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第23章 試合当日の朝


ジリリリッ、ガチャ!


「もう朝か」


今日は運命の試合当日だ。


試合の結果によっては女子野球部は永遠に失われることになる


目覚ましを止めて伸びをしてベッドから起き上がる


軽く体操をして身体を整える


「ふー」


ガチャッ


部屋を出てリビングに入るとコーヒーと焼けたパンやハムエッグの香ばしい香りによって目が冴えてくる


「あら、雄くん!おはよ」


キッチンにいた姉から声をかけられる


「おはよう、凛姉…あ!」


姉貴は突然の凛姉呼びに目を丸くするがすぐにからかうような笑顔に変わる


「りんねえ…ね」


「なんだよ、わりぃかよ」


「んーん、嬉しいわよ。はい、コーヒーとごはんね」


「ちっ、いただきます」


「んふふ、召し上がれ!」



皿には焼きたてのパンと、湯気を立てるハムエッグ。

パンをちぎると、指先にまだ温もりが残っていて、ほのかな小麦の香りが鼻をくすぐる。ひと口かじれば、表面はさくりと歯に応え、内側は驚くほどやわらかい。


黄身を半熟に仕上げたハムエッグは、ナイフを入れると金色の雫をとろりとこぼした。

その濃さを塩気のあるハムが受け止め、パンに絡めて口に運べば、自然とため息が漏れる。


「さすが、姉貴が作るのは美味いな」


「ふふ、ありがと。今日、千楓ちゃんたちは大丈夫かしらね」


「さあな、なんとかしてんじゃね」


「冷たいわね〜、そろそろあたしは出るけど、大丈夫?」


「あれ?今日は店は臨時休業だって…」


「大人にはやることがあるの!」


「あーそ、特に問題はねえよ。いってらっしゃい」


「冷たーい」


抗議する姉貴を他所に、俺はコーヒーを啜りながらDVDを再生した。


特に理由はない。ただ…試合当日の朝は何かを見ていないと落ち着かないのだ。


画面に目を凝らしながら、ゆっくりと息を吐く。


――試合当日の朝ってのは、いつでも同じだな。


ーーー同時刻、千楓の家にて


昨夜は雄平くんと別れた後、ご飯を食べ直して

お風呂に入りベッドに潜り込むと走って疲れたのかすぐに寝れた


午前2時ごろ、一度トイレに起きてもう一度寝ようとすると寝れなくなってしまい、結局朝までゴロゴロしてるハメになった


それなのに不思議だが、寝足りない感じが全くない。


家族が起きるのを待っていられず、自分でご飯を作って食べた。


身支度を済ませてあとから起きてきたお母さんに「おはよう」と言って外に出る

試合は午後からなのでもっとゆっくりしててもいいんだけどね


眠れぬ夜を越えたはずなのに、頭は冴え渡っていた。

胸の奥で火花が散って、鼓動が一つ一つ大きくなる。

今なら風さえ追い越せる――そんな錯覚に包まれていた。


コンディションは間違いなく悪くない、むしろ最高潮だ


朝の光に照らされた通学路を、試合用のバッグを肩にかけて歩く。

涼しい風が頬を撫で、胸の奥で高鳴る鼓動だけが今日を特別にしていた。 


練習場の入り口の門の前にいると鍵がないことに気づく、またやっちゃったよ


駐車場のほうを見てもせんせーの車はない


当たり前だ、集合時間の何時間前だろうか


……どうしたものか


悩んでいると後ろから声が聞こえる


「ち〜あ〜き〜」


「え?」


驚いて後ろを見ると野球部キャプテン様の怖い顔があった


「梓!おはよー、早いねー」


「おはよう。キミよりは遅いよ、ほら門を開けるのを手伝ってくれ」


そう言いながら鍵を開けてくれた


相変わらず重たい門を2人で開けて中に入る


「もしかして梓も朝起きちゃった感じ?」


「私はキミがどうせ、早く来るだろうと思って早く寝て早く起きただけだ。そのために鍵も借りておいたんだ」


「あはは、なるほどね」


2人で更衣室で着替え終えると梓がキャッチャーミットを持ちながら


「ほら、少し投げたいんだろ?付き合うから」


「さっすが〜愛してる〜」


ゴンッ


「痛っ!」


ボールを掴んだ手で殴ったよ…この人


ガチャッ


「「おはようございまーす」」


「あれ?リオン!茅夜!早いねー」


「キミが言うな、キミたちまで…集合時間はまだ先だぞ。」


「申し訳ありません、先輩。居ても立ってもいられず…」


「アタシもすみません、家に居ても落ち着かなくて…」


梓は少しため息をついてから


「それに関しては私は何もいえないから、あれだが、ほどほどにな」


梓がそう言うと門の方から声が聞こえてくる


「あっれー!?門が開いてるじゃーん」


「もう誰かいるのかな」


ざわざわとみんなが集まってきたみたいだ


