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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
終末世界で時が止まったら
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3.星間案内図

 四人は数キロ歩き続けたが、足に痛みは全く感じなかった。


「なんで足が疲れないんだ? それに、お腹もすかないし…」


「それは、ずっと時間が止まっているからでしょう」


「もう時間が止まってるの忘れてた…そういえば、俺は家族が動かなくなったというのに、今はもうすっかり平気になってる…」


「それは俺が『記憶』と交信して悲しみの感情を抑えてるからだ」


「『記憶』と仲が良いのか?」


「あぁ。だから、今お前に偽の記憶を埋め込むこともできる。」


「えぇ…」


 その頃、リズと椋は仲良く会話していた。


「椋さん、戦い方は分かりますか?」


「いや、まだ剣の使い方をある人に見習っている最中です」


「なら、僕が椋さんの時間を進めて青年の身長にしてあげましょうか? そうしたら戦いやすくなると思います!」


「そんなことできるんですか!? ぜひお願いします!」


「それじゃあ…」


 椋の体がみるみる大きくなっていく。いつの間にか、セルヒと同じくらいの身長になっていた。すると、少し目を離していたセルヒが驚きながら言った。


「何があったんだ!?」


「椋さんのところの時間を進めて、15歳程にしたんです」


「これなら止まった世界も動かせるんじゃないか?」


「いや、それは規模が大きすぎるのでできません」


 弾むような声で椋が喋る。


「ありがとうございます! これで少しは役に立てると思います!」


 しばらく無口で佇んでいた翠が口を開いた。


「それなら次は俺が魔力の掌握力を増幅させてやろうか?」


「そんなこともできるんですか!?」


「それなら俺にもしてくれないか?」


「いや、それは無理だ。会った時から何度も試しているが、謎の力に制御されてどれも失敗に終わっていた」


「そうなのか…」


「それじゃあ椋、いくぞ」


 椋がワクワクした顔で答える。


「はい!」


 椋の足元に魔法陣が現れ、光が椋の体を包む。その瞬間、


「!?」


 魔法陣が消えた。


「何があったんだ?」


 翠が警戒する。


「誰だ!?」


 黒いローブを着た礼儀正しそうな男が現れた。


「何かを中断させてしまいましたか。申し訳ございません。しかしご安心を。私は貴方達と戦う気は有りません。寧ろ貴方達の御助力をしに来ました」


「誰だかわからないが、まずは自己紹介をしてくれ」


 男は頷く。


「承知致しました。私は『天流万奏楽団』の第一伴奏者、アレグロです」


「???」


 勿論俺は意味が分からず、困惑する。


「はぁ…天流万奏楽団のお偉いさんがわざわざここに何しに来たんだ?」


「待ってくれ、まずは説明してくれ…」


「それは、これが解説してくれますよ」


 すると、アレグロは何かを取り出した。


「これは、星間案内図です。続きは…解説頼みますよ」


 星間案内図はAI音声のような声を発した。


「了解致しました。星間案内図について解説します。星間案内図とは、その名の通り、星と星の間を移動する際、案内する為の物となっています。その他にも、今しているような解説や、スキルのレベルアップ等も可能です」


 星間案内図は再び喋りだした。


「続いて、天流万奏楽団について解説します。これは、宇宙を巡り、様々な人に音楽の良さを分かってもらうべく、幾万もの音楽を演奏している集団です」


 いつの間にか、アレグロはポータルのようなものを前にしていた。


「これを皆様に差し上げます。貴方達の旅が順調でありますように。では…」


 アレグロはポータルに入って去っていった。


「なんだ今の…」


 ようやく解放されたような感じを出している翠が答えた。


「ほんとあいつらは神出鬼没だな…だが、あんまりあいつらを敵に回さないほうが良いぞ。中には創世者より強いやつもいる。力の発生源は…」


「『終焉』だ」


「???」


「終焉は、創世者達を創った者だ。ほとんど情報がなく、俺も終焉については名前と偉業しか知らない。たまに終焉を見たという者もいるが、あまり信頼できるものでは………」


 『終焉』について聞いた途端、セルヒは意識を失った。


「ついに…お…と…信で…た……い。来い。時……を倒し、私……に来い。…幕を……力を与え……ろう」


 途切れ途切れだが、そのような声が何回も繰り返された。


「翠さんは…………です。リズさんの………は……創……です」


 セルヒは目が覚めた。


「!?」


「やっと起きたか。お前、急に意識を失ってたが、何があったんだ?」


 セルヒは皆にさっき起きたことを説明した。


「そうだったのか…恐らく、その声の主は終焉だろう。時間を倒せば、力を与える? 普通、その逆じゃないか?」


「なんだかおかしいですね…」


「そうですね…」


 しばらく離れたところで話していたリズと椋も頭を抱える。


「最後に、椋さんのスキルを解説します」


「え?なんで急に星間案内図が喋りだしたんだ?」


「お前が意識を失っている間、みんなのスキルを解説してもらっていたんだ。ちなみに、今のところお前が一番弱いぞ」


 このことは仕方がない。戦ったこととか全くなかったし。


「名前:椋 能力:巧みな剣術 強さ:熟練者級」


「まだまだ伸びしろがあるんですね…」


 それぞれみんなのスキルを見直し、しばらくは翠に頼ることを決めた。


「それでは、この星でやれるだけのことをしたら、早速『煌航の星』に行きましょう!」


「そうだな!」


 四人は再び歩き出した。この旅はいつまで続くのだろうか…

天流万奏楽団⋯世界を渡り歩き、幾万もの音楽を人々に届ける集団。『終焉』から力を授かり、無限のメロディーを奏でる。


星間案内図⋯天流万奏楽団のアレグロから貰った地図のようなもの。万能で旅には欠かせないが、出どころは不明。


掌握力⋯魔力をどれだけ操れるかの値。掌握力が5000万の時、魔力は5000万まで操れる。ちなみに一般人の魔力量の平均は500万〜600万ほどで、掌握力は200万〜300万ほど。創世者の魔力は20億〜25億で、掌握力は15億〜20億。セルヒの魔力は30億で掌握力は120万。

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