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第13章 ワンオペ大将



陽だまりで決意を固めた私と千楓


次の日、放課後の練習前にみんなを集めた


かなり説得には時間がかかるかもしれない


辞める子も出てくるかもしれない


それでも私たちの夢のために話した




みんなの反応は…




「なんだと!理事会のジジイどもめ!」


「やったろうじゃん!!」


「男性チームと試合なんて久しぶりだな」


「ワタシたちも頑張ります!」


「さんざん邪魔した挙句にそれかい!

ハゲ散らかしてるくせに!」




…意外とあっさり承諾した


と言うか、みんな口がわるいな。


一年生は状況をわかって入学したから

みんなで話して覚悟は決めていたと言ってくれた


二年生も鬱憤が溜まってたみたいで

理不尽な条件に対する怒りよりも

試合ができる方が嬉しいと話してくれた


「よっしゃ!!みてろ、ハゲどもー!」


「「「おおーーー!」」」



そこからみんなで話し合い、

練習量を増やすことと助っ人を探すことが

決定した


そのためここ数日は練習メニューの変更と

ブラッシュアップ

そして会長権限をフル活用して

学内の生徒の資料に出来る限り目を通した


少しでも我々が有利になれるように

野球経験のある体育科の男子に声をかけては

みたがめぼしいものはほとんどいなかった


練習時間も出来るだけ長く取れるように

許可を取りに行ったら理事長や夏海先生が

帰りの車を出してくれることになった


本当にありがたい話だ


私は授業中以外は全て生徒会室とグラウンドにいることが多くなった


今も放課後だが生徒会室で資料を見ている


「ふぅ…」


少し疲れたかな


みんな頑張ってくれている


これまでにないくらい燃え上がっている


大会にでたらそのまま優勝してしまいそうな雰囲気だ


それでもわかる…届かない、届くわけがない


私は見てしまった、レッドアイアンズの

練習や試合を…


普通の男性チームでも勝てない


ハンデ無しで勝てるわけがない


努力しても勝てない


せめて…せめて甲子園に出てくるようなレベルの

選手がいてくれたら…と思う


彼の映像と資料を見つめる


藤堂雄平くん


「せめて…君がいてくれたら…な」


何を考えているのか、そんなことはありえない


少し歩いて頭を冷やそう


生徒会室を出て歩き出した瞬間、

目の前がぐにゃぁ〜となる


「…?」


なんだか力が抜ける、視界が暗くなった


「え?え?ちょちょわぁぁぁあ!」


後ろから聞き覚えのある男子の声が聞こえた


ドサッ




ーーー




見知らぬ天井だった


正確には見知らぬわけでないが

あまり見ない景色だった


「あ、気がついた?」


聞き覚えのある男子生徒の声がまた聞こえた


「え?」


「香田先生、別当さんが起きましたよー」


「はいはい、ちょっと待ってねー」


保健室だ、ベッドに私は寝かされている


隣に藤堂くんが座っている


なぜ彼も私もここにいるのか、わからない状況だ


とりあえず起き上がろうとすると

頭がクラクラして視界が少し暗くなる


「おいおい、ムリするなよ?」


「あ、ああ」


ちょっと熱っぽいかな。身体もとんでもなく倦怠感を感じる


「違うとは思うけど、一応測らせてね」


体温計を養護教諭の先生が持ってきて私のそばに来た


藤堂くんが立ち上がって代わりに

養護教諭の香田珠子(こうだたまこ)先生が座った


珠子先生は天城理事長に負けず劣らずの

妖艶な美女で、保健室が悩み相談室になるほど

人気のある養護教諭だ。


「藤堂くん、

ちょっとカーテン閉めて、覗きはだめよ

飲み物買ってきて、あたしにコーヒーと

梓ちゃんにポカリ」


シャッ


それは言わずに閉めるべきでは?


ピピっ


「ちょっとだけ熱があるわね」



「最近、少しムリをしてたでしょ?」


「……はい」


「まったく!こんな状況にまで追い込むなんて

大人たちは何をやっているのかしら!」


「私はどうしたのでしょうか?」


「覚えてないの?藤堂くんが運んで来てくれたのよ」


「へ?」


「生徒会室前であなたが倒れそうになったのを

支えてくれてそのまま」


「そ、そうだったんですね」 


「カッコよかったわよ〜

お姫様抱っこで保健室の扉開けて

助けてくださ〜いって」


「言うか、そんなこと!!」


カーテン越しに声が聞こえた


藤堂くんが戻ってきてたようだ


「ふふ、ごめんごめん。でも迅速だったわよ

倒れたのは四階の生徒会室だったから夏海ちゃん経由で連絡してくれてあたしと一緒に保健室まで来てくれたのよ」


よかった、お姫様抱っこはされてないみたいだ


「ありがとうございます。お2人で運んでくださったんですね」


「貴女を運んだのは藤堂くんだけよ

あたしは様子見ながら隣を歩いただけ」


「え?じゃあお姫様抱っこは?」


「残念!そこは本当!」


ちょっとおどけた顔で答える珠子先生


「ッ〜!!」


恥ずかしい!なんてことだ


「すまんな、他に運ぶ方法がなくて…

柊先生はもう練習場に行ってたし他に人がいなくて」


ポカリを渡しながら藤堂くんが謝ってきた


「い、いやありがとう。助かったよ」


顔が熱い…冷たいポカリが気持ちいい


ポカリを顔に当てて冷やしていると

外が騒がしくなった


ダダダダッ


「こ、こら!千楓!走るなって!」


ガラッ!!


扉が勢いよく開いた


「梓!!」


「千楓!来てくれたのか」


保健室の入り口に涙目で練習着の千楓がいた


「良かった〜」


私の様子を見てほっとして泣き崩れていく千楓


そのまま私の手を握った


「ち、千楓…」


その姿を見て少し胸が痛くなる


「柊先生…ちょっと」


怖い声で夏海先生を呼ぶ珠子先生


「え?は、はい!」


少し怯えながら夏海先生が返事をすると

珠子先生と一緒に廊下に出ていく


廊下の向こうから声が聞こえる、

たぶんものすごく叱られている


すみません夏海先生


「本当になんともないの?」


「ああ、すまないな、心配かけて」


「過労だろうってさ、だからいま

柊先生がめちゃくちゃ怒られてんだよ」


「?…なんで雄平くんがいるの?」


「彼が私を保健室まで連れてきてくれたんだ」


「そうだったんだ。ありがとう雄平くん」


「おう」


「なんで千楓がお礼を言うんだ?」


「あ、本当だね」


おかしくて3人で笑い合う


ガラッ


そうすると保健室の入り口が開いた


「それだけ笑い合えば大丈夫そうね

でも、今日は帰りなさい。

また無理したら夏海ちゃんにお説教しなきゃだから」


珠子先生の後ろでズーンと落ち込んでる夏海先生がいた


「本当にすまんな、梓」


「いえいえ、私がちょっとムリをしすぎたみたいで私のほうこそすみませんでした」


あまりに落ち込んでいるので申し訳なくなってしまう


「そうよ、若いからって無理しちゃだめ。

千楓ちゃんも夏海ちゃんも部活があるのよね

藤堂くん、一緒に帰ってあげて」



「「「へ?」」」


これはまた…気まずいなぁ


ここまでお付き合いいただきありがとうございます!

初挑戦の作品で至らない点もあると思いますが、感想や☆評価をいただけると本当に励みになります。



引き続き読んでいただけると嬉しいです!

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