「ふぅ、全くみんな揃ってしょうがないな」


結局、14人全員集まり完全な全体練習になり、全員のモチベーションがかなり上がったようにみえる


全員2段階くらいやる気が上がった


あとから来た夏海せんせーにガミガミ怒られた


全員1段階やる気が下がった


夏海せんせーが他の部活から借りてきたバスに乗って市民球場まで向かう


球場に着くとちょうど今日の相手チームレッドアイアンズも着いていたようだ


その中の1人、真っ黒に焼けた肌に赤色のキャップをかぶった中年男性がこちらに来た


「いやいや!!今日はよろしくお願いします!!」


夏海せんせーばりに大きい声で威圧するように挨拶をしてきた


「あ、芦屋社長。こ、こちらこそよろしくお願いします。」


あの夏海せんせーが押されてる!?


相手は理事だし、当たり前か


「はっはっはっは!先生、そんな固くならずに!野球部最後の思い出作りましょう!」


ほほう、これは先制攻撃かな


夏海せんせーも様子が変わり、臨戦態勢に入る


「ありがとうございます。社長、葛城学園女子野球部の初勝利を本日は飾らせていただきます」


なんの淀みもなく、相手の監督を睨んでいく


「ふふ、そうかい。まあ頑張って見たまえ!」


芦屋社長は不適な笑みを浮かべながら戻る


「梓…あたしやる気また出てきたかも」


「奇遇だな、千楓。私もだ」


「よぉし!じゃあ更衣室で着替えるぞー、梓は着替えたら向こうのキャプテン、審判団と最後の確認と先攻、後攻決めるぞ」


「「「はーい」」」


全員が着替え終わって梓はバックネット裏へそれ以外はそのまま一塁側のベンチに入る


道具の確認をしていると梓がベンチに入ってきた



「どっちだった?」


「後攻だ」


「オッケー!あたしのピッチングを先に見せつけてやるね」


「うむ、みんな集まってくれ!!ルールの確認とスタメンを発表する!」


「ルールは七回制だ。DHあり、大谷ルールも適用。十点差でコールド。八回から延長(タイブレークありノーアウト一二塁から)、決着がつくまで続行だ」


梓が読み上げるたびに、みんなの顔が引き締まっていく。


「あれ?7回なんだ」


「向こうから早めに終わらせたいから7回にしようと提案があってな」


「舐められてるね」


「それに向こうのスタメンだ」


縦長のペラペラのメンバー表を見せてきた


「ん?これが?」


「事前に色々調べてはいたんだが、相手の先発投手は控えだ。」


「本当に舐められてるね」


「ああ、まあそちらのほうがこちらとしては都合が良いのだが…」


「あまり良い気はしないね」


「そうだろう?」


「てってー的にやってやろうじゃん!」


ガッ!


2人で拳を合わせる


「あたしたちのメンバー表は?」


「先生が持ってたが、間違って捨てたみたいなんだ。」


「ええ!!」


「我々のは今、発表したし、控えもなんとなくわかるだろ」


梓がバックスクリーンに指をさす


「1番はセンターの茅夜なんだね」


「ああ、一年生だが茅夜ならやってくれるだろう」


「はい!任せてください!」


「そんであたしが3番投手で梓が4番捕手ね」


「不満か?」


「いや、今は納得するよ」


「今は…か」


2人で睨み合いながら笑う


「リオンは控えなんだね」


「いつでも行けるように準備をしてもらおうとな、7回制になったしキミのスタミナよりアクシデントが怖くてな」


「なるほどね」


「千楓先輩、いつでもわたしが投げますわ」


「うん、ありがとう。」


「おっと、そろそろ時間だ。みんな囲ってくれ、円陣だ」


梓が中心にくるように輪になる


ちょっと照れ臭いのか、ざわざわしながら集まる


「ここで負けたら、あたしたちの部は終わりだ」

梓の声に、誰もが黙った。


「でも――怖いのは、もう十分味わった。だったら最後くらい、胸張ってやろう」

その言葉に、全員がうなずく。


「勝って、未来を掴む!」


円陣の真ん中に拳が重なり合い、今まで以上の熱を帯びた声が空に突き抜けた。


審判が号令する


「整列!!」


「「「おおおーーー!!!」」」


あたしたちはダイヤモンドに並んで駆けた

ようやく試合まで来れました!!


ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

初挑戦の作品で至らない点もあると思いますが、感想や☆評価をいただけると本当に励みになります。


毎日17更新です

引き続き読んでいただけると嬉しいです!

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