6
人って知りたくないことを知ってしまったら、どうなるんだろう。
慌てふためくのだろうか。
泣き叫ぶのだろうか。
なかったことにするのだろうか。
私は、受け流す。
「………へぇ、そっか。いないよ。桜庭は。」
「あっ…………そうですか。あの、大丈夫ですか?委員長。」
「何が?」
「………………………イイエ、ナンデモアリマセン。」
ここ数年で、空気を読めるようになったね。
と、心で褒めるが今は出来ない。
どうしてくれようか、桜庭。
私は、今頭の中でそれしか考えられない。
きっと、彼のことだ。もう一人の委員に色じかけしたに違いない。
なにが目的で、何をするつもりでやってくるかわからないが。
目にもの、みせてやる。
「……………ふっ、っっふははははははははははははははははははは。」
「委員長が壊れた。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー数分後
「これから第一回図書委員会をはじめます。お手元にあるプリントを見てください。今年行う予定が書かれております。確認をしてください。」
委員の人が一斉にプリントをみる。
皆、私の知っている人。前回から引き続き委員をしてくれてありがたい。
まぁ、私がそうしたのだが。
だが、ある箇所だけ。本当にある箇所だけ、光耀く
キラキラ、キラキラ耀く人間が後ろに座っている。
プリントを見る様も、ひとつの絵画のよう。
人間か?本当に。
「なぁ、これ。まじか?委員長。」
「あぁ、まじだ。むっつりスケベ。」
「えぇ、嘘ぉー。俺様、嫌だよ。こんなに仕事多いなんて俺様いやん。」
「キモいんだよ。むっつりスケベ。あと、むっつりスケベの事を否定しないのか、お前は。」
「男は、みーーんなむっつりスケベよぉ」
「はぁ」
こいつはむっつりスケベならぬ、いやむっつりスケベなんだが。名前は羽柴 渉。
小学校からの腐れ縁。見た目はオレンジみたいな、明るい茶色。耳には沢山のピアス。黒縁のメガネ。
theチャラ男。
そして、見た目もチャラ男なら中身もチャラ男。
そんなやつでも、こいつは使える。
この委員の中で一番のコミュニケーションをもち、見た目もチャラ男だが、イケメンである。
その為、呼び込み要員として重宝している。
「で、アイツなんなの?」
「………………知らん。」
「大丈夫なの?」
「………………はぁ。」
そんなのわからないよ。
この時、わたし達の方をじっと見ていた人がいた。