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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
終末世界で時が止まったら
5/10

5.創世神話

 一行はそれぞれやるべきことを遂げ、次の星に向かおうとしていた。


「いやだから、俺のスキルは?」


「まだ無理だと言ってるだろ…」


「なんで創世者ができないんだよ!」


「じゃあ代わりにいい知らせを教えてやろうか?」


 いい知らせよりもスキルの方が欲しい。でも気になる。セルヒは好奇心から


「分かったよ…」


 と答えた。


「それじゃあ言うぞ?いずれお前はこの四人の中で…」


「四人の中で?」


「最強になっている」


「え」


 そんなわけがない。翠は創世者で、一般人のセルヒが創世者より強くなる訳が無い。


「嘘だよな? 冗談だよな?」


「いや、本当だ。何故だと思う?」


 頭をフル回転させても、何も思いつかない。しかし、


「あっ!」


 あることを思い出した。


「翠は前、天流万奏楽団のアレグロってやつに会った時、創世者より強いやつもいるって言ってたよな? たしか…終焉だったか?」


「正解。お前は最後、()()()()()()()()()、終焉に謁見する。その時、力を授かる」


 リズと椋もその話を聞いて寄ってきた。


「そういえば、まだ終焉が登場する創世神話の内容について話していませんでしたね。聞いてみますか?」


 セルヒは速攻で頷いた。


「おう!」


 星間案内図がどこからか出てきた。


「創世神話の内容についてお話します。以下は、実際に本に載っていた内容になっています」


 一行は静まる。


「無は終焉を創造し、終焉は無を創造した。終焉は一人暗闇の中心で眠っていた。やがて感情を持ち、初めて寂しさを覚えた時、終焉は孤独にならないように世界を創造した。しかし、そこには誰もいなかった。そこで終焉は創世者達を創造した。終焉は無と星々を創り、運命は未来を定め、記憶は民に知識を授けた。輪廻は理を築き、生命が命を蔓延させ、時間はそれらを動かした。こうして世界は創られた。そして創世者達は天外地域から世界の動きを観察していた。しかし後に、全てを見定め、運命を超えた存在、予言が誕生した。予言は運命が定めた未来を改変させた。これにより運命は予言の下位存在とされ、人間界へ転送された。これらを創世神話とし、世界の中心に記す」


 解説は終わった。


「これが世界の始まりか…」


 翠は聞きながら苛立っていた。


「何回聞いても苛つくな…予言を今にでもぶっ■してやりてぇ…」


 翠の怒りはあまり収まらなかったが、記憶がそのことに気づいたようで、感情がコロっと変わった。


「あの…」


 椋がなにかに気づいたようで、翠に問う。


「創世者が天外地域ってところにいるなら、時間もそこに居るんじゃないんですか? 翠さんが創世者なら、そこに行けるはずですし…」


「いや、時間はそこにいない。魔力の源を探ってみたところ、戒時の星あたりから魔力が放出されていることがわかった。それと、天外地域の遠さを甘く見るな。そう簡単に移動できるものではない。それに、今の俺は創世者としての権限を予言に奪われているから天外地域と今いる場所を行き来できないんだ。だが、創世者だったらそこに瞬間移動する権限があり、いつでも自由に行き来できることができる」


 リズも翠に質問する。


「つまり、予言を倒せば、その権限を再び取り戻せるということですか?」


「そういうことだな」


 その瞬間、どこからかコートを着た女性が現れた。


「誰だ?」


 女性は笑顔で歩み寄る。


「私は【虚空の管理者(ヴォイドアドミニスト)】………いや、こう言った方がほうが分かりやすいかしら。私は、【終焉の先駆者(ディシースト)】、アルカよ」


 翠以外の人は首を傾げている。


「ちょっと遠くに行ってもらうぞ…」


 そう言うと翠はセルヒ達を遠くに転送した。


「何があったんだ!?」


 セルヒ、リズ、椋はここがどこかも分からず佇んでいた。


「恐らく、翠さんはあの女性が危ないと分かって僕達をここに転送したんでしょう」


 ガクガク震えながら椋も口を開く。


「でもそれだったら翠さんが…」


「いや、翠さんなら大丈夫でしょう。いつも僕達が足手まといになってるんですから…」


 一方その頃…


「どうしたの? 仲間をここから追い出して。言っておくけど、私はその仲間達のところにも今すぐ行けるのよ?」


「そのことはいちいち言わなくていい。何しに来た?」


 アルカは微笑みながら答える。


「知ってるでしょ? 戦いのついでに、少し情報を提供しに来たのよ」


「情報?」


「『五大執政』についてよ。このことは、記憶にバレないように予言に隠してもらっているの」


「星間案内図、五大執政について解説してくれ」


 星間案内図がどこからか出てきた。


「あら、便利な物を持ってるわね。【模造鏡(イミテーション)】」


 アルカは対象を模造するスキルで星間案内図を手に入れようとした。しかし、


「System error」


 アルカの前に画面のような物が現れた。


「どういうこと…?」


 アルカは混乱している。


「五大執政について解説します。五大執政とは、創世者である時間と予言を信仰する組織です。中には時間の下位存在の輪廻と生命がいます」


 二人とも想定外の事が起きたようで、困惑している。


「あいつら、敵だったのか…」


「どうしてスキルが使えないの…?」


 気まずい空気がしばらく続いたあと、翠は遠くのセルヒ達を呼び戻した。


「えっと…何があったんだ?」

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