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第20章 理事長の妹?



千楓とキャッチボールをした次の日の放課後、俺は学校から帰らずに、ある人と会うために校舎の中を歩いていた。


(たぶん、こっちだった気がするんだが…)


転校してからずっと校舎はなるべく歩くようにはしているが全部は確認出来てないので、あまり関わり合いのない場所はうろ覚えだった



ちょっとイライラしてくる


「なんでわかりにくいところにあるんだよ」


「キャッ!」


独り言を呟くと後ろから声がした


「え?」


1人だと思ったら後ろに人がいたらしく、驚かせてしまったらしい


胸のバッジを見るに一年生の女子みたいだ


見た目はお淑やかな女の子でザ・お嬢様という印象だった


どっかで見たような…?


「すまん。少しイライラしてて」


「……」

謝罪をするが相手は固まったままだった


そんなドン引きしなくも…と思っていたら

彼女がたくさんの荷物を持っていることに気づく


(あ、なるほどな)


「気づかなくて悪かった」


彼女が持っている荷物を一部受け取る


「へ?」


「これどこまで運ぶんだ?ついでに手伝うよ」


大荷物で持ってて驚かせてたからバランスを崩して耐えてたのだろう、お詫びも兼ねて荷物運びを手伝うことにした


「あ…えと、そしたらこの先の"理事長室"までお願いします」


やっと、喋った


「わかった、ていうか丁度いいな」


「丁度いいとは?」


「理事長に用事があって約束してたのに、迷っててよ。転校したばかりだとほんと不便だな」


「そうだったのですね、それでしたらご案内致します。」


「ありがとう、助かります」


「いえ、こちらこそ、ありがとうございます藤堂先輩」


「ん?俺、名乗ったっけ?」


「あ!え、いや、あの…」


「まあ、いいか。行こうぜ」


「は、はい」


2人並んで歩き始める


「そういえば、キミはどこかで見たことあると思ってたら野球部の人か」


「ご存知だったのですか?!」


「俺ワケあって、体育科だけど部活に入ってなくてさ、帰り道が野球部の練習場を通るからよく見てたんだ」


「そ、そうだったのですね」


なんか少し彼女の声が裏返ったような気がする


「部活中とは髪型が違うから一瞬わからなかったんだけどさ、キミ、よくバッピやってるよね?」


「バッピ?」


「あ、バッティングピッチャーね」


「そうですね。投球練習がてらやらせてもらっています」


「相当コントロールいいよね」


「そ、そうでしょうか?」


「得意なコース、苦手なコースを見極めて気持ちよく打たせたり練習させたりしてるでしょ?」


「流石ですね、藤堂先輩」


「え?」


なんか少し…雰囲気変わった?


「部員でも3人しか気づいていないのに…」


「キミは…一体?」


ガチャッ


「あら…リオン、運んできてくれたのね。部活もあるのにありがとう」


「いいえ、姉様。これくらいは問題ありません」


「姉様?!」


「失礼しました藤堂先輩。申し遅れました、私はこの学園の理事長天城レオーヌの妹、葛城学園高等学校野球部一年、天城リオンと申します。」


……まじかよ。



ーーー


理事長室に入り、談話スペースのソファに理事長と向かい合う


リオンも入ってきたのかと思うと慣れた手つきでお茶を用意する


この学園はお茶を用意することが多くないか?


