃって。それきりだけど。」
「………………覚えてくれてたんだ。」
「えっ?」
ふわっと香るシトラスの香りが私を包み込む。
人間の体温って、こんなに気持ちいいものなんだ…
と、半ば現実逃避をしていた。
が、ふと我にかえる。
ワタシ。サクラバクンノ、ウデノ、ナカニイルノ?
「嬉しい。俺もずっと、覚えてたんだ。」
「えっ、もしかして………。あの公園で読んで聞かせした子なの?桜庭くん。」
「そうだよ。ずっと。ずっと。覚えてた。」
「えっ、あうん。」
ギュッと強まる腕の力。彼がどんなに美しい人だと思っていても、やっぱり男の人だと思ってしまった。
「あの。どいてくれる?」
「………………」
そっと、彼はを離してくれたが、その顔は何処か不満を表していた。
私もさっきまでの暖かさを寂しくおもっていた。
…………が。
「なんで、抱きしめたの?」
いくらなんでも、懐かしいからといって抱きつく奴はいないだろ。
それとも、美形どもはそういうことが普通なのか?
「だって…………。嬉しくて…………。覚えてくれたこと。嬉しくて。ずっと、ずっと、好きだったから。」
「…………………はい?」
今なんといった。
桜庭くん。
「ずっと、好きだったから。」
嘘だよね?
桜庭くん。