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第14章 見てしまった千楓



「はい梓、生徒会室は閉めてきたよ。

これで荷物は全部?」


「ああ、ありがとう千楓」


「じゃあ、別当さんいこうか」


「そ、そうだな、藤堂くん」


「珠子先生、2人を送ってきます。千楓は自分で戻れるな」


「わかったわ」


「はい、大丈夫です」


ガララ、ピシャ


「これで少しは仲直りしてくれるといいんだけどね」


「珠子先生、気づいてたんですか?」


「ふふ、保健室はね、秘密が集まる場所なのよ。顔を見ればだいたいわかるわ」


「……あたしも、ですか?」


「もちろん。千楓ちゃんも隠してることがある顔をしてる」


「うっ……」


先生は引き出しを開けて、湯呑みを二つ出してきた。

ポットからお茶を注ぐと、ふわりと湯気が漂う。

机の隅に置かれたお菓子袋から、包み紙に入った飴玉を二つ、ころんと転がす。


「はい、お茶と非常食。これも立派な保健室の備品よ」


「先生、それ絶対おやつ用に買ってますよね」


「ばれた?」

珠子せんせーは肩をすくめて笑う。


温かい湯呑みを両手で包んだ瞬間、あたしはようやく肩の力が抜けていくのを感じた。


「話したくないことは無理には話さなくていいわ

漠然と悩んでいると言うだけでも人は頭が整理されるものだしね。ズズ…」


お茶を啜りながら珠子せんせーは諭してくれた


「実は…」


ーーー


珠子せんせーとのお茶会の30分前…


あたしは生徒会室に梓の荷物を取りに来ていた


ガチャッ


「失礼しまーす……」


人気のない生徒会室は、静かすぎて少し怖い。

おどけてみせた声も、空気に吸い込まれていく。


──あ、梓のカバン。


荷物を抱えた瞬間、耳に飛び込んできた。


《……夏の甲子園決勝の舞台に立つ

橘川咲春高校一年─藤堂雄平!》


「……え?」


振り返ると、つけっぱなしのテレビ。

画面には、マウンドに立つあの人の姿。


(雄平くん……?)


思わず手を止めた。

豪快なフォーム、唸る剛球。実況の声が遠く聞こえる。

胸の奥を震わせるのは、歓声ではなく──その姿の美しさだった。


「……綺麗だ」


気づけば、独り言が漏れていた。


その時、紙の束の下から一枚の資料が覗く。


[藤堂雄平]


写真と文字が、彼だと告げている。


「ほんとうに……」


震える指で掴んだその瞬間──


「千楓ー? まだかー?」


雄平くんの声がした、彼も自分のカバンを取りに来ていて待ち合わせをしていた


「ッ……!」


慌ててテレビを消し、資料を閉じる。

でも、目に入ってしまった。知ってしまった。

雄平くんの“秘密”を。


「う、うん!もう少しかかりそうだから

先に行っててくれる?」


「あいよー」


「ホッ…心配して来てくれたのか」


そして机の端に置かれたDVDケースに気づく。

タイトルはシンプルに、[藤堂雄平]。


(……見たい。もっと知りたい)


葛藤の末、手が勝手に動いた。

胸に押し当て、部屋を飛び出す。


──罪悪感よりも強く、胸を満たしたのは「彼を知りたい」という衝動だった。


「おっと鍵閉めなきゃ」


ーーー


「ということがあって…」


「ふーん、千楓ちゃんは気になる男の子のことがもっと知りたいとおもったのね」


「ええ、まあそんなとこです」


顔を熱くしながらあたしはお茶を啜る


「でも、感心しないわね。勝手に備品を持ち帰るなんて!」


「うう…すみません」


「学校の外に持ち出す前に生徒会室に

戻さなきゃだめよ」


「はい」


叱られてしまった…そりゃあそうだ


もっと観たかったけど、何かあったら

梓のせいになるし何より…


勝手に観たら雄平くんにも悪いもんね


落ち込みながらお茶を啜ると


「それで?そのDVDはここにあるのね」


「へ!はい…ありますけど」


「ここに私の私物の

ポータブルブルーレイプレイヤーがあります」


「え?」


「DVDも見れます」


「はあ…」


「ここで観るなら黙っててあげるし、なんなら

こそっと返しておいてあげる」


「せんせーも観たかったんですね。」


「だって気になるじゃな〜い、可愛い女の子2人を気にさせる男・な・ん・て」


「そ、そんなんじゃないですよ!」


「いいから、いいからほら出して」


「…〜っ!わかりました」



梓……雄平くん……ごめん

ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

初挑戦の作品で至らない点もあると思いますが、感想や☆評価をいただけると本当に励みになります。



引き続き読んでいただけると嬉しいです!

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