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あるうららかな春。
高校三年になりました。
卒業に向けて学園生活を楽しみましょう。
と、冒頭に書かれそうな一節を思い浮かべた。
私齋藤優希は今日をもって高校三年生になりました
教室は去年と同じ持ち上がり。
顔は皆知っているはずなのに、どこか去年とは変わっている。
クラスの中でも1、2の可愛い系女子早乙女さんは、去年より化粧が濃くなっていて、
お調子者の池田くんは、休み中彼女が出来たようで物凄くテンションが高い。
去年いつも一緒に行動してた、五十嵐さんと渡辺さんが朝から一言も会話をしない。
変わっているな、と思い周りを見渡せば一人一人ちゃんと変わっている。
人間たった何日かでここまで変わるとは、人間の不思議である。
そんな中、私は去年となんにも変わっていない。
一人だけぽつんと穴ができたようだ。
別だん、困っていない…。
少しだけ疎外感を感じるだけ。
私はいつもののように、去年と同じで本を静かに読み始めた。
「おはよー。ゆんゆん!」
無視だ。無視。
しょっぱなから、シリアス展開を披露してるのに、空気を壊すような人間を知らない!!。
無視。
「無視は、良くないよー。ゆんゆん!!」
「……………………………」
「ゆんゆんー!!無・視☆なのー?ねぇーー、おーい!!ゆんゆん?…………おい、聞こえてんだろ、返事しろや」
「おはよう、齋藤さん!!」
私は自分の命ため、明るく振舞った。
この私に声をかけてきた人は、齋藤真由美さん。
見た目はごっついギャル。
茶色の髪に、バサバサのまつげ。
目の下に黒子があって、流し目をされたら、その色気にI・HI・KO・RO☆の美人女子
なぜか、席が前後というだけで、高校一年生の時からのお友達。
絶対に住む世界が違う私達だが、案外息もあい今に当たる。
(多分私と友達なのは、本人のギャプのせいだろ。見た目はお色気担当の美人女子だが、中身はただのヤ○ザだ)
「今年も、よろしくね☆」
「ハイ…ヨロクシクです」