1.転生したらピンク村
閲覧いただきありがとうございます。ピンク髪シリーズの第三弾、ほのぼの商売繁盛ラブコメです。
シリーズは連作短編形式なので、どこから読んでも大丈夫。
今回は全3話になっています。毎日21時に更新します。ハッピーエンド保証。
「ッッッシャア!! 乙女ゲー転生じゃん!」
目覚めた瞬間、わたしは異世界転生してた。
教会に併設された孤児院の女子部屋。相部屋の子から「クレアうるさい!」と怒られて、わたしはベッドの中でガッツポーズした。
孤児院転生。
毛布の中に見える髪の毛はピンク色で、くるくるのふわふわ。
これはもう、夢にまで見た乙女ゲー転生ではないですか!!
……なんて妄想は、一瞬で打ち砕かれた。
なぜなら、相部屋の友達もピンク髪。
神父様もシスターもピンク髪。
裏のおばあちゃんもピンク髪。
パン屋のおっちゃんもピンク髪。
猫のミケも牧場の牛馬もピンク髪……毛? とにかくピンク!
わたしが転生したのは、ピンク髪がデフォの世界だった!!
まあね~、前世でもモブ歴=年齢だったしね。そんなうまい話があるわけないよね……。
しかもわたしときたら、勉強も普通。魔力も普通。
なんなら魔力は裏のおばあちゃんの方が高いぐらいだ。
己の分際を悟ったわたしはヒロイン妄想を早々に封印し、普通の暮らしに埋没していった。
そんなわけでやってきました、王☆都!
やっぱモブだって、うら若き女の子だもん。一生に一度ぐらいは都会で暮らしてみたい。猛勉強の末、どうにかこうにか特待生枠に潜り込んだわたしは、すっかり浮かれていた。
勉強も魔法も得意じゃないけど、いっしょうけんめい頑張ってよかった。
お友達とウィンドウショッピングをしたり、帰り道に買い食いしたり。
めいっぱい学園生活楽しむぞ!
と、勢い込んで馬車を降りたわたしの目に飛び込んできたのは。
「王都、ピンク髪いないってよ問題!」
煉瓦造りの街並を歩くのは、目に優しいシックな色合いをした人々ばかり。
ピンク髪がいないと景観がやけにオシャレに見える。どうやら、ピンク髪は民族的特徴? だったみたい。
道行く人が心なしかわたしをチラチラ見てくる。わたしはなんだかちょっと恥ずかしくなってきた。
やばっ、学校でピンク髪の田舎者だってバカにされないかな?!
……だめだった。
入学早々盛大にやらかして、わたしは遠巻きにされていた。
面白がってちょっかいかけてくる人は何人かいるけど、一緒にウィンドウショッピングしてくれるような感じじゃない。
わたしはため息をつきながら、食堂の隅でポツンとたそがれていた。
ぎゅ……パァッ…コロン
ぎゅ……パァッ…コロン
「お前が田舎から来た特待生のピンク髪か」
目の前になんだかキラキラした人が立ちはだかった。
なんかまためんどくさそうなの来たよ。わたしは見えない角度で思い切りしかめ面をしてから、へらりと笑いかけた。
浅黒い肌に金色の瞳の男子生徒。あきらかに尊大で高貴そうな感じだ。
「実習室を大破させたというのは本当か」
「あはは……魔力コントロール、昔から苦手で」
ぎゅ……パァッ…コロン
「魔力計が天元突破して破裂したというのは?」
「たぶんもともと故障してたんだと思います。わたし別に魔力多くないし。村でも中の下だったし」
ぎゅ……パァッ…コロン
「さっきからコロンコロン五月蠅いな! いったい何しているんだ」
「あはは……内職ですぅ。魔石の充填。学校の備品壊したから弁償しなくちゃいけなくて、先生が紹介してくれました」
「魔石の充填? この数を?! 魔力切れでぶっ倒れるぞ」
尊大なイケメンの人が魔石の箱を覗き込んでいる。
「これ魔力はそんな使わないんで大丈夫ですけど、わたし不器用だから一個ずつしか魔力充填できなくて……。まとめてできればいいんですけどね。村のね、羊飼いのペーターがそういうの得意なんですよ」
ふぅ。それでもさすがにちょっと疲れた。ため息をついてから次の石を手に取る。
「でもこれ、1個充填すると3ゴールドもらえるんです。先は長いけど、がんばらなきゃ」
ぎゅ……
「たった3ゴールドぽっちだと? このサイズで?! ちょ、おま、待て!!」
手に持った魔石を取り上げられた。矯めつ眇めつ魔石を見ながら、出来栄えを確認している。
「ほう……これを3ゴールド。王子が3人も在籍しているこの学園で、教師が無知な平民を搾取とはな……。これは目にもの見せてやらねばなるまい」
イケメンは金色の瞳をギラギラさせて悪党面で笑っている。わたしはゴクリと唾をのんだ。
「おまえ、もうこの内職やめろ。この第三王子アスラン様に任せれば10倍……いや、100倍で売ってやる」
尊大イケメンは王子様だったらしい。
ド田舎ピンク村から都会デビューしたわたしを面白がって、話しかけてくる人は何人かいたけれど。
「ハハハ、お前いいな! 金のにおいがする!!」
魔石を握りしめて高笑いする王子様の背中を見つめながら、わたしは一番厄介なのに捕まったような気がしていた。
読んでいただいてありがとうございました!!
続きは明日21時に更新します!
初めての連載予約設定、ちゃんとできてるかなぁ……。