「さ、どうぞ、お召し上がりください。藤堂先輩」


「お、おう、ありがとう」


まだ理事長のとこに置いてないのに俺の方に置かれたティーカップ…少し理事長の眉が動いた気がする。


気まずいなぁ〜


相変わらず良い香りのする紅茶だ


「お待たせしました、姉様。」


「ありがとう、リオン」


理事長のとこにも置かれてようやく気まずさから逃れた。


お茶を淹れ終わったリオンはお盆を抱えて理事長の隣に立っている…座らないのかよ


「リオン」


「はい、姉様」


「あなたはもう練習に向かいなさい、もうあとはやっておくから」


「…でも、姉様」


「リオン、あなたのほうを優先しなさい」


「わかりました、それでは失礼します。藤堂先輩、姉様」


少し残念そうにうなだれながら扉向かう


ガチャッ、パタン


「仲良いんですね。すごい名残惜しそうでしたけど」


「あなた…唐変木ね」


「へ?」


「いいわ、話をしましょう」


「理事長、今日はお時間いただきありがとうございます。」


「いいのよ、本来この話はわたくしのほうから依頼したことなのだから…決心してくれたのね」


「おかげさまで覚悟は決まりました」


「分かったわ、ではわたくしたちも全面協力致しましょう」


「ありがとうございます、それで早速なんですが」


俺は話を続けた、いくつか要求をしたが全てにYESと答えていく


「分かったわ、手配しましょう。」


「あと、もう一つですが、彼女たちには言わないでください。」


「あら、言わなくてよろしいの?」


「今回のことは俺は部外者ですし、彼女たちから求められない限りは…関わらないほうが良いと思って」


「わかったわ、そのように致しましょう」


「ありがとうございます、では、よろしくお願いします。」


「こちらこそ」


おおかたの話が終わり一息ついでにお茶を啜る


「妹さんも紅茶を淹れるのお上手なんですね」


「そうね、もしかしたらわたくしよりも上手かもしれないわ」


「こういうのってどうやって身につけるんですか?」


「わたくしが紅茶に興味を持って飲み始めた頃に祖母がさまざまなお茶の淹れ方を教えてくださったの」


「へー、お祖母様が」


「リオンはその真似をしたってところかしら」


「理事長の真似を?」


「あの子は昔からわたくしの真似をしようとする癖があったから」


「可愛い妹さんですね」


「…そうね」


否定しないんだな…


「ともうこんな時間か、今日はありがとうございました。明日からよろしくお願いします」


そう言って出て行こうとすると


「藤堂くんあなたサインは書いたことあるのかしら?」


「宅配便になら何回か…」


「そういう意味ではなく、ファンとかに色紙とかで…」


「ないですね、芸能人ではないので」


「ならここで一枚描いてみましょう」


「どゆこと?」


「いいから、ここに…」


「なんで色紙とマジック持ってるんすか」


キュキュッ


家にあるプロ野球選手のを参考に見様見真似で自分の名前を描く


「描きましたけど」


「それだけでは不十分ね」


「え、そうですか?」


「だいたいのサインは…例えば、この辺に〇〇さんへと描いてるでしょ?」


色紙の左下を指しながら指摘する理事長


「まあだいたいそうすよね」


「描いて」


「へ?」


「宛名はそうね、リオンにしておきましょう」


「なぜ、妹さん?!」


言われるがまま、[リオンさんへ]と描いて渡す


「ふむ、良いんじゃないかしら?」


「ありがとうございます」


「この色紙…わたくしが貰ってもよろしいかしら?」


「い、いいんじゃないすか?」


「ありがとう、では気をつけて帰りなさい」


「はい失礼します」


ガチャッ、バタン


誰もいなくなった理事長室でレオーヌは貰った雄平のサイン色紙を見ながら呟く


「あの子、喜んでくれるかしらね」


レオーヌが1人微笑んでいると電話が鳴る


「はい、天城です。ではこちらに繋いで」


「芦屋社長、どのようなご用件でしょうか?」


「…わかりました、明日の放課後にお時間をいただければ」


「はい、はい、では失礼致しますわ」


ガチャ


レオーヌは色紙を見やり、小さく目を細めた。

紅茶の香りに混じって、緊張だけが漂っていた。


ーーー


ガチャッ、バタン。


静まり返った廊下を歩きながら、俺はさっきのやりとりを思い返していた。


――理事長の妹が、あの一年生だったなんてな。

しかも、あんな真剣な目で野球に向き合っている。

……この学園は、まだ俺の知らない顔をいくつ隠しているんだろう。


紅茶の香りと共に渡されたサイン色紙の感触が、妙に指先に残っている。

俺がまた「誰かに求められる存在」になるなんて、正直想像もしていなかった。



……でも。

まだだ。まだマウンドに立つとは決めていない。

俺は“部外者”だ。そう思い込もうとしても――胸の奥では、確かにあの白球の感触が、再び疼き始めていた。

昨日ついに一日100PVを超えました!

読んでくださっている皆さま、本当にありがとうございます!

これからも毎日更新していきますので、ぜひ応援いただけると嬉しいです


ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

初挑戦の作品で至らない点もあると思いますが、感想や☆評価をいただけると本当に励みになります。



引き続き読んでいただけると嬉しいです!

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