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天使はこちらを見ているだけ、近寄ったり、話しかけたりはしなかった。
ただ、私を見ている。
それは、まるで手負いの獣。
私はこの美しい天使に見られるのは、どうしようもなくいやだった。
すぐにその場を離れたかった。
美しい天使に見られている私は、さぞ醜かったに違いな。
けど、母はここで待っていろと言われた。
この場から離れることもできない。
私は、この時速く母親が来るのを待っていた。
「ねぇ。」
鈴の音のような、可愛らしい声が聞こえた。
「ねぇ。」
どうやら、天使は声までも美しいらしい。
「ねぇ。それ、読んで。」
「えっ?」
私を見ていたと思っていたが、私が持っていた本が気になっていたらしい。
たしがに、公園にもってくるものではない。
母にも言われた。なぜ、持ってきたの?と。
まさか、こんなことになるとは。
このままじっと、見られているのはいやだし。
私はその天使の男の子に本を読み聞かせした。




