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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
廃れた星とSOS工房
8/10

8.メモリアルテイクオーバー

 レイは黄金虚数世界の情報を聞きに仲間の元へ向かっていた。そして着いた頃、


「ラレム、『黄金虚数世界』にはどうやって行けばいい?」


 ラレムと呼ばれるその少年?は微笑みながら言葉を返す。


「あの創世者だけの空間か…俺は一度だけ行ったことがあるが、かなり危ないぞ? ゲートを開けることはできるが、一応俺が創る幻想でどんなものか見ておく方が良いだろう」


「そうか。ではゲートを」


 ラレムは大鎌を振りかざし、次元を裂いた。そしてレイはその中に入っていった。その後静かになった頃、シルクハットを被った者が歩いてきた。


「さぁ、何の用だ? 『予言』?」


「それくらい当ててみたらどうだ?」


 ラレムと『予言』が対峙する。


「お前の未来を予言する能力は『記憶』によって封印されているはずだ。なのに俺に負けると分かっていてもここに来る理由はなんだ?」


「だから当ててみろって」


 ラレムは大鎌を構える。


「ったくめんどくせぇ!」


 ラレムは『予言』に襲いかかる。『予言』は被っていたシルクハットを投げ捨て、両手を広げる。ラレムの鎌はその首を斬ったが、それは『予言』ではなく、『予言』になりすましたトランプだった。


「残念はずれ〜w」


「これくらい見抜いてる!」


 『予言』のフェイクも見抜き、ラレムは黄金虚数世界にいる本物の『予言』を殺そうとゲートを開く。


「しつこいなぁ〜」


 しばらくしたあと、ラレムは逃げるばかりの『予言』を追い詰め、口を開いた。


「【虚言(ダウト)】」


 ラレムが対象の存在を消すスキルを使用しても、『予言』は消えない。


「なぜだ?」


「俺はついに自由の身になったんだ。『()()()()()()()。だからとっくに封印も解けてる。だから今すぐお前を消すことだってできるんだぜ?」


「チッ…」


 ラレムはバグの中に退いていった。戻ってきたところには幻想から戻ってきたレイがいた。


「どこに行っていた?」


「少し、情報を探りに」




ーーー同時刻、煌航の星にて


「!?」


「翠、どうした?」


「『記憶』が、死んだ…」


 翠の訃報に一同も驚く。


「「「え!?」」」


「なんでよりによってこんな時に…」


 みんなは若い男性が剣を掲げている彫像らしきものを眺めていた。翠が言うには、この彫像は()()()()()らしい。


「うっ…母さん、リズ…」


 『記憶』が死んだことで、今まで『記憶』が抑えていた様々な感情が渦巻く。しかしすぐ、その感情はまた収まった。


「大丈夫ですか? 頭は痛くないですか?」


 そこには白い髪の少女がいた。


「誰だ……」


「横になって、目を閉じてください。そのまま心を無にしてしばらく安静にしてください」


 とりあえず白い髪の少女の言う通りにしてみるが、この声はなんだか懐かしい気がする。その間にリズと翠はその少女に質問する。


「お前は? いや待て…もしや…」


「もしかして…」


 少女は微笑む。


「私は照ノ間 玲花です」


 セルヒがその声を聞いた瞬間、記憶の彼方にある一欠片が灯された。刹那、頭痛と苦しみは消え去り、世界が違って見えた。


「セルヒ! 大丈夫なのか!?」


「あ…あぁ…逆になんか、力がみなぎってくるというか…」


 少女は全てを理解したかのようにセルヒに問いかける。


「じゃあ、君の今の掌握力はどれくらいだと思いますか?」


「え…150万ぐらいか?」


「いいえ。正解は6億です」


「あぁ〜だから力がみなぎってくるのか〜」


 数秒後にようやく気付いた。


「…は???」


 そして待ってましたと言わんばかりに彫像が動き出し、歩み寄って来た。そして翠が前に出る。


「何の用だ?」


「安心してください。僕はセルヒ君に武器をあげようとしているだけです。魔力と掌握力があっても武器がなければ物理の戦闘ができないですし」


 その彫像はセルヒに剣を渡し、元の位置に戻っていった。すると玲花は解説し始めた。


「安心して下さい、彼は敵ではありませんよ。私は名前も知りませんけど」


 すると星間案内図も出てきた。


「解析中…完了。この彫像は『スペッタトーレ』と言い、意識を持たないものの対話機能は発達している研究所Xの産物です。スペッタトーレは物を持っている事もあり、特定の人にそれを渡すようにプログラムされています」


「つまり…その研究所Xってところが俺にこの剣を渡したってことか? よくわからないが、とりあえず感謝しとくか。星間案内図、この剣を解析してくれ」


「了解しました。解析中………………完了。この剣は『交響バイナリ』です。攻撃力は低いものの、耐久値が非常に多く、長期戦闘などに有用です」


 そして掌握力と武器を手にしたセルヒは一行の中では二番目に強くなっていた。


「そういえばリズの魔力と掌握力はどれくらいなんだ?」


「24億と19億です」


「へー、リズって創世者だったんだー」


 翠はそれに続けてツッコミを入れる。


「いや創世者だったらもうとっくに『時間』も倒せてるだろ…いや待てリズ、今言ったことは本当か?」


 翠も驚いているだが、それでもリズは当たり前のように肯定する。


「今まででリズが()()()()()()()であることは分かっていたが、『時間』の思念体だとしても魔力と掌握力が多すぎる…リズ、お前は一体何者なんだだだだだだddddd@_'?÷:〜0………」


「ーーー」


「…いや待てリズ、今言ったことは本当か?」


「いえ、さすがに冗談ですよ!」


 翠と椋は何も気付いていないようだが、セルヒと玲花は既に違和感に気付いていた。


「(セルヒ君、彼について探るのはやめておいた方がよさそうです)」


「(ああ、分かった)」

照ノ間 玲花について

 突如現れた謎の少女。『記憶』の力を持っている様。


研究所X⋯■■の星に位置する研究所。生活に役立つ製品を製造している。が、裏では戦闘に使う兵器の開発などもしている。また、製品に命を吹き込むこともできる。

『スペッタトーレ』⋯研究所Xが作った生きた彫像。世界中に遍在しており、相談やちょっとした遊びもできる。

『交響バイナリ』⋯研究所Xがセルヒに贈った銀の長剣。長く使えるように耐久値が多くなっている。見た目にはこれといった特徴はない。

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