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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
終末世界で時が止まったら
4/10

4.椋の鍛錬

 セルヒ達一行は、魔物を討伐しつつ、できるだけ人がいそうなところに移動していた。しかし、なかなか成果は得られないようで、一行は諦めかけていた。


「………どうやら、この星にはもう俺ら以外に動けるやつは居ないみたいだな」


「そうですね…」


「あの…」


「次の星に行くまでに、剣術を磨き上げたいと?」


「!?!?」


「お見通しさ」


「どうしたら翠さんみたいに強くなれますか?」


「それは簡単だ。俺が直々に剣術を教えてやる」


 セルヒ、リズ、そして椋の全員が翠の方を向き、驚く。


「え?」


「い、いい、いいんですか!?」


「あぁ、もちろんだ。まずは、基礎的な知識だな。『記憶』、剣術の知識と心得を椋に教えてやってくれ」


「分かりました。椋さんでよろしいですね?」


「あぁ」


 天から光が舞い降りる。あまりの情報量に椋はしばらく気絶していたが、目が覚めた時には、剣の扱い方が格段に良くなっていた。


「す、すごい…これが創世者の力か…」


「あとは、単なる力と技だな。ちょうどそこに木がある。斬ってみろ」


「あの木を!?」


「俺が手本を見せてやる。リズ、俺が斬ったら木の時間を戻してくれ」


「分かりました。椋さんの為なら…」


 翠は剣を木に向かって振りかざした。すると、木は真っ二つに斬られ、地面に倒れた。


「戻れ」


 そして何事もなかったかのように木は復活した。


「僕もやってみます!」


 椋も木に向かって思いっきり剣を振りかざしたが、少し傷がつくだけで倒れはしなかった。


「はぁ、はぁ…」


「初めてでこれだけ斬れるとはすごいな。ひとまず、訓練の前に、剣をいくつか用意した。この中から一つ選んでくれ。自由だ」


 翠は三つの剣を差し出した。左の剣は明らかに「魔」という感じのオーラを纏っており、まさに魔剣だった。真ん中の剣は、黒い刀身に白い光を纏っており、陰に潜む者のナイフのようだった。右は、翠が扱う剣に似た、美しい刀身の剣だった。椋は迷わず、


「これでお願いします」


 真ん中の剣を選んだ。


「見る目が良いな。これは椋の体にある魔力と同じ魔力が宿っている、『黒白の燭影』だ。きっとすぐに使いこなせるようになるだろう」


 椋は喜びながら剣を手に取った。その瞬間、黒い光が椋の体を包み込む。


「なんだか今なら魔法が使える気がする…」


「そうか。ならやってみろ」


 椋は剣を振るう。すると、剣から黒い斬撃が飛び出した。その斬撃は瞬く間に見えないところまで飛んでいった。


「やるじゃないか!」


 一方その頃………


「椋達、上手くやれてるかな…」


「きっと大丈夫でしょう!翠さんも一緒にいるんですし!」


「それもそうだな!」


 二人は少し離れた場所で座りながら雑談していた。しばらくして、二人は椋達のところに向かった。すると、


「なんだよこれ…」


 椋は強力な青いオーラを纏い、巨木を前にしていた。


「椋、お前の力ならこの巨木もきっと倒せる」


 少し前………


「やった!斬れました!さっきの斬撃のおかげで!」


「成長ってやつはこんなにも早いんだな。なら次は、これを斬ってみたらどうだ?」


 翠は巨木を根っこごと持ってきて、その辺に植えた。


「え?」


 そして現在に至る………


「ふぅー………はぁっっ!!」


 椋の剣から放たれる斬撃は、巨木に入り込んだ。その瞬間、斬撃は少し遅くはなっていたが、巨木の奥深くまで斬撃が入り込み、最終的には巨木を倒した。


「でき…た…」


 椋はその場に倒れ込んだ。


「よくやった…」


 しばらくしたあと、椋は目を覚ました。


「す…」


 セルヒが大声を上げる。


「すげえぇぇー!」


 みんなは耳を塞ぐ。


「椋。こんなことを今言うのもあれだが、修行はまだまだこれからだ。それは、今からはできない」


「どうしてですか?」


「魔物をもっと倒さないといけないからだ。まあ簡単に言うと、レベル上げだな」


 もうこの星には魔物はほとんどいない。


「もう次の星に行くしか魔物はいない。しかし、剣を扱うくらいにはこれくらいでいいだろう。じゃあ最後は、【運命の礫】や【双刃の乱舞】のようなスキルだな。星間案内図、椋に合ったスキルはあるか?」


「技を検索します。少々お待ちください…」


 システムは世界に数億種類もあるスキルの中から椋に合う数個を探し始めた。


「検索結果:【白日の創造】【冥界の幽雨】【終夜の永黒】が椋さんに合うスキルです。次に、能力について解説します。【白日の創造】は、白い光を生み出し、自分の思うがままに物質を創造するスキルです。【冥界の幽雨】は、黒い雨を降らせ、漂う無彩色の幻影を呼び覚まして共闘するいわゆる召喚スキルです。【終夜の永黒】は、自分から黒い霧が広がっていき、全てを包み込み、俗世を無に帰すスキルです」


「強くね?」


「強いな」


「強いですね…」


「強いんですか!?」


「おめでとう。当たりだ」


 椋は純粋に喜んでいる。


「能力の名前とも合っているし、服装はそのままレインコートでよさそうだな」


 これにて、椋の修行は多分幕を閉じた。


「あれ? 俺のスキルは?」


 セルヒと他の人達ははセルヒのスキルのことをすっかり忘れていた。

『黒白の燭影』⋯椋が翠に貰った武器。無彩色のみで構成されており、その魔力は孤独と負の感情に由来するもの。

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