表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
廃れた星とSOS工房
7/10

7.刺客と指名手配犯

「さて…もうここに用は無いな? これからこの星を出るぞ」


「いきなりだな…」


 実は『航』が残した手紙に、『航』が支配する『煌航の星』の招待状が添えられていたのだ。


「もう行くか?」


「はい!」

「行きましょう!」

「わかった!」


 すると、星間案内図が飛び出してきた。


「指示を確認。これから皆さんを『煌航の星』に転送します」


「え?」


「ーーー」


 いきなり景色が変わった。そこはある小さな船で、星海を渡っているようだった。しかしその前で、激しい戦闘が繰り広げられていた。


「おい! 向こうにもいるぞ!」


 いきなり知らない男性の声が響く。


「了解」


 その時、黒いロングコートを羽織り、牙の模様のマスクをした金髪の女性が長剣を片手に走ってきた。


「危ない!」


 椋がその剣を受け止め、弾いた。


「チッ。邪魔が入ったか…」


 その女性は赤い霧に消え、いつの間にか男性も去っていった。


「はぁ…『赤霧の星』の刺客か…」


 奥から『航』が歩いてきた。


「一難去ってまた一難だな」


 翠も戦っていたようで、ため息をついていた。状況は飲み込めなかったが、危険ではないことはわかった。そして、物陰からサポートしていたリズが出てきた。


「ちょっと…今の状況を説明してもらえませんか?」


「今『煌航の星』に来たところなんだが、『赤霧の星』からの襲撃者と遭遇してな。それで戦ってたんだ。そしたら『航』が来たって感じだ」


 『煌航の星』は不穏な感じがしていたが、これからはこういうことがないことを信じたい。


「ようこそ、『煌航の星』へ。君らはここについてあまり知らないだろう。しかし、今は案内するほどの時間がない。君らが持っている星間案内図に案内してもらうといい」


 そう言うと『航』は去っていった。


「指示を確認。『煌航の星』について解説します。ここは無数の船が『劫舟』という巨大な船と共に星海を渡っている星であり、目的地は不明です。船の集まりを星と呼んでいるので、唯一の人工の星と言えます。これからは、直ちに『航』の所に行くことを推奨します」


「まぁ、別にここでやることとかも無いしな…じゃあ早速『航』がいるところまで案内してくれ」


「承知しました。それではこちらにお乗りください」


 するといきなり星間案内図が変形して四人乗りのドローンになった。


「「「「え?」」」」


「…なんで?」


「いち早く『航』の所に向かうためです」


「いやそういうことじゃなくて…」


「では歩きで行きましょう」


 星間案内図は地図のような元の形に戻った。とりあえず言う通りに歩きで行こう。


「なんだったんだよ今の…」


「やはり、しゅ…なんでもありません」


 星間案内図の案内に沿って歩いていく途中、所々で白い髪、黒と金のコートを着た女性の指名手配のポスターがあった。その女性が目撃された時に撮られた写真のようだが、残像のようなものが写っていることから、とてつもない速度で移動していることは明らかだった。まあ、あいにく今は時が止まっていて、誰かがこの人を探すことも指名手配犯が何か犯すことも…


ザクッ。


 セルヒはその指名手配犯らしきものに心臓を刺された。一瞬の出来事だった。


「!?」


「戻れ!」


 セルヒと指名手配犯は元に戻った。そして再びその指名手配犯が光の如くやって来た。そこに翠と椋が剣をかざし、刀を受け止め、その白黒の残像は消えた。そして次は遠くから眺める本物の指名手配犯がやってきた。


「何者だ! 何のためにセルヒを殺す?!」


 その者は黙って刀を振るい、残像のようなものを駆使して戦っている。


「残像使いか…」


 翠と椋がその者と刃を交え、セルヒとリズは出る幕がなかった。そして翠がいよいよスキルを使おうと剣に魔力を込めた時、その女性はいきなり投降したかのように刀を鞘に収め、顔も見せた。


「もういい。貴様らの実力はやはり私より上ということが分かった。簡潔に自己紹介をしよう。私はレイ。レイ・カルカソンヌだ」


「…なぜ人を殺す?」


 翠は尋問する。


「私の親友の命…いや、存在を奪ったとある人を殺す為だ。だから見つけ次第生物は殺すようにしている。リズという者を知っているか?」


「!?………こいつがリズだ」


「…この人がリズです!」


「えっと…こいつがリズだ!」


 翠に便乗して椋とセルヒも続く。


「えっ?! ちょっと! 僕何もしてないですよ!」


 リズは焦りながら汗を流す。


「私の仲間からそいつが情報を持っていると聞いてな」


「ふぅ…」


「『予言』はどこにいる? 答えろ。貴様が知っていることは確実なんだ」


「『予言』って…あの創世者ですよね? それなら、僕は確かに情報を持っています。しかし、ここは等価交換といきませんか? 僕が…」


 レイは問答無用でリズの首に刀をかざす。そこに調停するかのように翠がため息をつきながら歩いてきた。


「はあ…じゃあ俺がコインを投げるから、その表裏で決めるとしないか?」


「ダメだ。貴様は『運命』なんだろ? コインの表裏ぐらい、思った方に運命の天秤が傾くだろう。その仲間から聞いたんだ」


「っなぜ…」


 正体を隠していた翠の正体を暴かれ、結局情報を提供することになった。


「予言は…『黄金虚数世界』にいます」


「へ?」


 セルヒはこんらんしている!


「チッ…逃げやがったか。情報提供、感謝する。ではまたいつか」


 レイは去っていった。


「なあ…『黄金虚数世界』ってなんだ?」


「いわゆる、異世界のようなものです。創世者のみが立ち入りを許されている、秩序と混沌が入り交じった世界です」


「(そういえば…リズもそんな感じの金色の数列があった空間から来たよな…?)」


 その頃、黄金虚数世界にて…


「(ふぅ…危なかったー。危うく見つかるところだった…)」

牙のマスクの女性⋯『赤霧の星』の刺客。指揮官のような男性と共に現れた。


レイ⋯何者かから情報を得て『予言』を殺そうとする者。


『黄金虚数世界』⋯創世者のみ出入り可能の世界。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