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終末世界で時が止まったら  作者: ぺゅづゃぐょ
永冬の星・第二節 全てを守り抜く天梁星
25/27

25.「久しぶりだな、恩人」

「3Dモデルはこれでよし…」


 結局、仕方なく(強制的に)人型の星間案内図、世紀を創ることになった。キミヒは尋常じゃないほど真剣に取り組んだ。


「(あの子達には少し申し訳ないけど…私は彼女にもう一度会いたいんだ)…言語モジュールに人格のインストールも完了、あとは…生命性の構築と器魂輪廻の適用、それと…」


 そうして長々と作業を続けている時、キミヒはセルヒ達にこう言った。


「あ、そうだ。君達、歴史に興味はあるかい?…いや、あろうがなかろうが、これからの旅路で歴史の知識は必要になってくるだろうから、私の資料室の右奥の本棚の本を覗いてみてくれ」


「俺は『記憶』の力で知識はどうにでもなるが…」


 すると翠とクータスタ、シュヴァリエが足を動かした。


「もしかすると、『予言』の新しい情報が掴めるかもしれない。俺は行ってくる」


「僕も、少しは役に立つように…」


「私は、この星についてまだ知識が浅い方だからな。少し勉強しておこう」


 三人はそう言うと部屋を出ていった。


「………キミヒ、まだなのか?」


「すまないね。ただ、ちょっと懐かしくて…」


 そこでセルヒは気付いた。


「お前…その世紀ってやつに会いたいだけなんじゃ…」


「まあそれもあるけど、君達一行の人数が実質一人増えるからその為だけどね」


 そしてキミヒは最後にエンターキーを押し、大きく伸びをした。


「ふう…(時が止まってるから伸びはあんまり意味がなかったね)」


 すると近くの水槽のような物が緑色に光り、モデルの構築を始めた。足先からゆっくりと精密に創られていく。


「世紀は何をした人なんだ? 星間案内図と関係があるって言ってたけど…」


「うーん、そうだなあ…簡単に言えば、世界を救ったって感じかな。完全ではないけどね。彼女は世界が滅んだことを自分の責任だと思って反省しながら世界を再構築した。実際、彼女は何も悪くないのにね。全部あいつのせいで…」


「(ん? あいつ…?)」


 そう言っているうちに世紀は上半身の構築を始めた。


「世紀の体って結構小さいんだな、ちょうどコユキぐらいか…?」


「どちらかと言うとコユキ君が世紀君に似てるんだけどね…そうそう、君は初対面だろうから記憶モジュールに君達のデータを入れておいたよ」


 その頃、翠は資料室の一角で一枚のメモを読んでいた。


「(黄金虚数世界にはもう一つ形態がある可能性あり…危険度は極めて高く、大抵の器は数秒で存在が消える模様。魂の行方は不明。追記:これの存在が確定した。私はこれを『虚数裏世界』と呼ぶことにした。また、調査員レーノ(逝去)による調査により虚数裏世界の内部には空を飛ぶ化け物がいることが判明…『予言』なら行きかねない場所だな。視野に入れておこう)」


 翠はその下に置いてあったメモも読むことにした。そこには、丁寧な字で『創世者達』と書かれている。


「(これは…有力な情報が掴めそうだ。どれどれ………!? こんな情報、一体どうやって!?)」


 そこには、『予言』を除く()()()()()()が記されていた。翠は慌てて資料に目を通す。


「(『運命』、『時間』、『記憶』、『生命』、『輪廻』、『()()』、『()()』…!?)」


 第二実験室内にて、世紀の構築は九割ほど終わっていた。


「いやこれ…完全にコユキじゃねぇか!!」


 そこには小柄な身体に長い髪、コユキと色違いの分厚いパーカーを着た少女がいた。コユキとの差と言えば服の色と髪色だけだった。


「ここは…第二実験室か。ん? 久しぶりだな、恩人」


…と、口調も。


「お前は…セルヒか。初対面だが…恩人が記憶モジュールを弄ったのか」


「え、あ、ああ、はじめまして…? キミヒ、お前、世紀に恩人って呼ばれてるのか?」


 キミヒは頭を掻きながら言う。


「まあ、ね…本当に久しぶりだね、世紀君」


「今は…ああ、約二年ぶりか。体感は十年以上経っているがな。この体も…懐かしい感覚だ」


 その時、外でずっと雪遊びしていたリズとコユキがやって来た。


「え、誰ですか?」


(はら) 世紀だ。キミヒに星間案内図を内蔵され、お前らの旅に同行することになった」


「(口調が被るキャラが増えてさらにややこしく…)」


「この口調が気に入らないならキミヒに媚びて変えてもらえ」


「やっぱいいです!」


 コユキは自分と似ている外見にはあまり疑問を持たず、ただ一言こう言った。


「あれ…? ボクたち、どこかで会ったことってある?」


「…あるかもしれないな」


 資料室を漁っていた翠も戻ってきた。


「シュヴァリエはまだ戻ってきていないのか…まあいい。セルヒ、創世者はお前の知る限り何人だ?」


「え? そりゃ…六人じゃないのか?」


 翠はさっき見つけたメモとそれを示唆するであろう別の資料を差し出した。


「…『予言』を含めて八人だ」

秡 世紀について

 コユキに瓜二つの少女。口調が荒く、何事にも関心がない。研究所Xで育った。


虚数裏世界…黄金虚数世界のもう一つの形態。器はその世界で数秒しか生きられず、存在が抹消される。中には空を飛ぶ化け物がいる。


『創世者達』…『運命』、『時間』、『記憶』、『生命』、『輪廻』、『怪奇』、『均衡』。

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