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天使は、目を輝かせながら私の話を聞いてくれた。
初めての体験。私は楽しかった。
いつまで、話していたのだろう。
何度も、何度も、繰り返し読み聞かせを繰り返した。
へたくそな、読み聞かせ。
それでも、天使は楽しそう私の話を聞いてくれた。
結局、母が戻っても読み聞かせは続き私が帰るまで続いた。
そのあと、私は天使の関係は続いた。
きらきら笑うこの天使に会いたくて、聞いてもらいたくて。
だけど、その時間はすぐに終わってしまった。
いつものように公園で待っていた。いつ来るのだろうと胸を躍らせながら。
けど。いつもの時間になっても天使は現れなかった。
5分、10分。公園の大きな時計が時を刻む。
結局、天使はその日公園にこなっかった。
次の日も、その次の日も・・・・。
私は、それから公園に行くのをやめた。
「ねぇ、その子のお名前はなんていうの?」
ある日、母が私に天使のことを聞いてきた。
たぶん、公園に行かなくなったことが原因だろう。
母はきっと公園に行かなくなったのは、天使になにかされたと思って聞いたことだろうが、私はその質問に答えられなかった。
だって、天使の名前など知らなかった。
天使との時間はたくさんあったのに、このときはじめて天使のことを何も知らないことがわかった。
あれから、長い時間が過ぎた。
天使と出会うことができたきっかけの本も薄汚れ、いつの間にか母に捨てられていた。




